万能「血液の種」を確保せよ 原発作業員の命の綱に背向ける原子力安全・保安院
万能「血液の種」を確保せよ
原発作業員の命の綱に背向ける
原子力安全・保安院
2011年7月14日 日経ビジネスONLINE
詳細は、リンクを参照して下さい。
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福島第一原発では、作業にあたる方々が、
日本では、いや世界でも誰も経験したこと
のないほど危険な仕事に取り組んでくれて
いる。
彼らの作業なしには、日本の未来は完全
に失われる。
しかもこの現場では、大量の被曝が
起こらないよう薄氷を踏む思いの日々が
続いているが、その薄氷を踏み抜かない
という保証はない。
だからこそ、作業を担当する方たちが、
万が一の被曝事故に遭っても命を失わずに
済むようにと、虎の門病院の谷口修一さん
(血液内科部長)のチームは、
福島第一原発の現場で奮戦を続けている
東京電力や関連会社の作業員たちの
「自己幹細胞の事前採取」を訴えてきた。
だがそれは、今も実現していない。
大量の放射線により被曝すると、
細胞分裂が盛んな部分が大きなダメージを
受ける。
その放射線感受性が高い部分は、
生殖器、腸、そして造血機能だ。
「自己幹細胞採取」は、その造血機能の
回復が目的だ。
ところで原発作業で大量に被曝する
のは、血液がんなど治療で大量の放射線を
照射するのと同じことだ。
原子力事故で大量の放射線を浴びれば、
血液細胞は著しいダメージを受ける。
そこで、命を救うために
「造血幹細胞移植」が必須なのである。
途中省略
しかし、よい方法がある。
1980年代に入って開発された、他人
(ドナー)ではなく、患者自身から
あらかじめ造血幹細胞を採っておく方法
だ。これが、「自己造血幹細胞移植」
である。
治療実績はすでに3000~4000例
もっとも血液がんでは、骨髄内にがん化
した細胞があることも多いため、単に
骨髄液を採るわけににはいかないが、
巧みな方法が見いだされた。
まず、1週間、抗がん剤を投与する。
血液中の白血球は急減に減っていくが、
やがて白血球も造血幹細胞も急速に増え
始める。
谷口さんによれば、「白血球が減って
大変だ!」と、体が増やそうとするから
ではないかという。
その量がピークに達する3~4週間目に、
血液中に増えた造血幹細胞を採取する
のである。
これを保存しておき、放射線の
照射治療後に体に戻す。
この治療法の研究は、日本では1980年
後半に谷口さんの出身校である九州大学で
成人の患者を対象に始まり、全国に
広がっていった。
「この方法では、『G-CSF
(顆粒球コロニー刺激因子)』という薬を
使います。
もともと人が持っているホルモンの
ような物質(サイトカイン)を製剤化した
ものです。
G-CSFを使うようになって抗がん剤の
治療が明らかに安全にできるようになった
ため、血液がんを扱う血液内科に限らず、
抗がん剤を使うほかのがん治療
(化学療法)でも幅広く使われている。
治療実績はすでに3000~4000例、
悪性リンパ腫だけでも1000例近い実績が
あり、全国の血液内科がある300~400施設
でごく普通の治療法として確立しているん
ですよ」(谷口さん)
採血だけで造血幹細胞を得られるように
患者自身から造血幹細胞を採るこの方法
は、1995年以降、健康なドナー(血縁者)
にも行われるようなった。
単にG-CSFを投与したあと、血管から
採血するだけで造血幹細胞を得られるよう
になったのだ。
もともと血液1cc中には数百~数万の
造血幹細胞が含まれているが、G-CSFを
3日間注射すると数十~数百倍に増やせる。
そこで、血管から血液を引き出しながら
遠心分離器で造血幹細胞だけをふるいに
かけるように採り、残りの血液は体に
戻し続けるのである。
体への負担が小さく、入院日数も短くて
済む。
谷口チームが、「原発作業員は事前に
自己幹細胞の採取を」と呼びかけている
のは、このことなのである。
ところが、とんでもないことが起こった。
3月29日(火)、原子力安全・保安院が
自己造血幹細胞の事前採取は「必要ない」
と公表し、谷口チームの思いがつぶされて
しまったのである。
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どうして原子力安全・保安院は
自己造血幹細胞の事前採取は「必要ない」
と言うのでしょうか?
被曝は思いもかけなかったことで起こるかも
しれないとは思わないのでしょうか?
事故は起こりうると思うのが普通。
人はどんなに注意していても、
ミスを犯す可能性がある。
どんな不都合があるというのでしょうか?
理解しがたい。
万全の準備をしておくのが当然。
どういう考えなのでしょうか?
得意の「想定不適切事象」に
相当すると?
こんな人達に国民の安全が守れる
のかと心配になってしまう。
原子力安全・保安院の所属が経産省とか
いう問題以前の話。
? ? ? ?
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