白血球の炎症反応をブロックできる化合物を発見
白血球の炎症反応をブロックできる
化合物を発見
(免疫難病に対する新しい治療薬
の開発へ期待)
平成24年4月20日
九州大学
科学技術振興機構(JST)
詳細は、リンクを参照して下さい。
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JST 課題達成型基礎研究の一環
として、九州大学 生体防御医学研究所の
福井 宣規 主幹教授らは、DOCK2
(ドック2)タンパク質の機能を阻害する
化合物を同定し、これを用いて、白血球の
炎症反応がブロックできることを実証
しました。
これは、同研究所の錦見 昭彦 助教、
東京大学 大学院薬学系研究科の金井 求
教授、長野 哲雄 教授らの共同研究の成果
です。
免疫システムは、感染や病変から身を
守るための防御機構として機能している
反面、正常な細胞や組織に対して過剰に
反応することにより、自己免疫疾患注1)
や移植片拒絶などを引き起こすことが
知られています。
これは、現代医学が解決すべき大きな
課題のひとつであり、有効な治療薬の開発
が望まれています。
2001年に福井主幹教授らは、
DOCK2が免疫細胞に特異的に発現し、
免疫応答を制御する鍵となるタンパク質
であることを世界に先駆けて明らかに
しました。
DOCK2は、Racというタンパク質
を活性化させ、アクチン注3)の重合を
誘導し、白血球の運動や活性化を制御
します。
自己免疫疾患や移植片拒絶は、リンパ球
といった白血球が標的臓器に集まって、
活性化されることで引き起こされる病態
です。
そのため、DOCK2はこれら免疫難病
をコントロールするための分子標的となる
可能性があります。
共同研究グループは、約10,000種類
の化合物の中から、DOCK2に結合し、
Rac活性化を効果的にブロックできる
化合物を同定し、CPYPPと名付け
ました。
CPYPPをリンパ球に作用させると、
リンパ球の運動や活性化が顕著に抑制され
ます。
この成果は、自己免疫疾患や移植片拒絶
といった免疫難病に対する新しい治療薬、
予防薬(免疫抑制剤注4))の開発に
つながることが期待されます。
本研究成果は、2012年4月20日に
米国科学雑誌「Chemistry &
Biology」に掲載されます。
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免疫抑制剤は、かなり開発されていますが、
「副作用や危険性のない免疫抑制剤は存在
しない。」のです。
とは言え、どんな医薬品でも、多かれ
少なかれ、必ず副作用を伴います。
ということで、選択肢は多い方が良い
はず。
今回同定された、CPYPPという化合物
は、リンパ球の運動や活性化を顕著に抑制
出来るようです。
期待したい。
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