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2011年8月 9日 (火)

NIBB、TRPV1が体温付近の温度で浸透圧感受性を示すことを確認

NIBB、TRPV1が体温付近の温度で
浸透圧感受性を示すことを確認

2011/07/19 マイコミジャーナル

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 自然科学研究機構 基礎生物学研究所
(NIBB) 統合神経生物学研究部門の野田昌晴
教授らの研究グループは、トウガラシの
辛味成分(カプサイシン)や熱、酸などの
浸害刺激に応答して開口するチャンネル分子
として有名な「TRPV1」チャンネルを発現
する細胞株を用いて、TRPV1が体温付近の
温度で浸透圧感受性を示すことを確認する
と共に、その応答がカプサイシンや酸
によっても相乗的に増強されることを
見出した。

 同成果は米国の科学雑誌「PLoS ONE」に
掲載された。

 ヒトの体液(血液、脳脊髄液等の細胞外液)
の浸透圧は常に約300mOsm/kgに保たれている
が、この体液圧を保つことは生命維持のため
に必須であり、そのためヒトの体は体液の
浸透圧を監視する仕組みを備えている。

 脱水などにより体液の浸透圧が上昇した
場合には、口渇感を感じて飲水するととも
に、脳下垂体から抗利尿ホルモン
(バソプレッシン)が血中に放出され、腎臓
において尿量を減少させるなどの反応が
出ることになるが、TRPV1の遺伝子を欠損
したマウスでは、体液浸透圧の制御において
異常を示すことから、TPV1が
浸透圧センサ分子の候補であるとも言われて
いたが、TRPV1が実際に浸透圧感受性を持つ
ことは確認されていなかった。

 今回、研究グループは、ラットのTRPV1の
全長を安定的に発現した細胞株を用いて
細胞内Ca2+イメージングを行なうことに
よって、TRPV1が体温付近で浸透圧感受性を
示すことを確認した。

 この浸透圧への応答は、室温付近(24℃)
ではごくわずかであったものが、温度の上昇
と共に増大し、哺乳類の体温に近い36℃付近
で最大となった。

 次に、36℃に保って浸透圧を変動させた
ところ、300mOsm/kg(平常時の体液浸透圧)
を境に、それよりも低浸透圧側では細胞内
へのCa2+流入が減少するのに対し、
高浸透圧側ではCa2+流入が大きく増加する
ことが明らかになった。

 このようにTRPV1は、体液浸透圧の上昇
をより良く感知する性質を持つことが判明
したほか、アクアポリン(水チャンネル)を
阻害して、浸透圧変化による細胞容積の
変化を抑えると、応答が減弱したことから、
TRPV1は浸透圧の変動に伴う細胞膜の張力の
変化を感知して開口している可能性が示唆
された。

 TRPV1の浸透圧に対する応答は温度により
増強されたが、さらに酸やカプサイシン
によっても同様に相乗的に増強されることが
判明したほか、カプサイシンに対する応答も
浸透圧上昇によって増強されることも
分かったことから、TRPV1は複数の異なる
活性化刺激を統合する性質があることが
明らかになった。


011
 TRPV1は43℃以上の熱、酸、化学物質
(カプサイシンなど)の浸害刺激で活性化
することが知られていたが、今回、
体温付近では浸透圧上昇の刺激によって
も活性化することが判った。
 また、この浸透圧感受性は、他の刺激、
酸やカプサイシンによっても増強される
ことが判った。
 これにより、TRPV1はこれらの異なる
刺激を統合する役割を果たしていると
考えられる


 今回の結果は、全長型のTRPV1が生体内の
高浸透圧センサとして機能し得るということ
を証明したものであるほか、TRPV1が異なる
刺激を統合するという発見は、いくつかの
疾患に伴う生理現象の理解に貢献するもので
あると研究グループでは説明している。

 例えば、糖尿病患者の主要な症状に多飲
があるが、糖尿病の急性の合併症として
アシドーシス(酸性血症)が知られており、
同症状はTRPV1によって体液浸透圧の上昇が
感知され飲水が誘発されていると考えられて
いるが、糖尿病患者ではアシドーシス
によってこれが増強されている可能性が
考えられるという。

 また、感染や炎症、虚血等によって組織
が酸性化すると、TRPV1がそれを感知し、
痛覚が生じることが知られているが、
傷害部位においては浸透圧も上昇すること
から、傷害部位の酸性化と浸透圧上昇が
相乗的にTRPV1を活性化することで、痛みを
より鋭敏に感知する機構として働いている
のではないかと考えられるという。
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面白いですね。
人の仕組みは本当に複雑。


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