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2011年11月10日 (木)

「小さなRNA破壊の仕組みを解明 ―深まるRNA生物学―」

小さなRNA破壊の仕組みを解明
―深まるRNA生物学―

平成23年11月4日
東京大学記者発表

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 我々の体を構成する細胞の中で、
RNA(リボ核酸)は、通常DNA
(デオキシリボ核酸)・ゲノム(注1)が
もつ遺伝情報からタンパク質を組み立てる
際の、遺伝情報のコピー・タンパク質の
設計図として使われます。

 しかし、一方で、現在、タンパク質の
設計図とならないRNAが細胞の中には多く
含まれていることも明らかになっています。

  この中でも、マイクロRNA
(microRNA, miRNA)(注2)と呼ばれる
小さなRNAは、主に、タンパク質の設計図
となる他のRNAを抑制することで、様々な
タンパク質の産生を調節するという
ユニークかつ重要な機能をもっています。

 miRNAは、細胞の中でDNAから長いRNA
(miRNA一次転写産物)として作られた後、
核の中でDrosha(ドローシャ)と呼ばれる
RNA切断タンパク質によって切断される
ことで、ヘアピン状のやや小さなRNA
(miRNA前駆体)へと形を変えます。

 その後、miRNA前駆体は、細胞質で
もう1つのRNA切断タンパク質、
Dicer(ダイサー)(注3)によって
切断されることで、成熟型の小さなRNA
へと変換され機能するようになります。

 miRNAが細胞内で作られるこれらの過程
はこれまでの研究で明らかになって
きましたが、一方で、miRNAの量が細胞内
でどのように維持されているのか、
あるいは、miRNAの量が細胞内で減るときに
どのような仕組みで減るのかについては
ほとんど分かっていませんでした。

 例えば、がんでさまざまなmiRNAが
減ってしまうメカニズムを理解するため
には、特にこの謎を解明することが重要
です。

 今回、我々は、MCPIP1と呼ばれる、
Drosha、Dicerとは別の新たな
RNA切断タンパク質が、miRNA前駆体を
分解・破壊することでmiRNAの産生を抑制
することを突き止めました。

 これらの知見は、miRNAシステムの負の
調節機構を明らかにし、miRNAが作られ
機能する基本メカニズムと生命の進化の
過程におけるその変遷をより深く理解し、
がんなどのさまざまな病気でのmiRNAの
異常を理解するための新たな視点を提供
するものです。

 また、人工的な核酸などを薬として使う
場合の細胞内のRNAの変化を理解し
予測するためにも重要な知見であると
考えられます。

 この発見をもとに、miRNAと様々な疾患
の関係に関する研究、およびこれに基づく
診断・治療への応用に向けた研究が進展
することが期待されます。

 なお、本研究は東京大学大学院医学系
研究科と順天堂大学との共同研究により
行われました。

 また、本研究は文部科学省の科学研究費
補助金、グローバルCOEプログラムなどの
支援を受けて行われました。
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マイクロRNAね~

話は時々出てきますが、
まだまだわからないことぱかりという
所のようです。

さらに研究が進展し、実際の診断・治療へ
応用される時が来るよう期待しています。

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