個の医療メールより「不思議な国ニッポン」
「不思議な国ニッポン」
Mon, 16 Apr 2012 個の医療メールより
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東京大学大学院総合文化研究科「人間の
安全保障プログラム」のフォーラムに参加
できました。
このフォーラムの議論を聞いて、私は
本当に不思議な国ニッポンに住んでいる
のだと、つくづく気づかされました。
国はやっと社会保障と税(負担)を同じ
俎上に乗せたと胸を張っておりますが、
票が欲しい政治家との馴れ合いで、社会保障
を先行して拡充してきた行政の罪を忘れて
はなりません。
とうとう辻褄が従来法でできなくなった
ために、消費税増税による当面の辻褄合わせ
を提案しているのです。
消費税自体は人口の伸びが止まった国では
止むを得ない税制だと思いますが、いくら
増税で辻褄を合わせてもこの国の全体の財政
の構造と行政の執行によるアウトカムの
全体像を把握し、改革を進めなくては、
今まで国債よって財務省が辻褄合わせを
してきた手法に消費税増税を組み込むこと
に過ぎない。手遊びです。
実際、フォーラムでも元財務省の官僚が
白状していましたが、今年度予算で
新規国債発行が前年よりも1000億円削減し、
44兆2000万円になったと政府は自賛し、
マスメディアもそのまま伝えていますが、
消費増税が認められなかった場合の
年金国債2.6兆円と復興債2.7兆円を
加えれば、新規国債発行は前年より
膨れ上がっています。
財務省のこうした辻褄合わせに私たちが
もう付き合いきれないというのが、現在の
危機の構図です。
おまけに東電福島原発事故のごたごたで
今まで我が国の行政コストを抑えてきた
国民の信頼(これが過剰だったことも問題
だと思います)も失われました。
今回のフォーラムで学びましたが、例え
消費税を5%増税しても2015年度の社会保障
4経費(基礎年金、医療、介護、少子化対策)
の3分の1しか改善しない計算です。
しかも、2015年度の4経費総額は42兆円、
現在の17-18兆円(少子対策がない3経費)
と異常な伸びを財務省は算定しています。
これだけ少子化に投資しても、人口の
構造変化による労働人口の回復には時間が
かかるためでしょうが、総てを財や税を
生まない経費として算定するのはフェア
ではありません。
知り合いの経済学者によれば長期的に
見れば、道路工事よりも医療に資金を投入
した方が、経済的波及効果は大きく、
所得税や消費税として国庫に入ることを
無視してはならないのです。
こうした資金の循環を可能にするために
医療での規制緩和をもっと真剣に議論
しなくてはなりません。
医療関係者は、厚労省と財務省が演出
する診療報酬点数という魔術に翻弄され、
本来患者を癒すという目的は同じなのに、
経済的に利害を衝突させられ分断統治を
受けているのです。
こうした状況に異議申し立てできるのは
国民、そして病に直面する患者とその団体
であると思います。
国民に、まず医療費や国の歳出・歳入の
構造を明らかにし、同時に国費を投入した、
結果である医療成績(例えば、がんの
5年生存率や、疾患患者の数、医療に対する
満足度、医療費のコストパフォーマンス、
各種疾患の治療成績など)を国が責任を
もって明らかにする必要があるでしょう。
ソ連が崩壊した最大の理由は情報公開
です。
我が国の行政の問題は情報公開が恣意的
に行われている点です。
我が国ではがんの5年生存率はたった
6府県のがん登録、しかも数字の
アップデートも十分ではないと、今回の
フォーラムで厚労省の関係者が明らかに
しています。
「アウトカムを調査していないため、
国家が投入した費用で医療が良くなったか
どうか、判定できない」というのです。
問題の一つの根がここにあります。
国家公務員の守秘義務など問題にする
より、まずは公開義務を定めなくては
なりません。
政府への信頼が失われた今、旧来の
統治スタイルである
「由らしむべし知らしむべからず」は
もはや通用しないと思います。
情報公開なくして、つまり医療制度の
効率を個人的な経験や感情で議論している
今の構造では、我が国の医療がよくなる
はずはありません。
実は今回のフォーラムで一番期待して
いたのが、何故日本は近隣諸国や米国と
比べて軍事費は少なく、米国のGDP比14%、
他のOECD諸国に比べても医療費が9%以下
と低いにもかかわらず、何故、国庫と
地方自治体には借金がGDPの2倍近く積み重
なってしまったのか?
これは本当に、世界に先駆けて高齢化
だけが理由なのだろうか?
財務省は我が国の行政が世界で最も効率が
良いと自賛しているが、ではこの借金の様は
何なのか?
という疑問に対する解答でした。
どこに私たちはどうお金を使っている
のだろうか?
そしてその結果はどうなのか?
そんなこともこの国では分からない。
本当に不思議な国です。
まずは情報公開が、不思議の国からの
脱却に必要だと痛感いたしました。
皆さんと共に、頑張らなくては
なりません。
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>実は今回のフォーラムで一番期待して
>いたのが、何故日本は近隣諸国や
>米国と比べて軍事費は少なく、
>米国のGDP比14%、他のOECD諸国に
>比べても医療費が9%以下と低いにも
>かかわらず、何故、国庫と地方自治体
>には借金がGDPの2倍近く積み重なって
>しまったのか?
>財務省は我が国の行政が世界で最も
>効率が良いと自賛しているが、ではこの
>借金の様は何なのか?
>という疑問に対する解答でした。
>どこに私たちはどうお金を使っている
>のだろうか?
>そしてその結果はどうなのか?
>そんなこともこの国では分からない。
>本当に不思議な国です。
>まずは情報公開が、不思議の国からの
>脱却に必要だと痛感いたしました。
同感です。
大いなる無駄遣いがあるのだと思って
います。
一見情報公開されているようですが、
実に恣意的です。
正直で、客観的で正確な情報公開が必須
だと考えます。
そして自分の頭で考えましょう。
これからの未来に向けて、
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