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2011年8月30日 (火)

再生可能エネルギー普及のカギは透明性の高い広域送電網の構築

再生可能エネルギー普及のカギは
透明性の高い広域送電網の構築

EUの発送電分離政策の歴史に学ぶ
日本総合研究所上席主任研究員 瀧口信一郎
2011年8月15日 DIAMOND online

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 今回の東日本大震災では、
エネルギー分野で3つの課題が浮かび
上がった。

①原子力から多様な電源ポートフォリオ、
 特に再生可能エネルギーへの転換、

②地域毎に分断された電力供給システム
 からの転換、

③政策当局と関連業界の緊密な関係の
見直しである。

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 なぜ再生可能エネルギーの既存送電網
への接続が難しいのか

 電源としては中長期的には再生可能
エネルギーが主体になる。

 ただし、普及に向けては、コスト、
系統接続(電力会社の所有する送配電網
への接続)において課題が存在している。

 電力の固定価格買取制度ができれば、
再生可能エネルギー導入におけるコストの
問題は解消される。
 しかしながら、系統接続においては、
日本の送電網は風力発電の受け入れ可能量
が発電設備容量の5%程度(図1参照)と
されており、接続が容易でないという問題
が残っている。

 この背景には、地域完結型の電力システム
がある。
 日本の電力業界は、終戦直後から長期に
わたり維持されてきた、9つの地域電力会社
による供給体制を取っている。
 この電力供給システムは、地域の需要を
地域の供給でまかなう地域完結型の構造を
取っており、地域間の送電線の連系は、
最低限の融通を行うための連系線の整備
あるいは運用にとどまっている。

 地域内に閉じて電力需給のバランスを
安定化させるには、出力に不安定性のある
風力発電の電気の受け入れに限界がある
のだ。そのため、例えば、北海道に風力の
ポテンシャルがあるにもかかわらず、導入
が難しいということになってしまう。

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 国境を越えた広域送電網で風力発電の
不安定性を克服

 今、欧州各国では、爆発的な再生可能
エネルギーの導入が進んでいる。
 EU27ヵ国の累積導入量は2009年時点で
7500万kWレベルに達している。

 欧州では再生可能エネルギーを増加
させるに当たって、採算性が高く、
発電容量の大きい風力発電の増加に注力
してきた。

 欧州では、再生可能エネルギーを優先的
に接続させたり(優先接続)、
再生可能エネルギーによる電力の供給を
優先させたり(優先給電)しているほどで、
基本的に日本のような受け入れ枠の制限は
設けていない。

 欧州では安定性や品質に影響を与える
風力発電の出力変動の課題を、
広域送電網により解決しようとしている。

 全く別の場所にある風力発電は、風況が
異なった変動パターンを示すため、互いに
補完し合い、全体として出力変動を平準化
することができる。

 欧州では、広域電力網全体で場所毎の
出力の違いを活用して変動を分散させ、
全体として平準化させており、
20%程度までの風力発電比率であれば、
蓄電池などのシステムなしでも、送電網を
安定的に運用できると言われている。

 また、地域的な規模の効果で平準化
できない部分については、調整電源として
能力の高い水力、火力を活用して、変動を
抑えるアプローチを取っている。
 例えば、北欧は、大量に導入されている
デンマークの風力発電の電力を、
ノルウェーの水力発電の電力で調整して
いる。

 欧州全体での国をまたぐ送電網の形成は、
EU域内のマーケット統合、
エネルギーセキュリティの観点から進め
られてきた。

 EUは通貨統合の次にエネルギー市場の
統合を行っており、国をまたぐ広域送電網
はEU統合の1つの象徴である(図2参照)。

 EUは石炭鉄鋼共同体をその起源として
おり、エネルギー資源を多く持たない国
にとって、エネルギーの共同利用に対する
ニーズは非常に強い。
 エネルギーセキュリティに対する関心の
高さは、現在でも、ロシアの天然ガス供給
に依存していることへの不安からも見て
取れる。

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 3段階で進められた欧州の発送電の分離

 広域送電網は市場の基盤であり、基盤
となる送電網に各地の発電機が接続し、
電気が取引されている。

 こうした形態が機能するためには、電力
供給の基盤となる送電網が、一体かつ
中立的に運用される必要がある。

 そのために行われたのが、電力会社から
の送電部門の分離である。

 1996年のEU電力指令において、域内
発電分野への競争導入、発送電の
機能分離・会計分離、域内ネットワーク
へのアクセス確保が定められた。

 きっかけとなったのはイギリスでの
1989年の電気法の成立による電気事業改革
である。
 国営の電力部門は、3つの発電会社、
1つの送電会社、12の配電会社に分離
された。

 発電事業を競争環境下に置き、公正な
競争を実現するためには、送電線への
自由なアクセスを担保する手段として、
発電と送電の分離が必須とされた。

 地域の電力会社の送電網を協調運用する
形態を経て、ナショナルグリッドという
全国統合の
TSO(送電システムオペレーター)に
収斂させた。

以下省略

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そうでしょうね。

「現在の送電網は、風力発電の受け入れ
可能量が発電設備容量の5%程度」という
システムです。
再生可能エネルギーの導入には既に限界が
見えている。

本当に再生可能エネルギーの導入比率を
20%位まで上げるというのであれば、
大改革が必要です。時間もかかります。

現状のままでは、減原発すら困難。
脱原発など夢です。

「EUの発送電分離政策の歴史」
是非お手本にして欲しい。

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