慶應、iPS細胞技術を利用してアルツハイマー病の「アミロイド仮説」を実証
慶應、iPS細胞技術を利用して
アルツハイマー病の「アミロイド仮説」
を実証
2011/09/09 マイコミジャーナル
詳細は、リンクを参照して下さい。
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慶應義塾大学(慶應)は9月9日、
アルツハイマー病患者の皮膚細胞から、
「人工多能性幹細胞」(iPS細胞)を作成する
ことに成功したと発表した。
今回の研究は同大学医学部神経内科の
研究グループと同生理学教室との共同に
よるもので、成果は医学雑誌
「Human Molecular Genetics」の
オンライン速報版で公開される予定だ。
日本は急速な高齢化に伴い、認知症の
患者数も比例して増えており、なんと
2030年には約350万人に達すると予測されて
いる。
患者ひとりに対して3人の介護人が必要と
されることから、2030年には1000万人以上
が介護に関わらなくてはならなくなる
という。
日本にとってこのことは重要な課題で
あり、画期的な治療法や予防法が開発
されることが希求されている現状である。
またアルツハイマー病は、認知症全体の
約半分を占める最も頻度の高い神経難病だ。
一般には65歳以降に記憶障害で発症し、
確実に進行して見当識障害や理解判断力の
低下が現れ、最終的には人格障害や
寝たきりの状態に至る、根本的治療法
のない難治性疾患である。
さらに、働き盛りの40歳代から発症する
若年性アルツハイマー病も近年注目されて
おり、生活基盤の崩壊、長期介護の必要性
から大きな社会問題となっている。
治療は対症療法が中心で、根本的治療の
開発は立ち後れており、完治は臨めない
のが現状だ。
アルツハイマー病患者の脳では、
神経細胞で作られる「アミロイド前駆体
タンパク質」が切断され、その断片の
一部が「ベータアミロイド」として、
細胞外に放出される。
このベータアミロイドが過剰になると
神経細胞に毒性に働き、認知機能の低下、
さらには神経細胞の死滅させて
アルツハイマー病を発病させるという
考え方が「アミロイド仮説」だ。
これまでの研究で、アルツハイマー病患者
の脳には、ベータアミロイドが多量に蓄積
していることがわかってきている。
さらに培養細胞やマウスによる実験から、
アルツハイマー病では、アミノ酸の数が
40個と42個からなる2種類の
ベータアミロイドの内、毒性の高い
「ベータアミロイド42」が過剰に産生
されている可能性が示された。
つまり、ベータアミロイド42を減少
させることができれば根本治療につながると
考えられているのだが、このアミロイド仮説
を立証するには患者の生きた神経細胞で
確認せねばならず、これまでの技術では
それを行うにはまだ困難だったという
わけだ。
そして、神経難病の研究に画期的な手法
となるとして期待されているのが、
iPS細胞。
しかし、高齢者の疾患である
アルツハイマー病のiPS細胞の樹立、解析
には困難が伴い、世界的な研究競争が
行われているのが現状である。
今回の研究では、アルツハイマー病の内の
2~3%とされる遺伝性の
「家族性アルツハイマー病」患者
(プレセニリン1もしくは2変異)の
皮膚繊維芽細胞よりiPS細胞を作成し、
神経細胞の誘導に初めて成功した。
さらに、患者由来の神経細胞では、
ベータアミロイド42の産生が通常の2倍に
増加していることも確認。
これにより、アルツハイマー病の
メカニズムであるアミロイド仮説を
患者由来の生きた神経細胞で証明した
ことになる。
さらに、同グループではアルツハイマー病
iPS細胞由来神経細胞をアルツハイマー病
治療候補薬で処理を行い、
ベータアミロイド42の産生が抑えられる
ことを示した。
この結果から、アルツハイマー病患者の
iPS細胞を用いることで、新規認知症治療薬
の開発につながるとしている。
これまで、アルツハイマー病の治療薬の
開発が難しい状況にあったのは、患者由来
の神経細胞を用いた薬剤の開発、薬効評価
ができなかったことがひとつ。
しかし、このアルツハイマー病iPS細胞を
用いれば、病態の解明、薬剤スクリーニング
が可能となり、より信頼性の高い薬剤の
開発にもつながるとしている。
そして、iPS細胞を利用した
アルツハイマー病の画期的な早期診断法や
認知症の再生医療にも展開できる可能性も
あるとした。
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すばらしいですね。
>アルツハイマー病患者の皮膚細胞から、
>「人工多能性幹細胞」(iPS細胞)を
>作成することに成功
だそうです。
まだ成功していなかったのですね。
>「アミロイド仮説」を実証
この点もまだ実証されていなかった?
このような応用がiPS細胞が最も活躍
する分野です。
再生医療での活躍はもう少し後だと
思います。
アルツハイマー病については、いろいろ
研究が進んでいますので、遠からず
>治療は対症療法が中心で、根本的治療の
>開発は立ち後れており、完治は臨めない
>のが現状だ。
から抜け出せると思っています。
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