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2011年8月28日 (日)

カルシウムの流入で自己免疫応答を鎮める

カルシウムの流入で自己免疫応答を鎮める
26 August 2011
RIKEN Research Highlights

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 B細胞は、免疫応答に際して、細胞内の
カルシウムイオン(Ca2+)貯蔵庫から
Ca2+を放出する。

 この貯蔵庫は小胞体と呼ばれる細胞小器官
で、外来抗原がB細胞受容体(BCR)複合体
を刺激すると、小胞体内腔に貯蔵されている
Ca2+が細胞質内へ放出される。

 これをきっかけとして細胞膜にある
チャネルが開き、細胞外からCa2+が
さらに流入する。

 免疫学の世界では、Ca2+は、多くの重要
な細胞過程に不可欠な「通貨」だと考え
られている。

 「B細胞内のCa2+シグナル伝達は、B細胞
の分化、免疫応答、抗体産生などの機能を
担っているというのが一般的な見方です」
と、大阪大学免疫学フロンティア
研究センター(大阪府吹田市)の馬場義裕
特任准教授(理研免疫・アレルギー科学
総合研究センター客員研究員として兼任)
は言う。

 しかし、
「ストア作動性Ca2+(SOC)流入」として
知られるCa2+流入の直接的影響については、
よくわかっていなかった。

 このほど、馬場義裕客員研究員らの
研究グループはこの機構の重要性を
調べようと、遺伝子工学的手法を駆使して、
SOC流入に関与する2種類のタンパク質
STIM1またはSTIM2をコードする遺伝子を
欠損するB細胞を持つマウスを作製した1。

 そして、そのマウスを使った実験から、
Ca2+シグナル伝達経路の役割が、
これまで考えられていたよりもかなり
限定的であることを明らかにした。

 今回わかったことは、まず、STIM1と
STIM2は協調してCa2+流入の制御に
かかわっており、BCRを介したシグナル伝達
によってB細胞の増殖を促していることで
ある。ただし、これらのタンパク質は、
免疫応答そのものには関与していない
ようだ。STIM1とSTIM2の両方を欠くマウス
でも、外来抗原に対する抗体応答を
引き起こす能力を保持していたからである。

 一方で、STIM1とSTIM2のどちらも、
制御性B細胞の機能に重要な役割を果たして
いることが明らかとなった。

 制御性B細胞は、インターロイキン10
(IL-10)などの抗炎症性因子を産生して、
自己組織への免疫系の過剰応答や攻撃を
防ぐのを助ける。

 両方のSTIMタンパク質が存在しない
マウスB細胞では、ごく少量のIL-10しか
産生しなかった。

 さらに、多発性硬化症のマウスモデル
で、STIM1およびSTIM2が存在しないと、
炎症の発生率や重症度が非常に悪化する
ことが確認された(図1)。

 IL-10は、さまざまな自己免疫疾患を抑制
する作用を持つことがわかっており、
これらの結果は、自己免疫疾患の治療標的
となりうる普遍的な機構を示している
可能性がある。

 馬場客員研究員は、「今回の研究から
みて、Ca2+濃度のバランスの乱れが
自己免疫疾患につながっているのでは
ないかと考えられます。

 これは非常に画期的な知見と言えます」
と話す。

 研究グループは現在、Ca2+依存性の
抗炎症性B細胞についてさらに詳細に
調べている。

 「制御性B細胞がいつどこで機能する
のか、また、どの細胞を標的にするのか
を突き止めたいと考えています。

 IL-10産生B細胞に感受性を示す炎症の
タイプ(急性か慢性か)についても
明らかにしたいですね」と、
馬場客員研究員は語っている。
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>今回の研究からみて、Ca2+濃度の
>バランスの乱れが自己免疫疾患に
>つながっているのではないかと
>考えられます。
>これは非常に画期的な知見と言えます

非常に画期的な知見だそうです。
期待出来そうな発見ですね。

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