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2011年6月29日 (水)

電力の選択

電力の選択
2011/06/29 朝日新聞

スペインでの話です。
参考になります。

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 お天気任せで頼りない,と思われがちな
自然エネルギーである。

 しかし,スペインではむしろ電力の
「主役」として活躍している。

 首都マドリードの郊外に,国全土に電力を
安定的に送るための心臓部がある。
 国唯一の送電会社REEが運営する
「再生可能エネルギー中央制御センター」
である。

 スペイン全土の自然エネルギーによる
発電状況が一目でわかる地図が,モニター
に映し出される。

 落雷による事故に備え職員1人が監視
しているが,ほぼコンピューターで
自動制御されている。

 「自然エネルギーの安定供給のために,
私たちがつくりあげた世界一のシステムだ」

 責任者のトマス・ドミンゲス氏は胸を
張る。

 中核部分は,自然エネルギーの発電量を
予測するシステムだ。
 お天気任せが不安なら,そのお天気を
先取りして把握すればいい。

 天気予報などの情報を駆使して,
24時間後に生み出されるであろう発電量を
予測する。

 予測と実際の発電量との違いは,
平均15%以内に収まるという。
 1時間前まで予測を更新するので,
誤差はさらに縮まる。

 自然エネルギーを普及させる国の政策
により,風や太陽から生まれた電力は
最優先で使われる。

 この「主役」だけでは賄えない電気を
補うのが,「脇役」の石炭やガス,水力の
発電所である。

 24時間前から主役のふるまいを予測した
情報がREEから伝えられ,出番に備える。

 その主役が大暴れしたことがある。
 2009年12月30日未明,全国で強い風が
吹いた。

 人々が眠りについて電力消費量が減る
なか,風車は勢いよく回った。
 REEからの事前予測にもとづき,石炭
やガスは出力を目いっぱい落とした。
 電力消費量がさらに減ると,REEは
余った電力を隣国のフランスやポルトガル
へ輸出した。
 午前3時40分,電力の54.6%を風力が
占めた。
 それでも停電など問題は起きなかった。
スペインでも,自然エネルギーへの不安は
あった。

 ドミンゲス氏は「安定供給は克服した
問題だ。
 風力発電がもっと増えても問題ない」
と余裕をみせた。

 スペイン全体の年間発電量(2010年)
は約2881億キロワット時,東京電力と
同規模である。

 水力を含む自然エネルギーが35%を占め,
火力の32%,原子力の22%を上回る。
 日本では太陽光,風力などの
自然エネルギーは約1%で,水力を
含めても9%にすぎない。

 スペイン風力発電協会の
エイキ・ウイルステッド政策部長は
「風力が増えれば,その分,ガスの
輸入を減らせる。
 自然エネルギーへの支持は高い」と
話す。

 スペインで自然エネルギーの開発が
本格化したのは1990年代後半であった。

 エネルギーの9割以上を外国に頼って
いた。

 この体質から脱し,国際競争力のある
国内企業を育てようと,当時の主要政党の
意見は一致。

 安定した風と太陽に恵まれた気象条件に
目をつけた。

 必ずしも計画的に進まなかった。

 2004年に政府が太陽光の買取価格を
とりわけ高く設定すると,想定をはるかに
上回る勢いで施設ができた。
 この「太陽光バブル」は,2008年の
経済危機を契機にはじける。
 政府が買取価格を下げると,今度は新規
の施設が急減。
 発電業者が裁判に訴える事態にまで発展
した。

 「現政権は補助金をばらまいた。
 エネルギー政策は夢ではなく,現実に
もとづいて築き上げるものだ」。
 野党・国民党のアルバロ・メダル下院議員
は手きびしい。
 それでも,世界有数の風車メーカーの
ガメサ,世界各国で自然エネルギー事業を
展開するアクシオナなどの企業が育った。

 与党・社会労働党寄りのシンクタンク
「イデアス財団」のカルロス・ムラス所長
は,社労党が原子力開発の選択肢を狭めた
ことも影響したとみる。

 「新たなエネルギーの開発に,官民が
力を合わせてとり組む機運を高めた」と
評価する。

 日本の電力会社は広報資料にまで
「自然エネルギーは変動するし,予測も
できない」と記して,慎重な姿勢をとって
きた。

 季節によって天候が変わりやすい日本
では,スペインより予測がむずかしいと
される。

 そのなかで,新エネルギー・産業技術
総合開発機構(NEDO)は,
風力の発電量を予測するシステムを
2008年に開発した。

 青森県六ケ所村の二又風力発電所で
実用化されている。
 データを蓄積中で,精度を磨いている。
 NEDOでは,さらに太陽光の
予測システムも開発を終えている。

 電力の安定供給に詳しい東京大学の
荻本和彦特任教授は,当面は火力や水力で
供給量を調節すれば,自然エネルギーを
増やせるという。
 さらに増やすには,IT技術を活用する
スマートグリッドで対応する必要がある
と指摘する。

 「日本には解決するだけの技術はある。
あとは意志の問題だ」と語っている。
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スペインを見習う必要がありませんか?

>エネルギーの9割以上を外国に頼って
>いた。

>自然エネルギーを普及させる国の政策
>により,風や太陽から生まれた電力は
>最優先で使われる。
>この「主役」だけでは賄えない電気を
>補うのが,「脇役」の石炭やガス,
>水力の発電所である。

>ドミンゲス氏は「安定供給は克服した
>問題だ。
>風力発電がもっと増えても問題ない」
>と余裕をみせた。

>電力の安定供給に詳しい東京大学の
>荻本和彦特任教授は,
>「日本には解決するだけの技術はある。
>あとは意志の問題だ」と語っている。
そう思います。意志の問題だと。

スペインに出来て日本に出来ないはずは
ない。

>日本の電力会社は広報資料にまで
>「自然エネルギーは変動するし,予測も
>できない」と記して,慎重な姿勢を
>とってきた。
言い訳に過ぎないと思う。

ウランとて有限資源、いずれなくなるし、
いつまでも安定に入手できるとは限ら
ない。

こういう記事があります。
ウランが足りない?
印中、原発増設で争奪戦

中国、インドが必死になれば、ウランは
たちどころに枯渇します。
電力不足の中国は必ず、原発を推進する
はず。インドも同類だと思う。
手っ取り早く、大電力を安定に供給出来る
発電方法は原発以外にないからです。

ウランの価格はたちどころに上昇するし
原発推進、核廃棄物の処理などにかかる
費用を電気料金に反映すれば、
安いどころか、かなり高いはず。

今回の事故の補償金は莫大なものに
なる。二度と事故は起こせない。
そうなるように原発を作ろうとすれば
今までよりずっと設備費用がかかる。

本当に安価な発電方法でしょうか?

火力発電所の稼働率は低い。
電力不足というのであれば、早急に
火力発電所の稼働率を上げれば良い。

決定的に電力不足な中国とは違う。

それなのに資源枯渇でいずれ必ず
運転できなくなる原発、首都圏近傍に
建設できないほど危険な原発に依存し
続ける理由が理解できない。

早急に見切りをつけて、
再生可能エネルギーをメインにするよう
シフトするべきです。
CO2は出さないし、燃料代もかからない。

扱いにくいかもしれないけれど、
これからのエネルギーとして
頼りに出来るのは再生可能エネルギー
しかないと思う。
脇役として、バイオマスも有力。
メタンハイドレートもある。
脇役を活躍させる燃料は確保出来る。

シフトしましょう。
それには現在の電力供給システムを大きく
変えていかなければ出来ません。
お金もかかるし、時間もかかるのです。

今その分岐点にいます。
そのことを自覚して頂きたい。
中途半端な施策では駄目です。

現状維持では駄目なのです。
本当の改革が必要です。

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