スーパー特区制度で医療技術突破の商業化が大きく前進、震災の影響がある今こそ研究開発と規制緩和を組み合わせたウルトラ特区を
スーパー特区制度で
医療技術突破の商業化が大きく前進、
震災の影響がある今こそ
研究開発と規制緩和を組み合わせた
ウルトラ特区を
2011年07月13日
Biotechnology Japan:Webmasterの憂鬱
詳細は、リンクを参照して下さい。
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さっぱり役に立たんと言われていた
スーパー特区ですが、初めてこの制度を
評価する声を聞きました。
昨日開催された実験動物中央研究所の
新研究所披露パーティーで、慶応義塾大学
医学部の岡野教授が「あの制度のお陰で、
昨日(11年7月11日)記者発表したが、
来月から東北大学で組み換えHGF
(肝臓細胞増殖因子)を難病ALS
(筋萎縮性側索硬化症)の治療薬として
臨床試験に迅速に入れた」との発言を
いただきました。
その場に、文部科学省の事務次官や
LS課長もおりましたが、一同、満面の笑み
でした。
私も審査に係り、しかも、お金の無い
政府が進めるべき施策は何をおいても
規制緩和と主張、スーパー特区
(特区による規制緩和と先端研究開発を
カップルした試みです)が、近年に珍しく
的を射た施策であると評価していたため、
岡野教授のお話は本当に嬉しかった。
何しろ、医薬品医療機器総合機構は
ちっとも相談に乗ってくれないとか、
予算が少ないとか、まあスーパー特区への
事前の期待が膨らんだためもあるので
しょうが、本当に悪評さくさくでした
から。
日経バイオテクもそうした声を特集した
ほどです。
私は結局この政府の官僚たちは権限を
握りしめたまま、民間を枯渇させてしまう
のかと心配していました。
が、実態は必ずしも悪評通りでは
なかったようです。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20080282
実際にはクリングルファーマという
ベンチャー企業が、東北大学で臨床試験
を行いますが、HGFが効果があることを
岡野教授が実験動物中央研究所と共同開発
した霊長類(マーもセット)の
脊椎損傷モデルによって証明して
いました。
大阪大学が世界に先駆けてクローン化
したHGFを慶応大学と実験動物中央研究所、
そしてクリングルファーマと東北大学が
臨床試験を行う今回のプロジェクトは
まさに国内の産学連携をバーチャルな
特区として認定したスーパー特区の典型的
なプロジェクトといえるでしょう。
「グループミーティングには総合機構が
アドバイザーを派遣してくれて、毎回、
専門家としての意見をいただいた。
今回の治験ではマイクロポンプで、
HGFを脊椎に注入するために、様々な規制上
の考慮が必要だったが、こうした規制を
クリアするための情報をもらえたために、
臨床試験を総合機構に申請してから審査も
極めて円滑だった」と岡野教授は指摘して
います。
これこそ、我が国の医療イノベーション
が総合機構の壁、臨床試験の壁によって、
全てげっ歯類での研究に留まり、実用化に
到達できなかった、死の谷に橋をかける
行為です。
我が国発の医療技術突破の商業化を
大きく前進させました。
文科省だけでなく、厚労省、そして
スーパー特区のコーディネーションをした
内閣府も、今回のこの制度設計は正解で
あったと胸を張って良いのではないで
しょうか?
では何故、今までスーパー特区は駄目だ
駄目だと言われてきたのか?
半分は当初、業務が増大することを警戒
した総合機構と厚労省の自己保身反応が
その理由でしょうが、もう半分は申請した
側に、本当に商品化に結び付くような
シーズと産学連携体制、そしてこの
医療技術突破を本気で商品化するという
覚悟がなく、実際の臨床試験に必要な助力
を総合機構から引き出せなかったという
原因もあると判断しています。
基礎研究に留まり、本当に患者さんに
技術突破をお返ししたいという真剣さを
欠いていなかったか?
スーパー特区の制度を面白おかしく
批判した方は自己反省する必要もある
でしょう。
もう一つ重要なことは、医薬品や
医療機器の安全確保と許認可に関する
知識ギャップが大学に存在していたこと
も、スーパー特区が円滑に発展しない原因
でした。
厚労省や医薬品企業がこうした知識や
人材を独占していた副作用です。
今や橋渡し研究の担い手として期待が
膨らむ大学には、こうした人材が
スーパー特区の審査時には、まったく存在
していなかったのです。
総合機構は審査官のゆがんだ年齢分布
に対応し、キャリアパスの弾力化を図る
同機構の企図もあり、大学との人材交流は
進みつつあります。
世の中、急速に変わるものです。
東日本大震災の影響で、ここ数年は
科学研究の支出を抑止しなくてはならなく
なった今こそ、もう一度、研究開発と
規制緩和を組み合わせたウルトラ特区を
行う必要があると思います。
但し、この際には、特区はあくまでも
規制緩和のためにあることを確認する
必要があります。
特区に対応した規制という馬鹿げた規制
の上積みが進んでいるという懸念を示した
バイオ医薬企業の経営者もいました。
日本の官僚機構の精密さ、本当は
瑣末主義が、東日本大震災の復興も、
我が国のデフレの脱却も阻んでいる
最大の原因であることを認識しなくては
なりません。
2011年度に選定される総合特区が、
単なる産業立地政策ではなく、規制緩和
政策に重点があることを確認しなくては
なりません。
今のままでは、クラスターの焼き直しに
終わってしまう懸念もあります。
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いろいろ勉強させて貰っています。
今回のスーパー特区うまく進んで良かった
です。
いろいろ問題もあるようですが、
変わっていって欲しいと切に思います。
>日本の官僚機構の精密さ、本当は
>瑣末主義が、東日本大震災の復興も、
>我が国のデフレの脱却も阻んでいる
>最大の原因であることを認識
>しなくてはなりません。
とるにたらないことにいろいろ文句を
つけて進まないようにする。
ということでしょうか?
変わって欲しいですね。
今回の臨床試験については、
「筋肉が動かなくなる難病ALS、
新薬治験開始へ 東北大」
2011年6月27日
ということで投稿しました。
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