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2011年7月 3日 (日)

ぐらつくサロゲートマーカーとしてのpCR、代替となる予後予測のバイオマーカーはまだ見つからず

ぐらつくサロゲートマーカーとしてのpCR、
代替となる予後予測のバイオマーカーは
まだ見つからず

2011/06/29
Biotechnology Japan:Webmasterの憂鬱

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 九州がんセンターで乳腺科の増田部長に
お会いしました。
 そこで、乳がんに関しては結構深刻な
混乱が起こっていることを教えていただき
ました。

 このメールでも紹介したことがあるpCR
(病理学的完全寛解)がぐらつき始めた
のです。

 pCRは、乳がん患者に化学療法を行った
後に乳房を切除、5mm毎に切片を作り、
病理学的に生きているがん細胞を顕微鏡で
チェックして、がん細胞の残存が認められ
なかったことを意味しています。

 今までの乳がんの治療では、pCRになれば
その患者さんの5年生存率はかなり高く、
そうでない場合は手術後の化学療法などを
選択する必要があると看做されていました。

 つまりpCRを目的に治療が行われており、
それが達成できれば患者さんの乳がんは
治癒できた、「良かった」と考えられて
いたのです。

 当然のことながら、臨床試験もpCRを
まず目指していました。

 最終的な全生存率を示す
サロゲートマーカー(早期に予測するため
に代替バイオマーカー)だとpCRを認識して
いたためです。

 それが悲観的に言えば半数以上の
乳がん患者ではpCRが予後を占うことが
できない、楽観的に言えば少なくとも
エストロジェン受容体(ER)陽性、
HER2陽性の患者では予後を予測できない
ということが明らかになったのです。

 まったく科学は残酷です。
 「乳房にがん細胞が病理学的に残って
いないのだから、予後は良いはずだ」
という私たちの常識を破壊してしまい
ました。

 まるで、乳がんの治療は羅針盤を失った
ようなものです。

 pCRでは予後を予測できない患者の
治療効果を示すバイオマーカーの探索が
必要となったのです。

 個の医療の立場から見れば、pCRが有効な
患者群が選別され、それ以外の患者群では
予後予測のバイオマーカーがまだ見つかって
いないということです。

 今後、作用機構が斬新な新薬が出れば
でるほど、患者群の細分化が進むかも
知れません。

 可能ならば、数種の作用機構の異なる
医薬品をとっかえひっかえ使用して、
薬剤耐性の出現による治療薬の枯渇を防ぐ
手立ても必要でしょう。

 どこまでも患者群を細分化して
しまっては、市場メカニズムによる
新薬開発が投資回収できず袋小路に入って
しまう恐れもあります。

 乳がんを克服する新薬のセットとそれに
対応する患者群を同定するバイオマーカー
が、究極の乳がんの治療薬となるでしょう。

 そのためにも、がんの増殖や転移に
関係するシグナル伝達ネットワークに関与
する分子を標的と医薬品の併用療法の開発
は、どうしても必要です。

 しかし、皮肉なことに分子標的薬の
併用療法の臨床試験の成績がpCRが無力な
患者群が存在することを暴いてしまった
のです。

 今月の上旬に米国Chicagoで開催されて
いた米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、
ドイツの Frankfurt大学の
Gunter von Minckvitz教授のセッションで、
乳がんの増殖に関与する上皮細胞成長因子
受容体2(HER2、ErbB2)のシグナル伝達を
阻害する抗体医薬「ハーセプチン」と
HER2と上皮細胞成長因子受容体(ErbB1)
のチロシンキナーゼを阻害する
「タイケルブ」の乳がんに対する併用療法
の3つのフェーズ2臨床試験の成績が発表
されました。
http://chicago2011.asco.org/ASCODailyNews/HER2Study.aspx

 3つの臨床試験の成績を見る限り、
HER2陽性でER陽性の患者群ではpCR率が
完全寛解率とはいずれも相関していません。

 このセッションではもはやpCRが
予後予測に活用できない患者群の存在を
認め、Fox01、14 pSTAT5、p95HER2など
新しいバイオマーカーを評価していました。

 Minckvitz教授は「併用療法は乳がんの
治療に貢献する可能性がある。
 しかし、今回示されたバイオマーカーは
まだ多数の患者さんで検証する必要がある」
と結論付けました。

 乳がんの新薬臨床試験のプライマリー
エンドポイント(最初の治療評価)である
pCRがぐらついた結果、乳がんの新薬の
臨床試験は漂流しかねない、危機に
曝されています。

 現在、医師に限定して公開中の
「コンセンサスエンジン乳がん」でも、
ASCO2011のトピックスとしてこの問題が、
触れられています。
 7月にこの議論は公開します。
 秋には「pCRの臨床的意味」というテーマ
でじっくり、コンセンサスエンジンで
専門医の議論を進める計画です。
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乳がんに関して
>pCR(病理学的完全寛解)がぐらつき
>始めた
ようです。

>まったく科学は残酷です。
>「乳房にがん細胞が病理学的に残って
>いないのだから、予後は良いはずだ」
>という私たちの常識を破壊してしまい
>ました。

>悲観的に言えば半数以上の
>乳がん患者ではpCRが予後を占うことが
>できない、楽観的に言えば少なくとも
>エストロジェン受容体(ER)陽性、
>HER2陽性の患者では予後を予測できない
>ということが明らかになったのです。

一口に乳がんと言ってもいろいろな
パターンがあるのだということがわかって
来たということですね。

これからは、さらに細分化が進み、
個の医療とならざるを得ないという
ことでしょう。

人によって症状は同じように見えても、
詳細は異なる。よって治療法も異なると
いう時代に入って来たということのよう
です。

研究が進むことを祈るのみです。

有効な予防法はないのでしょうか?
予防できるのが最良なのですが、

良いバイオマーカーの発見による
早期発見、早期治療のみなのでしょうか?
悩ましいですね。

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