新薬の薬価決定に医療経済的な根拠を求めると、合理的な価格決定が可能になり個の医療が不可欠に
新薬の薬価決定に医療経済的な根拠を
求めると、合理的な価格決定が可能
になり個の医療が不可欠に
2011年06月01日
Biotechnology Japan:Webmasterの憂鬱
詳細は、リンクを参照して下さい。
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現在、政府が推進している税と社会保障
制度の一体改革(つまり、増税なくして
社会保障の充実なしという意味)の中で、
厚労省が積極果敢に攻勢をかけています。
中でもびっくりしたのは、新薬の薬価
決定に対して医療経済的な根拠を求め、
査定する仕組みを導入することです。
誠に重要です。
今まで後ろ向きばかりだった厚労省が
スキアボーネみたいに反転攻勢に出てきた
感じです。
来年度、試験的でも医療経済学的調査
資料を薬価算定に求められるようになる
とすると、何が変わるのか?
第一に、革新的な新薬に対して合理的な
価格決定ができるようになる、と期待して
います。
今までは先行医薬の国内外の価格を参照
価格として薬価を決めていましたが、日本
の製薬企業がゾロ新をやめ、世界初の新薬
を我が国で先行申請するとこの薬価を
決める議論が難しくなります。
今まではなんとなく落しどころで決めて
きた感じです。
例えばJTECの開発した自家培養皮膚の
値付けに合理性があったとはとても
思えない。
技術革新をリスクをとって実現しても、
開発投資を回収できなければ、持続的な
医療技術突破は望めません。
我が国のバイオベンチャーが皆、海外
開発を向いているのも、臨床試験の困難さ
と許認可の不明確性だけではなく、
技術革新を正当に評価しない我が国の
仕組みの問題があります。
もし、医療経済という尺度を導入
できれば、こうした単なる政治的な力関係
で価格が算定される愚は雲散すると
期待しています。
第二は、当然のことながら個の医療が
不可欠となります。
従来の医薬品は投与した30%の患者で
効果があれば大したものなのですが、
今後、70%の無駄な患者さんへの投与が
医療経済学的な解析を考えれば許されなく
なることは必然です。
効果のある患者選別がまだ困難で
あっても、無駄な医療費として算定される
副作用を回避できるバイオマーカーによる
個の医療はもう避けられなくなると
思います。
まともに医療経済的解析をやるならば、
副作用に掛かる不要な経費をマイナスの
医療経済効果として算定すべきであると、
私は確信しています。
いずれにせよ、我が国にも英国のNICE
のような機関を設立し、新薬や既存薬も
含めて医療経済的な分析によって薬価の
見直しをすることには賛成です。
当然のことながら、業界や学会、
患者団体、そして政治家も巻き込んで、
大論争となるでしょうが、そんな論争にも
揺るがない科学的な根拠を得るために、
我が国の医療情報(処方、医療費)の
データベースの整備と、医療経済学者
(我が国では絶滅種に認定されそうです)
の養成を急がなくてはなりません。
今まで個の医療メールで何回も嘆いて
いましたが、技術革新を受け付けない
我が国の医療制度も変わりつつあります。
厚労省の担当者のお手並み拝見です。
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いつもながら同感です。
>技術革新をリスクをとって実現しても、
>開発投資を回収できなければ、持続的な
>医療技術突破は望めません。
当然です。
>技術革新を正当に評価しない我が国の
>仕組みの問題があります。
情けないです。
>まともに医療経済的解析をやるならば、
>副作用に掛かる不要な経費をマイナスの
>医療経済効果として算定すべきであると、
>私は確信しています。
当然と思います。
>技術革新を受け付けない
>我が国の医療制度も変わりつつあります。
本当にそうならば、有難いことです。
>我が国の医療情報(処方、医療費)の
>データベースの整備と、医療経済学者
>(我が国では絶滅種に認定されそうです)
>の養成を急がなくてはなりません。
難しそうですね。
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