生体試料から糖鎖を自動抽出する装置の実用化に成功
生体試料から糖鎖を自動抽出する装置の
実用化に成功
平成23年11月1日
システム・インスツルメンツ株式会社
北海道大学
科学技術振興機構(JST)
詳細は、リンクを参照して下さい。
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JST 研究成果展開事業(先端計測分析
技術・機器 開発プログラム)の一環
として、システム・インスツルメンツ
株式会社と北海道大学大学院先端生命科学
研究院の開発チームは、生体試料から糖鎖
注1)のみを自動で抽出できる装置の
実用化に成功しました。
この装置は、遊離の糖鎖分子が持つ
ヘミアセタールと呼ばれる部分と
ヒドラジド・オキシアミン担持ポリマー
注2)が化学的に結合する反応を利用して、
様々な分子が混在した生体試料の中から
糖鎖だけを選択的に抽出する
グライコブロティング法注3)を自動化
したものです。
捕捉した糖鎖は切り離したのちに
質量分析で糖鎖を測定しますが、測定の
ためレーザーを当てイオン化する場合、
一部の糖鎖の脱落や他のイオンの付加など
が起こり、定量性が失われる事があります
が簡易な修飾法を検討した結果、定量性を
維持したまま種々の糖鎖の一斉解析が
可能となりました。
従来、糖鎖を分析するには手作業で糖鎖
の抽出を行っていたため、1検体を分析
するには3日間もの時間を要していました。
本装置では、96検体を半日で処理
できる上、従来法と比較して2倍にのぼる
種類の糖鎖を検出できます。
糖鎖は、細胞の分化・成長や臓器形成、
免疫及び老化などの基本的な生命現象や
病気において、広く深く関わっています。
たとえば、癌や糖尿病をはじめとする
多くの疾患に羅患すると、糖鎖の構造が
変化します。
こうした糖鎖の変化を網羅的に研究する
分野はグライコミクスと呼ばれており、
成長・疾病・感染症などが起こる
メカニズムの解明や、診断などに役立つと
考えられています。
しかし、従来から行われてきた糖鎖の
精製操作は非常に難しく、熟練した研究者
が数日かけて作業する必要がありました。
そのため、糖鎖研究の重要性が知られて
いたにもかかわらず、糖鎖を研究する
研究者も限られ、グライコミクス分野の
研究もなかなか進みませんでした。
開発した糖鎖自動抽出装置は、血清から
全自動で迅速かつ網羅的に糖鎖抽出を行う
ことができます。
北海道大学 大学院先端生命科学研究院の
西村 紳一郎 教授は、本装置を用いて
腎癌文献3)などの疾患に関連する
糖タンパク質由来の糖鎖を解析したところ、
腎癌患者において血清N-結合型糖鎖に
特徴的な変化が生じていることが分かり、
臨床病期、腎摘除術後の再発・転移などと
関連する糖鎖構造も同定されました。
本成果は、疾患関連糖鎖データベースを
もとにして疾患予測・判定する際の
アルゴリズムの開発なども含めて臨床検査
機器としての全自動糖鎖解析システムの
展開も期待されます。
本装置及び小型の汎用機は、
システム・インスツルメンツ株式会社が
11月から受注販売を開始します。
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>糖鎖自動抽出装置を用いることで
>網羅的な糖鎖解析であるグライコミクスを
>進めることが可能となりました。
ということでGoog Newsです。
今後に期待したい。
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