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2011年9月20日 (火)

新エネ100%の電力会社が成り立つワケ

新エネ100%の電力会社が成り立つワケ
英ベンチャー
「原発は古い、時代は分散電力へ」

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 フクシマ後も原発推進の方針を貫く英国
で、火力や原発を使って発電した電力を
拒む消費者の“反乱”が一部で広がって
いる。

 風力や太陽光など再生可能エネルギー
だけで発電する電力会社が、規模こそ
まだ小さいものの顧客を確実に増やして
いる。

 そんな電力会社の1つが、イングランド
南西部のチッペナムという町に本社を
構える、社員88人のグッドエナジーという
電力ベンチャーである。

 英国には、再生可能エネルギー専門の
電力会社を運営するベンチャーが複数ある。

 元ヒッピーが立ち上げた、風力専門の
電力会社エコトリシティーもその1つだ
(詳細については「元ヒッピーの
グリーン革命
」をお読みください)。

 だが、エコトリシティーが電力供給を
再生可能エネルギーだけで賄えないこと
から、その約半分を電力卸市場から購入
しているのに対し、グッドエナジーは
電力供給の100%を再生可能エネルギー
だけで満たしているのが特徴だ。

 電力の安定供給には、一定の電力供給量
を常に保ついわゆる“ベースロード”用の
発電設備が不可欠だというのが、
大手電力会社の常識である。

 大量の電力を安価に、安定的に発電できる
原発は、このベースロード用の電力源として
適しているとされてきた。

 一方、風力や太陽光など
再生可能エネルギーは、「風が吹かない」
「太陽が照らない」といった天候に左右
される。

 そのため、安定供給には不向きで、
再生可能エネルギーだけで顧客の電力需要
を満たすのは難しいとされている。

 だが、グッドエナジーは、こうした常識
を覆そうと挑戦している。
 同社のジュリエット・ダヴェンポートCEO
(最高経営責任者)は、「そもそも
中央集権的なベースロードという発想自体
が時代遅れだ。
 ベースロードではなく、地産地消を
目指す分散型の再生可能エネルギーを
全国に展開したほうが今の時代、
理にかなっている」と断言する。

 グッドエナジーの顧客数は約3万世帯で
売上高は約2000万ポンド(25億円)と、
数100万世帯の顧客を抱える大手電力会社
と比べれば事業規模は極めて小さい。
 だが、70万ポンドの税引き前利益を
生み出し、ゆっくりだが着実に成長し
続けている。

 まず、グッドエナジーが電力市場に
新規参入できたのは、電力市場の
完全自由化が実現しているからだ。

 英国の電力自由化は1989年、電力会社の
分割民営化から始まり、98年には電力の
小売り事業が完全に自由化されて、消費者
は自由に電力会社を選べるようになった。

 グッドエナジーはその翌年、99年に誕生
した。

 最初は、再生可能エネルギーの小売り
事業から参入した。
 その事業モデルは、小規模な再生可能
エネルギーの発電設備を持つ
“マイクロジェネレーター”と呼ばれる
家庭や事業者から電力を購入し、その電力
を環境意識の高い消費者に販売する
というものだ。

 マイクロジェネレーターの発電方法は、
風力や太陽光、バイオマス、水力など
幅広い。

 英国で最初に稼働した波力発電も、
同社と契約している
マイクロジェネレーターが始めたもの
だった。

 2002年からは電力供給能力を高める
ために、顧客から出資を募り、自ら
風力発電施設を買収して発電事業にも
参入した。

 現時点で同社は既に2000以上の
マイクロジェネレーターと契約し、自社の
風力発電設備も合わせると、発電能力は
合計で約15万キロワットまで増えている。

 原発1基の発電能力を約100万キロワット
とすると、その7分の1以下の規模という
ことになる。

 グッドエナジーは今後、風力や太陽光を
さらに拡充し、1~2年内に発電能力を
合計25万キロワット程度まで増やすことを
目指している。

 ちなみに、風力や太陽光は天候に左右
されることなどから、その設備利用率は
10~20%程度と言われ、利用率が
世界平均で8割弱の原発より発電効率は
低い。

 短期間で、原発のような大規模な
発電能力を手に入れることは確かに
難しい。

 だが、英国では小売り、発電の両方が
自由化され、競争を促進する発送電の分離
が実現しているからこそ、
グッドエナジーのような挑戦もできる。

 ダヴェンポート氏は、「将来的に石油や
ガスの価格は上昇する。
 環境問題の視点からだけではなく、
経済的にも化石燃料に依存しない
再生可能エネルギーは重要になる。

 自由化によって、化石燃料に依存しない
電力を選びたいという消費者に選択肢を
与えるチャンスが到来した」と
ダヴェンポート氏は参入当時の背景を
振り返る。

 グッドエナジーが顧客の需要を賄える
十分な量の再生可能エネルギーを確保する
には、自社の発電能力を高めるとともに、
同社と契約するマイクロジェネレーターの
数を増やす必要がある。
 そこでグッドエナジーは、政府の
電力固定価格買い取り制度
「フィードインタリフ(FiT)」を上手く
活用し、マイクロジェネレーターの
囲い込みを図っている。

 8月26日に日本で成立した
再生可能エネルギー特別措置法案は、
このFiTを国内に本格導入するものである。

 手間のかかるFiT申請を代行している
ほか、一定以上の発電能力を持つ
マイクロジェネレーターに対しては、
FiTが定める価格より3割以上高い値段で
電力を買い取っている。
 マイクロジェネレーターがグッドエナジー
に電力を売ることのメリットを打ち出すこと
で電力を安定調達する狙いだ。

 政府がFiTを始めたのは昨年4月。
 実はそれ以前から、グッドエナジーは
自前のFiTを運営していた。
 10年以上、独自にFiTを運営してきた
実績を評価され、政府がFiTを導入する際
にはアドバイザーとして招聘されたほどだ。

 一方、顧客の確保については、「英国で
唯一の再生可能エネルギー100%の
電力会社」という点を強調し、環境意識の
高い消費者を引き寄せている。

 電力料金は、一般の大手電力会社より
高い。
 だが、その価格差は同社のコスト削減
努力とエネルギー価格の上昇に伴う
大手電力会社の値上げによって徐々に
狭まり、昨年の約7%から現在は5%程度
にまで縮小している。

 ここで難しいのは、電力の供給能力と
顧客をバランスよく増やしていくことだ。

 需要と供給が均衡せず電力が余れば、
電力卸売市場で売却すればよい。

 だが、足りなければ逆に火力や原発で
生み出された電力を買ってこなければ
ならない。そうなると、「再生可能
エネルギー100%」という目標が果たせ
なくなる。

 実際、グッドエナジーで需給が完全に
均衡しているのは年次ベースでのことで、
実のところ日次ベースでは、まだ、天候に
よっては十分な量の電力を発電できず、
卸売市場から電力を購入せざるを得ない
日もある。

 だが、こうした問題は技術の進化
によって解消されていくと、
ダヴェンポート氏は楽観的だ。

 同社はまず、昨年、独自に集計した
気象データを基に、電力の需要と供給を
予測するシステムを導入した。

 これにより、卸売市場での無駄な
電力取引が大幅に減少したという。

 そして、発電設備の地域的な分散化と
発電方法の多様化が進めば、天候リスクは
さらに減らせると考えている。
 既にスコットランドは風が強いものの、
イングランドは日照不足というような日
には、北の風力で作った余剰電力を南に
送ったり、その逆の天気なら南から北に
電力を送ったりしている。

 さらに、スマートメーターが今後普及
すれば、電力需要の動向に応じて電力料金
を柔軟に設定するなどして、需要と供給の
バランスをより精緻にコントロール
できるようになると期待する。

 バックアップ電力には水力が有効だと
しており、余剰電力を蓄電する装置が
開発されれば、火力や原発など旧来型の
発電設備の必要はさらに薄れていくと
考えている。

 ダヴェンポート氏は、「確かに、今すぐ
原発をゼロにすることは無理だろう。
 しかし、だからといって古いやり方に
これからも固執していく必要はない」
と言い切る。

 「再生可能エネルギーを普及させれば、
エネルギー価格に与える世界経済の影響を
減らすことができる。
 それは消費者にとって非常に価値のある
ことだ。

 フクシマの事故で、これまでの
中央集権的な電力体制への信頼は失墜した。

 これは、日本にとっても従来とは
違った世界を作り出す絶好のチャンスだ」
とダヴェンポート氏は指摘する。

 もちろん、自由化が進んでいる英国
ですら課題は残っている。

 「ビッグ・シックス」と呼ばれる
6大電力会社が市場の約95%を抑え、
必ずしも新規参入が容易な環境には
なっていない。

 電力卸市場で取引されている電力は
全体の1%程度に過ぎず、適切な電力価格
を形成するという市場としての機能が
十分に果たされていないとの指摘もある。

 将来の電力需要を賄うには、2020年まで
に2000億ポンド(約25兆円)もの巨額資金
を、新規発電所の建設やインフラ整備に
投資する必要があると言われる。

 それでも、グッドエナジーのような
電力ベンチャーが知恵を絞り、少しずつ
ではあるが確実に顧客を集め、硬直的な
業界に風穴を開けようと挑戦できる環境が
英国にはある。

 日本が再生可能エネルギーを本気で
増やそうと考えるなら、電力ベンチャーが
参入しやすい環境を、制度面においても
インフラ面においても早急に整備
すべきだろう。

 それは、グッドエナジーの事例が
示すように、再生可能エネルギーの普及に
伴う様々なリスクに対処する経験を、
実際の事業を通じて蓄積する効果がある。

 中長期的に見れば国際的な競争力を持つ
新たな電力会社を育てることにつながる
かもしれない。

 既存の電力会社では真似できない
事業モデルを掲げた電力ベンチャーが、
日本からも数多く誕生することを
願いたい。
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確かにまだまだ理想とはほど遠いようです。
でも、遠い将来を考えると、

>グッドエナジーのような
>電力ベンチャーが知恵を絞り、少しずつ
>ではあるが確実に顧客を集め、硬直的な
>業界に風穴を開けようと挑戦できる環境
が必要なのだと思います。

そして、
>既存の電力会社では真似できない
>事業モデルを掲げた電力ベンチャーが、
>日本からも数多く誕生することを
>願いたい。

たった一カ所の原子力発電所が事故を
起こしたとたんに電力使用制限令を出さ
ざるを得ない状況に陥る状況を見ると、
中央集権システムは危険なように思う。

電力も地産地消、分散システムが良い。

電力は互いに融通できるようになって
いないとおかしいと思う。

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