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2011年10月10日 (月)

原発5基分の電力が燃料費タダで手に入る

原発5基分の電力が燃料費タダで手に入る
廃棄物発電の潜在力と再生可能エネルギー
全量買取法の弱点

2011年10月6日 日経ビジネスONLINE

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 脱炭素時代の実現と同時に脱原発時代の
実現のために新エネルギーの普及が期待
されている。

 その切り札として再生可能エネルギー
全量買取法(FiT法)が8月26日に成立
した。

 しかし、現時点で最も発電単価の高い
太陽光発電が優遇される一方で、最も安価
な廃棄物発電はFiTの対象から除外された。

 原発事故とFiT導入を契機として日本の
エネルギー政策がどう変わるか、
その問題点とこれからの方向性を考えて
みたい。

 現時点でもっとも安価な非化石燃料発電
は廃棄物発電である。

 発電しなくても焼却炉は必要なため、
イニシャルコストは熱交換器や発電機など
の追加設備だけですむ。
 燃料は無料であり、逆に処理費を
もらえる場合もあり、ランニングコストが
ほとんどかからない。

 それにもかかわらず廃棄物発電がFiTから
除外された表向きの理由は、迷惑施設
である焼却炉が乱立することを避けたい
からということだが、環境省も経済産業省
も廃棄物発電や廃棄物燃料化をサーマル
リサイクル(熱源再利用)として推奨して
きた。

 現在、廃棄物発電の能力は一般廃棄物
焼却炉167万キロワット、産業廃棄物焼却炉
64万キロワット、合計231万キロワットで
ある。

 これは原発約2基半に相当し、太陽光発電
(263万キロワット)や風力発電
(219万キロワット)に匹敵する実力
である。

 一般廃棄物焼却炉の発電能力が高いのは、
自治体が清掃工場を建設する際に、
熱回収率10%以上の発電設備を併設すれば
補助金を得られるからであり、発電施設の
平均熱回収率は11%となっている。

 これに対して民間企業が設置する
産業廃棄物焼却炉で補助金を得るには、
熱回収率23%以上(施設規模により
15.5%以上~25%以上)という技術的限界
に近い基準が設定されている。

 さらに自治体と違って電力会社から
余剰電力の買取を拒否されることが多い
ため、多くの施設で自家消費用の
小型発電設備に甘んじている。

 この差は歴然で、発電設備のついた
産業廃棄物焼却炉の熱回収率は平均3%
である。

 しかし逆に言うと産廃用焼却炉の
発電余力は大きい。

 代表的な最新式の100トン級キルン・
ストーカー炉の場合、熱回収率15%で
5000キロワットの発電が可能だが、
自家消費用に限定すると500キロワット程度
の出力に抑制されてしまう。

 利用可能なエネルギーがムダに捨てられて
いるのである。

 大型炉ほどムダは大きく、廃棄物を
燃料として大量に焼却しているセメン
ト焼成炉の熱回収率はわずか平均0.6%に
すぎない。

 熱交換器などを大型化して熱回収率を
15%まで引き上げると、既設の発電設備付き
産業廃棄物焼却炉で50万キロワット、
セメント焼成炉で200万キロワットの
発電能力追加が可能である。

 さらに発電設備のない焼却炉1000炉に
新たに平均1000キロワットの発電設備を
設置すれば、100万キロワットの発電能力
を得ることができる。

 つまり、焼却炉を新設しなくても、
廃棄物発電は500万キロワット以上の
潜在的能力があると言える。

 原発5基分の電力が燃料費タダで手に
入るのだから、廃棄物発電の芽を摘ん
ではならない。

 産業廃棄物処理業者が焼却炉に大型の
発電設備を取り付けようとしたところ、
電力会社から系統連携や余剰電力買取を
拒否されたという話をよく聞く。

 廃棄物発電所を工業団地内に建設し、
隣接の工場に直接給電しようとした
ところ、購入予約した工場が電力会社
から給電を停めると脅かされ、直接給電を
断念したという話すら聞いたことがある。

 2000年の電気事業法改正によるPPS
(特定規模電気事業者、電力会社の送電線
を借りるなどして50キロワット以上を工場
などに小売り)の導入により、超高圧、
高圧の電力小売は自由化されており、
電力会社はPPSからの系統連携申請を拒め
ないこととされているので、産廃業者の
こうした不満を電力会社は表向き否定して
いる。

 しかし、PPSの電源が逆潮流になって系統
が混乱し、電力の安定供給が損なわれる
という理由、あるいは系統を強化する費用
が高額になるという理由により、電力会社
には系統連携拒否権が認められている。

 このため実際には電力会社から系統連携
を断られたためにPPS参入をあきらめたり、
余剰電力が生じないように自家発電装置を
わざと小型のものにしたりという事例が
少なくないのである。

 電力会社の系統につながれた多様な
電源は逆潮流となって系統を混乱させる
が、とくに発電量が安定しない風力発電
や太陽光発電ではこの問題が大きい。

 PPSやRPSでも逆潮流を理由に系統連携
拒否権が発動される例が目立ったが、
FiTにより新エネルギー電源が増えれば、
逆潮流の問題はこれまでの比ではなくなる。

 しかし、逆潮流を制御するための系統
強化コストを国、電力会社、新エネルギー
事業者のいずれが負担するのかといった
議論は曖昧なままである。

 電力会社の連携拒否権はFiTでも
認められている。

 北海道電力はFiT法成立直前に、道内の
風力発電の新規買取りしないと発表して
予防線を張り、FiT歓迎ムードに水を
差した。

 連携拒否権による買取枠の設定を
電力会社に認めれば、FiTは早い者勝ちで
頭打ちになり、通信自由化のようには
電力自由化は進まない。

 この系統安定という錦の御旗を降ろさせる
には、発送電分離
(発電、送電、配電の分離)を行い、
送電網を電力会社から切り離して独自の
事業として強化していかなければならない。

 PPSの高圧線連携では30分間隔で系統電力
の調整を行っているが、この程度の技術
ではとてもFiTの時代には間に合わない。

 PPSを家庭やオフィス、コンビニにも開放
して電力自由化を完成させ、FiTによって
導入が促進される太陽光発電所や
風力発電所、各事業所や各家庭の太陽電池、
燃料電池、さらには電気自動車や燃料電池
自動車などの分散した電源との系統連携を
行うには、スマートグリッド(各需要先に
スマートメーターを設置し、電力の需要と
供給を戸別に制御する技術)によって系統
の逆潮流を調整するシステムを構築する
必要がある。

 これは日本の電力会社が世界一のシステム
だと自負して維持してきた系統安定システム
をスクラップすることを意味し、既存の
電力会社に任せていたのでは進展しない。

 電力会社の送電網がダウンしてしまえば、
PPSの発電機がたとえ動いていても、
需要先に送電することはできない。

 廃棄物発電を行なっている焼却炉でも、
非常用発電機は焼却炉をクールダウン
(安定停止)させるためのもので、停電時
に継続運転することを想定していない。

 つまり電力会社の送電が長期間ストップ
する事態になれば、PPSも新エネルギー発電
も廃棄物発電などの自家発電の多くも
共倒れとなるのである。

 電力自由化が進んだ国の状況を見ると、
競争により電気料金の低下や新エネルギー
への転換が進展したかわりに、電力供給が
不安定になり、停電の頻度が増している。

 日本でも電力会社の独占が壊れれば、
電気料金が下がることと引き換えに、
無停電神話が崩れることが予想されるが、
その前に東日本大震災で無停電神話は
崩壊した。

 災害に強いエネルギーシステムを構築
するには、単に電源を分散させるだけ
ではなく、分散した電源を系統ダウン時
には自立的に稼働させるシステムに
しなければならない。

 東日本大震災がなくても日本の
エネルギー構造は転換期に来ていたが、
福島第一原発事故によって待ったなし
の状況に追い詰められた。

 電源の分散と自立を考えながら、
PPSによる電力自由化、FiTによる
新エネルギーの普及、スマートグリッド
による電力需要の制御、発送電分離、
直流利用などの政策と技術を
ポリシーミックスとして進めて行けば、
脱炭素と脱原発を同時に実現する道筋が
はっきり見えてくるに違いない。
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無駄がまだまだ沢山ありますね。
原発5基分の電力が燃料費タダで手に入る
廃棄物発電ができるのにしない。

>連携拒否権による買取枠の設定を
>電力会社に認めれば、FiTは早い者勝
>ちで頭打ちになり、通信自由化のよう
>には電力自由化は進まない。
のは目に見えている。

ひどい話なのにどうして変えて行こうと
しないのか?

安定な電力の存在などもう崩壊したと
思う。
多様な電力の混在は出来ないシステム
であり、かつ危機に弱いシステムです。

電力会社の送電が長期間ストップする
事態になれば、PPSも新エネルギー発電
も廃棄物発電などの自家発電の多くも
共倒れとなるのです。

多様な電源が共存でき、かつ分散と自立が
できるもっと危機に強い電力網としなければ
いけないはずです。

今回の大震災でわかったはずなのに。

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