見逃されている原発事故の本質
見逃されている原発事故の本質
東電は「制御可能」と「制御不能」の
違いをなぜ理解できなかったのか
2011年5月13日 日経ビジネスONLINE
詳細は、リンクを参照して下さい。
かなり前の記事です。
こういう記事を見ると腹が立って仕方が
ない。
>1つは「今後も電力事業を地域独占の
>ままに保っていいのか」という課題。
>もう1つは「この原発事故の原因の本質
>は何か」という課題だ。
これをしっかり検証せずして賠償も何も
ない。
どう考えても人災である。
受ける津波の規模にしても、全電源が
喪失するということについても、
余りに想定が甘すぎる。
原発には最後の砦が沢山あったはず、
その砦の動作に対してどう対処したのか?
その後のニュースを見ているとどうも
不適切に感じる。
この最後の砦のことはさておいて、不能後の
対処については、この記事によると、
---------------------------------------
事態が「制御不能」の次元に入ってから
20時間後のことであった。
以下に、まとめておこう。
1、3月11日16時36分に非常用炉心冷却系
(ECCS)が止まってから8時間は、1号機
は隔離時復水器(IC)が作動して
「制御可能」の状態にあった。
元来、隔離時復水器(IC)は、最長
8時間作動するように設計されていた。
2、そして隔離時復水器(IC)停止後に、
この1号機は「制御不能」の事態に陥って
しまい熱暴走が起きることを、現場の
技術者は知っていた。
3、ならば、この「執行猶予」の時間内に
冷却機能の復活を試みることと並行して、
原子炉崩壊熱を上回る熱容量をもつ
注水(毎時25トン)の準備をして
おかねば、この熱暴走を止める手立ては
なかった。
結局「執行猶予」の時間内には冷却機能
の復活はなかったので、隔離時復水器
(IC)の停止と同時に、毎時25トンの
注水をしていれば1号機を「制御可能」
の状態にとどめて置くことは可能だった。
4、ところが、実際には即座の注水は
行なわれることなく、隔離時復水器停止
の約8時間後に炉心の露出が始まった。
炉心の露出が始まる直前に淡水注入が
行なわれたものの、その量は毎時10トン
で功を奏さず。ようやく海水注入が
行なわれたのは、1号機が「制御不能」
の事態に陥って約20時間後のことだった。
3号機の場合も、非常用炉心冷却系
(ECCS)は、津波の到来による
非常用電源の停止と同時に停止したと
推測される。
すなわち、3月11日16時36分。
その後、12日19時以降13日13時まで
原子炉の水位データが欠落している
ものの、「13日4時15分 有効燃料棒頂部
まで水が減少」という官邸情報を用いると、
3号機の原子炉隔離時冷却系(RCIC)は
12日の23時から24時の間に停止したと
考えられる。
従って、この3号機の「最後の砦」は、
約32時間動作して炉心を冷やし続けた
ということになる。
ところが、海水注入が行なわれたのは、
13日13時12分。
3号機が「制御不能」の事態に陥って
約14時間後のことだ。
1号機と同様、意思決定に異常なほどの
遅れが認められる。
この異常な遅れのゆえ、海水注入に
よっても原子炉の水位を上げることは
全くできず、炉心溶融は深刻であったと
推測される。
以上、論証してきたように「『最後の砦』
としての隔離時復水器(IC)ないし
原子炉隔離時冷却系(RCIC)が停止すれば、
それから事態は『制御不能』の事態に陥る。
よって停止と同時に、間髪を置かずに
海水を注入する以外に暴走を止めることが
できない」ということが、前もって
100%予見可能だった。
現場の技術者はプロフェッショナル
なので、全員が以上のように予見したに
違いない。
しかし、海水を注入することは、
取りも直さず原子炉を廃炉にすることを
意味する。
従ってその意思決定は勝俣恒久会長や
清水正孝社長をはじめとする経営陣に
しかできない。
4月13日に清水社長は「福島第1原発事故
発生後のベント(排気)と海水注入の実施
について自分が判断した」と明らかにした
という。
しかし1号機の場合、「制御不能」の事態
に陥って20時間後に海水注入は行なわれて
いるから、東電の経営陣は、むしろ1号機
について20時間もの間、海水注入を拒んだ
ということができる。
すなわち東電の経営陣は、技術が
「制御不能」になるとはどういうこと
なのかを、20時間かけてようやく理解した
ということだろう。
だから、この事故が「初動のミス」
つまり「ベントが遅すぎたり注水が少な
すぎたりしたから起きた」と単純に理解
してしまっては、本質を見誤る。
そうではなくて、物理限界を特徴づける
境界の位置と特徴、そして構造を、東電の
経営陣は理解できなかったから、この事故
は起きたのだ。
すなわち、この原発事故の本質的原因は、
「技術」にあるのではなく「技術経営」
にある。
よって、元来「制御可能」だった事故を
みずからの判断ミスで「制御不能」に
してしまった東電の経営責任は、
計り知れないほど大きいと言えるのでは
ないだろうか。
日本の独占企業が、「インテリジェンス」
を持たない経営陣を選び取ってしまうこと。
それは、もはや「日本の病」に通ずる。
読者の方々には、この「事実」に関する
ご意見をぜひともうかがいたい。
と同時に、東電はこれからどうすれば
いいのか、国民の問題として考えたい。
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同感です。
>元来「制御可能」だった事故を
>みずからの判断ミスで「制御不能」に
>してしまった東電の経営責任は、
>計り知れないほど大きいと言えるのでは
>ないだろうか。
こういう記事が最近出ました。
「炉心溶融防げた?
海水注入4時間早ければ」
2011年9月16日21時07分 読売新聞
どうしてこれほどのミスを犯した
東電を守らなければいけないのか?
理解できない。
破綻させても、企業は継続できるはず。
今までの、銀行でも、JALでも経過を
見ればわかる。やり方は幾らでもある。
こういう話もある。
「野田政権は東電破綻処理を急げ――
このままでは日本は中国やロシアからの
巨額賠償請求の餌食になる」
DIAMOND online
是非見て頂きたい。
この点を除いても、現在進行中の
東電処理の仕方は間違っている。
今のままの電力地域独占で良いはず
がない。政府の処理の仕方は明らかに
間違っている。
まさに、
>「インテリジェンス」を持たない
>政治家を選び取ってしまうこと。
>それは、もはや「日本の病」に通ずる。
と思う。
改革の絶好のチャンスだったのに、
それをみすみす逃してしまった。
残念としか言いようがない。
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