空っぽウイルスに脚光 遺伝子なし、感染せず免疫反応 「安全なワクチン」実用化
空っぽウイルスに脚光 遺伝子なし、
感染せず免疫反応
「安全なワクチン」実用化
2011年08月11日 朝日新聞
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見かけはウイルスとそっくりだが、
遺伝情報を担う遺伝子がすっぽり抜けて
しまった「不良品」が注目されている。
遺伝子がないから感染・増殖はできない
が、それを包む殻はあるので免疫反応は
起こす。
つまり安全なワクチンとして使える
というわけだ。
ウイルスは、カプシドと呼ばれる
たんぱく質の「殻」が、遺伝子を包んだ
構造をしている。
「殻」の外側に、たんぱく質のとげが
ついた脂質の膜(エンベロープ)がある
タイプもある。
ウイルスは生物の細胞にくっつくと、
自分の遺伝子を注入し、ウイルスの遺伝子
や殻を細胞に作らせて飛び出していく。
これがウイルスの感染・増殖のやり方だ。
ところが、殻の中に遺伝子が入って
いない「空っぽウイルス」が存在する。
肝心の感染・増殖能力はないウイルスの
不良品で、見かけは正常なウイルスと同じ
なので「ウイルス様粒子(VLP)」
と呼ばれる。
こうした不良品の存在は、ウイルス
にとっては困ったことだ。
侵入した免疫系がVLPの「殻」や
「とげ」を認識して抗体ができると、通常
のものまで攻撃を受けてしまう。
だから、ウイルスはVLPができにくく
なるような仕組みをいろいろ持っている
らしい。
現在、ワクチンとしては毒性を弱めた
ウイルスなどが使われるが、まれに病気を
起こす場合がある。
だがVLPは感染・増殖できないので、
赤畑さんは「理論上、完全に安全な
ワクチンになる」という。
すでに実用化されているVLPワクチン
もある。
子宮の入り口の部分にできる子宮頸
(けい)がんを予防する
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン
の一部で、日本では2009年に承認された
英グラクソ・スミスクラインの
「サーバリックス」は、
VLPでできている。
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>「ウイルス様粒子(VLP)」
ですか? 不良品ね~
面白いですね。
すでに実用化されているVLPワクチンも
あるんですね。
知りませんでした。
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