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2011年10月19日 (水)

嗅覚を失うまで行方不明者を捜し続けた“小さな勇者”災害救助犬が被災地で見た「とり残された弱者」の悲哀

嗅覚を失うまで行方不明者を捜し続けた
“小さな勇者”災害救助犬が被災地で
見た「とり残された弱者」の悲哀

――災害救助犬調教師・村田忍氏と
救助犬・レイラのケース
2011年10月18日 DIAMOND online

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 3月11日の震災直後に現地に入り、命がけ
の人命救助を行なったボランティアと
犬がいる。

 災害救助犬調教師の村田忍さんと
災害救助犬・レイラは、自衛隊とともに
宮城や岩手で生存者の捜索を続けた。

 だが、それはいつしか「遺体捜索」に
なっていく。
 さらに、東京電力の原子力発電所が
爆発した福島では、人間の尊厳が
踏みにじられている実態を目撃していく。

 今回は、村田忍さんに取材を試みること
で大震災の「生と死」に関わる真実に
迫りたい。


・震災直後は涙を流す人さえいなかった
・遺体を見つけて困った顔をする
 災害救助犬

「サーチ!」

 女性の声が響く。

 その数メートル前を歩く災害救助犬が、
津波で破壊された家などのがれきの山に
入っていく。臭いをかぎながら人を探し
始めた。それを同行した自衛隊員や
消防団員も見守る。

 警察犬は地面の臭いをかぎ、生存者や
犯人などを探し出すのに対し、災害救助犬
は空気中の臭いから生存者を発見する。

 しばらくすると、犬は皆のほうをじっと
見る。背中の毛が逆立っている。
災害救助犬調教師の村田忍さんは、
こう語る。

「あの場所では、遺体しか見つけられ
なかった。レイラは、生存者を探すように
訓練されている。だから遺体を見ると、
『どうしたらいいの?』と相談をする
ためにそばに寄ってくる」

 村田さんは、レイラの顔つきやしぐさ
などからメッセージを感じ取る。それは、
「発見したけどどうも違うよ」といった
ものなのだという。遺体には、腕や足が
もぎとられているものがあった。

 村田さんは、ゆっくりと話す。

「始めは、人のものとは思えなかった。
 私も自衛隊員や消防団員も、怖いとか
悲しむといった感情をシャットアウト
されていたように思う。もしかしたら、
それが人間の防衛本能なのかもしれない。
 そうでないと、あの場に長くは
いられない」

 がれきの中を進むと、現地の人と
すれ違うことがあったが、涙を流している
人はいなかったという。

「泣く人が現れたのは、それから数日後。
 震災直後は、感情を表に出す人は
ほとんどいなかった」


・ボランティアとして参加した人命救助
・遺体を嗅ぎすぎた愛犬は嗅覚を失った

 村田さんは震災翌日の3月12日、自衛隊
と共に岩手県の大船渡市にレイラを連れて
入った。その後も南に進み、宮古市、
宮城県の気仙沼市に行った。

「けがをしても、そのときは自己責任。
 命が奪われることになっても、心の準備
はできている。まして今回は、死者・
行方不明者が多い。レイラが災害救助犬
としての使命を終えることも、覚悟して
いた」

 犬の嗅覚は、嗅ぎ分ける臭いにより違い
があるものの、人間の約1000倍と言われる。
 遺体の臭いをたくさんかぐと、その臭い
が強過ぎるために嗅覚が弱くなり、
災害救助犬としては働くことができなく
なるのだという。

「養護施設などで働きつつ、少しず
貯めたおカネでドイツからレイラを
買った。

 この子は、スイス血統のメスの
シェパード。災害救助犬と呼ばれるのに
ふさわしいレベルに育てるまでに、時間も
エネルギーも使った。だから大事な犬。
 だけど、それ以上に人の命はかけがえの
ないもの」

 私が村田さんの営む岩手県の金ヶ崎町
にある牧場を訪れたのは、10月上旬。
 そのとき、レイラはかつての嗅覚を
失っていた。

「この子にとっては、それは“死”を意味
する。ここ7~8年、来るべき日に備え、
念入りに訓練をしてきた。災害救助犬は
体力が必要。多いときは、1日で30キロ
走り込んだ。深夜の午前2時、私が車で
運転し、その後をレイラがついてくる。
 この子はそれをやり遂げた」

途中省略-----

 フリーの身で活動をしている。
 組織のしがらみに拘束されることがない
ため、被災地に入るタイミングが早い。
 初期出動が早いから、人を救える可能性
も高くなるのだという。

「今回も警察犬などは、3月11日から数日後
に現地に入った。あれでは遅い。
 翌日に入った私でさえ、生存者を見つける
ことができなかった。引き波が終わって、
数時間以内に行くことができていたなら、
助かった人はいたはず」

途中省略-----


・目の前の光景は理解を越えていた――。
・ケガをしながらも生存者を探したレイラ

「あのときの心理状態は、普通では
なかった。目の前のことが、理解できる
範囲を越えていた。精神を冷静に保つため
に、感情とか食欲を抑え込んでいたのかも
しれない。レイラも、次第に落ち込んで
いった」

 災害救助犬は、生存者を探すことが使命。
 しかし、1人も見つからない。
 遺体を発見するたびに、レイラの表情は
曇っていく。
 村田さんはその心理を説明する。

「この子は、きっとヘコんでいたのだと
思う。生存者を見つけると、私が誉める。
 だけど、あのときはそれが
できなかった」

 レイラはがれきで足の裏をけがしながら
も、生存者を探し続けた。

「警察犬などは15分ほどしか集中力が持た
ない。だけど、この子は生存者を見つける
まで、あきらめない」

 しかし、生きている人はいなかった。
 1週間でレイラは体重が半分になった。


・「人間の尊厳を踏みにじられている」
・立ち入り禁止区域で右往左往する遺族

 村田さんは3月下旬、単身で福島に
入った。南相馬市には放射能の汚染のため、
立ち入り禁止区域があったが、そこの馬や
牛、ヤギ、豚、犬などを救おうとした。

 それ以降、半年以上にわたり、多いとき
は週に4日、岩手の金ヶ崎町から車を運転
し、現地に向かい、動物の救助活動を
続ける。それらを自身のツイッターで
情報発信もする。

「もう引けない。放射能で汚染され、
たとえ将来がんになって死を迎えても、
後悔はしない」

 村田さんは、東京電力の原子力発電所の
爆発後に、現地で生じた問題を「人災」と
言い切る。

「住民と接するところには、福島県警の
警官がいない。住民は、警官に知り合いが
いる。県警本部はそれを意識し、この地に
縁がない関西の警察官を配置したのでは
ないか」

 村田さんは繰り返す。

「カラスに食いちぎられるなんて、人の
尊厳を踏みにじられている」

 他の禁止区域を回ると、パトカーの中
には40~50代の警官がいて、30代前半まで
くらいの若い警官が警備に当たっている
光景が目につくという。

「20キロ圏内の境界線から数十メートル
のところで、防護服を着ないまま、23歳の
警官が立ち続けていた。
 ベテランは車両の中で寝ていた」


・立場が強い者が身を守り、
・弱い者が死の恐怖を味わわされる

 ある日、警察や自衛隊が昼過ぎに一斉に
いなくなった。普段は夕方まではいる。
 村田さんは「何かが起きた」と咄嗟に
感じた。数日後、新聞が原発にさらなる
爆発の可能性があったことを報じた。

 村田さんは、岩手や宮城での自衛隊や
警察の捜索活動は評価しながらも、福島
での活動については冷めた目で見つめる。

「こんなことが、もう4回も起きている。
 自衛隊や警察は、危険を察知すると
いち早く避難する。その情報を、地元の
消防団員やここに残る住民に伝えない。
 住民は自衛隊や警察だけでなく、政治も
信用していない」

 そして、消防団員らに気を配る。団員は
何も知らされることなく、腐敗が進んだ
遺体の捜索を今も続ける。

「ここでは立場が強い者が身を守り、
弱い者が死の恐怖を味わわされる。
 亡くなった人、それを助けに行くこと
もできない家族、若い警官、消防団員、
そして動物」

村田さんは言う。

「絶対におかしなことが起きている……」

途中省略-----


・“生き証人”の証言から学ぶ
・防災の心得

 村田さんの証言から私が感じ取った、
今後の防災を問い直す上で検証すべき
点は、主に以下の3つである。

1.初期出動を一段と早める体制を急いで
 つくる

2.「命がけのボランティア」に対する認識
 や評価を高める
 私も参加したが、一般のボランティアと
 村田さんのような命がけの行動をとる
 人たちは、その志や考え方、行動などが
 相当違う。これらの違いを踏まえること
 なく、「ボランティア」として同じ
 ように扱うことには無理があると思う。

 新聞やテレビ、有識者などは、その違い
を認識できていないケースがある。

 そもそも、村田さんのような存在に
関心をあまり払わない。

 前回の記事で紹介した消防団員も、
特別職の公務員とはいえ、年間の報酬は
数万円であり、ボランティアのような
ものだ。

 これまた、新聞やテレビに出ている
有識者は、自治体本部の消防職員と区別が
できていないことがある。

 私は知事、市長、町長らが、村田さんや
消防団員らの「命がけのボランティア」を
様々な場で称えることが急務と考える。

 この人たちを認める世論を行政がリード
する気概が、あってしかるべきだろう。

3.原発付近の遺体の様子など、一層の
 情報開示を

途中省略-----

 もしかすると、この国では多くの人が
「命は大切」と言いながら、それを
守ろうとする人たちを、実は軽く扱って
きたのではないかと思えてならない。
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こういう人達がいたこと、行動したことを
しっかり反省し、今後に生かさなければ
いけないと思います。


>「あの場所では、遺体しか見つけられ
>なかった。レイラは、生存者を探す
>ように訓練されている。だから遺体を
>見ると、『どうしたらいいの?』と
>相談をするためにそばに寄ってくる」

>村田さんは、レイラの顔つきやしぐさ
>などからメッセージを感じ取る。それは、
>「発見したけどどうも違うよ」といった
>ものなのだという。遺体には、腕や足が
>もぎとられているものがあった。

現場の状況、厳しさ、重さがひしひしと
伝わって来ます。
レイラがもし話せれば、なんと言う
だろう?


>「けがをしても、そのときは自己責任。
>命が奪われることになっても、心の準備
>はできている。まして今回は、死者・
>行方不明者が多い。レイラが災害救助犬
>としての使命を終えることも、覚悟して
>いた」
尊敬します。
誰でもできることではありません。


>犬の嗅覚は、嗅ぎ分ける臭いにより違い
>があるものの、人間の約1000倍と言われる。
>遺体の臭いをたくさんかぐと、その臭い
>が強過ぎるために嗅覚が弱くなり、
>災害救助犬としては働くことができなく
>なるのだという。
知りませんでした。


>「養護施設などで働きつつ、少しず
>貯めたおカネでドイツからレイラを
>買った。

>この子は、スイス血統のメスの
>シェパード。災害救助犬と呼ばれるのに
>ふさわしいレベルに育てるまでに、時間も
>エネルギーも使った。だから大事な犬。
>だけど、それ以上に人の命はかけがえの
>ないもの」
そうですね。
「人の命はかけがえのないもの」


>災害救助犬は、生存者を探すことが使命。
>しかし、1人も見つからない。
>遺体を発見するたびに、レイラの表情は
>曇っていく。
>村田さんはその心理を説明する。

>「この子は、きっとヘコんでいたのだと
>思う。生存者を見つけると、私が誉める。
>だけど、あのときはそれが
>できなかった」

>レイラはがれきで足の裏をけがしながら
>も、生存者を探し続けた。

>しかし、生きている人はいなかった。
>1週間でレイラは体重が半分になった。
こんなに一生懸命に働いたのに、
残念ですね。


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>もしかすると、この国では多くの人が
>「命は大切」と言いながら、それを
>守ろうとする人たちを、実は軽く扱って
>きたのではないかと思えてならない。
そうですね。

現場で命がけで、命を守ろうとした
人達のことをもっと伝えるべきだと
思う。

>私は知事、市長、町長らが、村田さんや
>消防団員らの「命がけのボランティア」
>を様々な場で称えることが急務と考える。

>この人たちを認める世論を行政がリード
>する気概が、あってしかるべきだろう。
私もそう思います。

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