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2012年5月28日 (月)

固体電気化学反応を原子レベルで初めて観察

固体電気化学反応を原子レベルで初めて
観察
-イオニクスデバイスの高性能化に不可欠
な情報の取得に道-

平成24年4月30日
独立行政法人 物質・材料研究機構
独立行政法人 科学技術振興機構

詳細は、リンクを参照して下さい。

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<成果の内容>
 原子スケールで表面を観察する手法
として、走査型トンネル顕微鏡法(STM)
があります。

 しかし、STMの観察ではナノアンペア
程度の微弱な電流を測定用探針と観察試料
との間に流す必要があることから、
電子伝導性のないイオン伝導体の
STM観察は出来ませんでした。

 本研究では、イオン伝導体である
ヨウ化ルビジウム銀(RbAg4I5)
注6)に不純物(Fe)をわずかに加える
ことで、固体電気化学反応に必要な
イオン伝導体としての特性はそのままに、
STM観察に必要なわずかな電子伝導性
を発現させることに成功しました。

 その結果、固体電気化学反応に必要な
電子の授受と固体電気化学反応に伴う
原子の析出現象の観察をSTMで同時に
行うことが可能になりました(図1)。

 固体電気化学反応に伴う電荷
(電子とイオン)の流れをファラデー電流
と呼びますが、本研究で観測した
ファラデー電流はわずか数十個の電荷に
過ぎません。

 観察の結果、電圧を印加してからイオン
の還元・析出反応が始まるまでに一定の
時間(タイムラグ)を要することが分かり
ました。

 解析の結果、これは一定数のイオンが
表面近傍に集まるまでの時間であり、
その集まったイオンが核を形成することで
初めて還元・析出現象が起こる結果である
ことが分かりました(図2)。

 さらに、ある値以上の電圧を印加する
ことで、表面近傍に到達したイオンが
集まる必要なく1つずつ直ちに還元されて
析出することが分かりました。

 この結果、タイムラグは無視できるほど
小さくなることが分かりました。

 固体電気化学反応による原子の析出現象
を利用したイオニクスデバイスの1つに、
原子スイッチがあります。

 この度の観察に用いた基板材料を用いて
原子スイッチを作製したところ、ある値
以上の電圧を動作電圧に用いることで
スイッチング時間が格段に短くなることが
観察されました(図3)。

 この結果は、前述の観察結果で得られた
知見(一定の電圧以上で固体電気化学反応
の効率が格段に上がること)で説明する
ことができます。

 本研究では、イオン伝導体の表面構造を
原子レベルで観察することにも初めて成功
しました。

 その表面上に形成された析出原子による
クラスターの構造変化を観察することで、
クラスターの成長速度計測やその安定性
評価が可能であることも分かりました。

 これらの観察結果は、今回開発した手法
を用いれば、原子スケールの微細な構造や
組成などに依存した固体電気化学反応の
効率を局所的に調べることが可能である
ことを示しています。


<波及効果と今後の展開>
 固体電気化学反応は、燃料電池を始め
とするイオニクスデバイスで幅広く利用
されている現象です。

 その高効率化は、電気自動車の普及促進
による低炭素社会の実現、電力の効率的な
利用による省エネルギー社会の実現などに
寄与することが期待されます。

 この度の研究では、固体電気化学反応を
原子スケールで観察することで、反応効率
を左右する諸現象の存在を明らかに
しました。

 その知見を活かして、原子スイッチの
動作速度の向上を図ることにも成功
しました。

 開発した手法は、固体電気化学反応全般
に適用可能です。

 燃料電池の電極反応の高効率化を実現
するための材料開発など、固体電気化学
反応を用いる幅広い製品分野の開発
において、開発指針を得る有益な手法
として用いられることが期待されます。
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難しそうな話ですが、固体電気化学反応を
原子レベルで観察できるようになったこと
でいかに重要な知見が得られるのかが
わかったような気がします。


>開発した手法は、固体電気化学反応全般
>に適用可能です。
>燃料電池の電極反応の高効率化を実現
>するための材料開発など、固体電気
>化学反応を用いる幅広い製品分野の開発
>において、開発指針を得る有益な手法
>として用いられることが期待されます。
とのことですので、

今回の手法を適用して、燃料電池電極反応
のさらなる高効率化が出来ると
良いですね。

先日投稿したこの記事は今回の研究成果
のひとつなんでょうか?
燃料電池電極触媒活性15倍向上:
金属ナノ粒子可溶化技術の開発に成功

2012.04.23 物質・材料研究機構

同じ研究機構です。

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