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2012年3月20日 (火)

慢性痛の原因となる神経炎症応答の増悪機構を解明-新しい鎮痛薬開発の可能性-

慢性痛の原因となる神経炎症応答の
増悪機構を解明
-新しい鎮痛薬開発の可能性-

2012年3月15日
京都大学プレスリリース

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 金子周司 薬学研究科教授、中川貴之
同准教授、原口佳代 同共同研究員らの
研究グループは、慢性痛の原因となる
末梢神経系や中枢神経系の神経炎症応答の
増悪機構に、イオンチャネルの一つである
TRPM2が関与することを解明しました。

 このことは、TRPM2を標的とした新しい
鎮痛薬の開発につながるかもしれません。

 この研究成果は、3月14日、米国科学雑誌
「The Journal of Neuroscience」に
掲載されました。


研究成果の概要
 まず、TRPM2遺伝子欠損マウスを用いて、
圧や熱による痛みに対する正常時の応答
(侵害受容応答)を検討しましたが、
いずれも変化は見られませんでした。

 このことは、TRPM2は生理的な痛み
(急性痛)には関与しないことを示して
います。ところが、炎症を引き起こす物質
をマウスの足の裏に投与した時に見られる
炎症性疼痛や、マウスの末梢神経
(坐骨神経)を細い糸で結紮し、人為的に
損傷させた時に見られる神経障害性疼痛は、
TRPM2遺伝子欠損マウスでは消失することを
発見しました。

 このとき、炎症部位や神経損傷部位周辺
では、TRPM2の量が顕著に増加している
こと、また、通常ならば多数の好中球や
マクロファージが浸潤し、炎症応答を
引き起こしているのですが、
TRPM2遺伝子欠損マウスでは、
マクロファージの数は変わらないものの、
好中球の数が減少しており、さらに、
好中球の浸潤を促すケモカインと呼ばれる
因子の一つであるCXCL2の量が減少している
ことを見出しました。

 また、このCXCL2は主にマクロファージ
から産生されており、TRPM2が関わっている
ことも確認しています。

 すなわち、TRPM2は、炎症時あるいは
末梢神経損傷時にマクロファージから
産生されるCXCL2の産生、およびそれに
引き続く好中球の浸潤に関与し、
末梢神経の過敏応答(末梢神経感作)に
関わっているのではないかと考えられます。

 さらに、神経障害性疼痛時に脊髄内で
見られるミクログリアの活性化も、
TRPM2の遺伝子欠損により消失することも
明らかにしました。

 これらの結果は、慢性痛の発症の基盤
となる末梢神経系および中枢神経系での
神経炎症応答の増悪機構にTRPM2が
関わっていることを示すものです。

 現在最も汎用される鎮痛薬である
抗炎症性鎮痛薬(アスピリンなど)の
抗炎症作用は部分的であり、また最も強力な
鎮痛薬として知られる麻薬性鎮痛薬
(モルヒネなど)は、痛みの伝達を抑制する
ことで鎮痛作用を発揮する
(生理的な痛みをも抑える)、
いわば対症療法的ものであり、両者とも
神経障害性疼痛に対しては無効あるいは
効果が弱いことが知られています。

 それに対し、TRPM2は、病態的な痛み
である慢性痛の発症の元凶となる
神経炎症応答そのものを、末梢および
中枢レベル双方で抑制できるため、
慢性痛を治療できる、
いわば「慢性痛治療薬」とも呼べる
新たな作用機序を持つ鎮痛薬の標的と
なり得ると考えられます。

 残念ながら現状では、TRPM2の活性を
強力かつ選択的に阻害できる薬物は
存在しませんが、現在、私達はそのような
薬物を探索しようとしているところです。
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>TRPM2は、病態的な痛み
>である慢性痛の発症の元凶となる
>神経炎症応答そのものを、末梢および
>中枢レベル双方で抑制できるため、
>慢性痛を治療できる、
>いわば「慢性痛治療薬」とも呼べる
>新たな作用機序を持つ鎮痛薬の標的と
>なり得ると考えられます。
そうですか。

>現在、私達はそのような薬物を
>探索しようとしているところです。
期待したい。

「慢性痛治療薬」早く世に出ると良い
ですね。

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