毛はただの物理的バリアではない - 慶応大、毛嚢の免疫に関する機能を発見
毛はただの物理的バリアではない
- 慶応大、毛嚢の免疫に関する機能を発見
2012/06/25 マイナビニュース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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慶應義塾大学(慶応大)は6月25日、国内外
での共同研究により、毛は外的刺激に反応
して「樹状細胞」を皮膚に呼び寄せ、
「毛嚢(もうのう)」の部位による異なる
「ケモカイン」を発現し、樹状細胞の表皮内
への進入を巧妙に制御していることを発見
したと発表した。
成果は、慶応大 医学部皮膚科学教室の
永尾圭介専任講師、同天谷雅行教授らの
研究グループによるもの。
研究の詳細な内容は、米国東部時間
6月24日付けで英科学誌
「Nature Immunology」電子版に掲載
された。
毛・毛嚢はすべての哺乳動物が持って
いる基本的な構造であり、外的刺激から
体を守る重要なバリアを提供している。
円形脱毛症、膠原病、ニキビなど毛嚢が
傷害される炎症性皮膚疾患がよく知られて
いるが、今まで毛嚢に能動的な免疫機能が
あるとは考えられていなかった。
一方、2011年のノーベル生理学・医学賞
の受賞対象(故・ラルフ・スタインマン博士)
となった樹状細胞は白血球の一種で、
免疫の起点となる重要な細胞だ。
生体の最表面にある表皮には
「ランゲルハンス細胞」という樹状細胞が
全身を覆うネットワークを形成し、微生物
などから生体を守っている。
ランゲルハンス細胞は骨髄から発生する
ことが知られているが、正確な起源は
明らかではなかった。
マウスを用いて解析したところ、骨髄の
単球という白血球がランゲルハンス細胞
前駆細胞となり、その後表皮の中で
ランゲルハンス細胞に分化することが確認
されたのである。
ランゲルハンス細胞前駆細胞が表皮へ
入っていく際、常に毛嚢を経由している
ことがわかった(画像1)。
皮膚での外的刺激や炎症がこのプロセス
を促す仕組みだ。
「2光子顕微鏡」という生体内を観察
できる顕微鏡を用いて、物理的刺激を
加えたマウスの皮膚を観察すると、白血球
は刺激負荷後1.5時間後より毛嚢に集積する
ことが判明(画像2)。
また、ランゲルハンス細胞前駆細胞が
表皮内に入るためには、特定の
ケモカインレセプター(受容体)を持って
いなければならないこともわかった。
毛嚢のある特定の部位にランゲルハンス
細胞前駆細胞を呼び寄せるケモカインが
産生されることが確認された。
対応するケモカインの受容体がないと
表皮への進入が阻害されることも
示されたのである。
さらに、毛嚢の重要性を示すために、
毛嚢を維持することができないマウスの
皮膚に炎症を起こし、ランゲルハンス
細胞前駆細胞の動員を誘導したところ、
毛のある皮膚にはランゲルハンス
細胞前駆細胞が表皮内に入ったのに対し、
毛のない皮膚では入ることができない
ことが確認された。
よって、ランゲルハンス細胞前駆細胞が
表皮に入っていく際には毛嚢が
ゲートウェイとして重要な働きを担って
いることが明らかになったのである。
今回の研究にて明らかになった毛嚢
による白血球の交通整理はアトピー性
皮膚炎などの皮膚炎症の病態解明に役立ち、
将来それを応用した新しい治療法開発の
基盤となることが期待されると、
研究グループはコメント。
今回の研究の白血球動員制御機構は、
より制御された新規ワクチンの開発戦略に
寄与することが期待されるとも述べている。
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以外です。
私も、毛は単に物理的なバリアだと
思ってました。
その元となる毛嚢が白血球の交通整理を
していたとは、
毛嚢を沢山持っている人の方がベター
ということになるのかな?
>ランゲルハンス細胞前駆細胞が表皮に
>入っていく際には毛嚢がゲートウェイ
>として重要な働きを担っていることが
>明らかになったのである。
毛嚢による白血球の交通整理が行われて
いるそうです。
皮膚は外界と接している大事なバリア。
外的から身体を守る免疫システムの
新たな発見ですね。
>今回の研究では樹状細胞に着目して解析
>したが、毛嚢が呼び寄せるのは樹状細胞
>だけとは限らない。
>円形脱毛症や瘢痕(はんこん)性脱毛症
>ではリンパ球が毛嚢を破壊する。
>ニキビでは好中球という細胞が毛嚢で
>炎症を起こす。
>毛嚢が白血球を動員するメカニズムを
>コントロールできれば炎症を抑えること
>が可能となるはずだ。
いろいろなことが考えられます。
注.
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