海水を冷房に活用、タヒチのリゾートホテルの挑戦 環境ビジネスの今
海水を冷房に活用、タヒチの
リゾートホテルの挑戦 環境ビジネスの今
2011/11/15 日本経済新聞
詳細は、リンクを参照して下さい。
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南太平洋、最後の楽園とうたわれる
タヒチ。
中でも人気のあるボラボラ島には一流
ホテルが集まり、世界各地から旅行者が
やってくる。
ここに2006年に開業した「インター
コンチネンタル・ボラボラ・リゾート&
タラソ・スパ」では、世界初の試みである
海水冷却
(SWAC=SeaWater Air Conditioning)
システムが稼働し、経済性と環境保護の
両面で成果を挙げている。
・エネルギー消費量を9割削減、
初期投資を回収
深海の冷水で館内を冷房するSWACは、
同ホテルを所有しインターコンチネンタル・
ホテルズ・グループに運営委託している、
地元のデベロッパーである
パシフィック・ビーチ・コマ社が実用化
した。
SWACのシステムは簡単だ。
まず、3~4℃の深海水が得られる
水深970mの海底付近から地上の熱交換器
まで、2kmほどのチタン製パイプをつなぐ。
ポンプでくみ上げた深海水は、5~7℃の
水温になって熱交換器に入る。
この深海水によって、ホテル施設内を
循環する12~15℃の水を約8℃の冷水に
する。
その冷水を冷房設備に供給することで、
ホテルの館内に冷風を送るわけだ。
設置はハワイの
マカイ・エンジニアリング社が担当した。
サンゴを傷付けずにパイプを設置する
のに工夫を要したという。
冷房設備は空調大手メーカーの一般的な
機器を使用。
くみ上げた深海水は、熱交換で温度が
上昇した後、そのまま海に戻す。
余剰の深海水はタラソ・スパや、浴室や
プールなどにも利用する。
通常の冷房システムを同ホテルに設置
した場合、初期投資額は約150万ドルと
見積もられたのに対し、このSWACシステム
には790万ドルかかったが、通常の冷房に
比べエネルギー消費量は9割削減できた
という。
環境対策への35%免税措置(270万ドル)
を考慮すると、既に投資を回収できた
計算になる。
・再生可能エネルギー100%を目指す
深海水を活用するというアイデアは、
米国の俳優、故マーロン・ブランドが
温めていたものだ。
映画「バウンティ号の反乱」の撮影で
タヒチを訪れその自然と人々に魅了され、
タヒチの女性と結婚、1965年にタヒチ本島
の南西約50kmにあるテティアロア諸島の
オネタヒ島を購入した。
以来、タヒチの環境保護についてアイデア
を出し、提唱してきたという。
残念ながら彼自身はSWACの実用化を見る
ことなく2004年に亡くなったが、
「オネタヒ島に史上初の豪華にして究極の
エコリゾートを造る」という長年の夢を、
友人でもあったベイリー氏に託した。
そして2012年末、この島は世界初の
100%自給自足エネルギーで運営する、
CO2排出ゼロを目指す高級エコリゾート
「ザ・ブランド」として開業する。
SWACのほか太陽光パネルと筒型の
風力発電、環礁のすき間を流れる海水を
利用した小型水力発電などを設置する。
風力発電で一般的なプロペラ型を
採用しなかったのは、プロペラによる
野鳥への被害を避けるためだ。
また、地元のコプラ産業と共に、
ココナツ油をベースにしたバイオ燃料を
ガソリンの代替として活用する。
欧米の経済不況は南洋の楽園にも影響を
及ぼしている。
タヒチ本島からも遠く離れた
エコリゾートの建設には、多くの困難を
伴う。
「現代の楽園は人が尽力をして保護
しなければ存続が危うい。
このためにも持続可能な投資こそが
長期的には収益率と資産価値も高める
ことを、実践しながら実証し続けたい」
(ベイリー氏)。
艶やかなロマンに生きたブランドの夢が
ようやく形になる。
(ジャーナリスト 篠田香子)
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>2012年末、この島は世界初の
>100%自給自足エネルギーで運営する、
>CO2排出ゼロを目指す高級エコリゾート
>「ザ・ブランド」として開業する。
素晴らしいですね。夢を実現する。
理想です。
しかもエコ。
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