薬事行政の矛盾、「置き薬」で露呈
薬事行政の矛盾、「置き薬」で露呈
2011年8月25日 日経ビジネスONLINE
詳細は、リンクを参照して下さい。
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医薬品のネット販売を規制した
改正薬事法。2009年6月の施行に伴って、
副作用リスクの低い「第3類医薬品」を
除き、医薬品のネット販売が原則禁止に
なった。
ケンコーコムなどネット販売大手は、
この規制が憲法違反として提訴したが、
2010年3月の東京地裁判決で敗訴。
現在、東京高裁で控訴審が続いている
(判決は9月上旬以降になる見込み)。
国民の耳目を集めるネット業界と国の
ガチンコ勝負。
その派手な戦いの裏側で、医薬品業界が
密かに恐れていることがある。
それは、厚生労働省が置き薬業界に
認めた“特例”。
この特例がアリの一穴となり、ネット勢
につけ入る隙を与えかねないためだ。
「越中富山の薬売り」で名高い置き薬は、
販売員が家庭や職場に配置箱を置き、次の
訪問時に使った薬を補充したり、代金を
回収したりするという「先用後利」の
仕組みが特徴だ。
江戸時代に始まった日本独自の医薬品の
販売形態であり、ドラッグストアが全盛の
今も300億円近い市場規模がある。
実は改正薬事法の議論の過程で、置き薬
業界には例外規定が設けられた。
その例外規定とは、法改正の前から営業
している既存の置き薬業者は従来扱って
いる品目に限り、薬剤師や登録販売者が
いなくても販売できるというものだ。
また、施行後に許可を得た置き薬業者
についても、薬剤師などの管理や指導の
下であれば、資格のない一般の販売員でも
配置箱の確認や点検、補充、代金精算
といった業務が認められている。
置き薬業者に特例を認めたのは、
改正薬事法の議論が紛糾する中で、
既得権者に一定の配慮を示さないと
改正薬事法の議論そのものが
まとまらなかったためだ。
この特例自体、改正薬事法の精神と
矛盾するものだ。
だが、それ以上に問題なのは、新たに
許可を得た業者に対しては、資格のない
販売員でも医薬品の補充ができるとした
点だ。
厚生労働省は、「最初に訪問した際の
『配置』と2回目以降の『補充』は別」
という解釈を取る。
「1回目の訪問で副作用や飲み方を説明
しているので問題ない」という判断なの
だろうが、ドラッグストアでは同じ人が
買いに来ても、その都度、対面で販売して
いる。
それに、一度説明したからといって、
補充の際に前回と同じ住人が出てくる
保証はない。
厚労省は配置と補充が別という“珍”
解釈を持ち出すことで、置き薬業界に
抜け穴を作ったわけだ。
結果として、代金回収の際に一般の
販売員が医薬品を補充することが常態化
している。
さらに、改正薬事法では、置き薬業者の
販売員が顧客に医薬品情報を求められた
場合、薬剤師や登録販売者が速やかに対面
で説明できるような体制の構築を求めて
いる。裏を返せば、携帯電話などですぐに
連絡が取れる体制を整えていれば、
有資格者がその場にいなくてもOKという
ことだ。
ただ、これも医薬品のネット販売規制を
合法と認めた地裁判決を考えれば、首を
かしげざるを得ない。
2010年3月の地裁判決を見ると、「医薬品
の対面販売」という改正薬事法の原理原則
を厳格に適用していることが分かる。
いわく、「対面とは異なり、会話や視認
ができないネット販売では顧客の属性や
状態を把握することは難しい」「副作用
などの禁忌事項を画面でチェックする
仕組みがあっても、その内容を確認し、
正しく理解しているかどうかは返信内容
からでは判断できない」。
さらに、「対面販売では薬剤師や
登録販売者がすぐに顧客の相談に応じる
体制ができているが、ネット販売では
自発的に質問しなければ相談の機会は
得られない」「相談してもすぐに回答が
返ってくるとは限らず、返信が来る前に
商品を購入してしまう可能性が高い」―。
このように、地裁判決では対面販売と
比較してネット販売のリスクの高さを
強調している。
ただ、相談後すぐに返答があるとは
限らないのは置き薬も同様だ。
冷静に考えれば、同様の指摘は置き薬
業界にも当てはまることが分かる。
だとすれば、置き薬業界で当然のように
行われている補充は普通に考えれば
おかしい。逆に、置き薬業界への便宜を
続ければ、ネット販売を排除している説明
がつかなくなる。
ネット販売を排除すればするほど、
厚労省の二重基準ぶりが浮き彫りになる
格好だ。
置き薬業界の存在はネットを排除した
薬事行政の矛盾を象徴している。
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>ネット販売を排除すればするほど、
>厚労省の二重基準ぶりが浮き彫りになる
>格好だ。
>置き薬業界の存在はネットを排除した
>薬事行政の矛盾を象徴している。
こういう事例がありながら、何故ネット
販売業者が起こした裁判で敗訴するので
しょうか?
敗訴にするのならば、置き薬業界も違憲と
しなくては行けないはず。
おかしな話が多い。
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