迷走続く原発事故賠償の枠組み 東京電力“ゾンビ”スキームの欺瞞
迷走続く原発事故賠償の枠組み
東京電力“ゾンビ”スキームの欺瞞
2011年6月16日 DIAMOND online
詳細は、リンクを参照して下さい。
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発表されたスキームがまかり通れば、
死に体の東電は“ゾンビ”のごとく存続し、
株主や銀行、東電の社債を持つ投資家の
すべてが保護されることになる。
賠償負担の原則が顧みられることなく、
ただ、国民や電力ユーザーの負担、
さらには将来の環境エネルギー育成に関連
した成長可能性を犠牲にしつつ、霞が関と
銀行の都合が優先された結果に
ほかならない。
まずは、東電の資産を可能な限り売却
する必要がある。
原子力損害賠償法が極めて曖昧なので、
東電を倒産まで追い込むかは、はっきり
しない。しかし、大震災発生から現在まで
の経緯を冷静に分析すると、組織事故や
人災的な側面ははっきりしている。
損害賠償金の原資は、国民の税金に手を
付ける前に、東電自身が倒産するまで
吐き出すべきである。
東電が整理される事態になれば、銀行の
債権と株式、社債の扱いが問題となる。
私は融資と株式に関しては全額債権放棄
で良いと考えている。
今回の事故で、企業の破たん処理の原則
を変える必要性は認められない。
多くの専門家が指摘するように、国内の
社債市場の8%近くを占める東電社債が
紙くずになると、金融不安を招く怖れは
確かに否定できない。
安定供給のための新会社と旧東電の
社債を1:0.8で交換する、といった
救済策はあっても良いだろう。
そこまで粛々とやった上で、なおも不足
する場合は「原発埋蔵金」を使うべきだ。
原発埋蔵金とは、公益財団法人原子力
環境整備促進・資金管理センターが、
六ヶ所村の使用済み核燃料の再処理の
ために積み立てている資金を指す。
現在までにおよそ2.5兆円、毎年5000億円
ほどが積み上がっていく
六ヶ所村の再処理工場は必要ない。
常識的な人間であればすぐにわかる
ことだ。
万が一、稼働させる前提に立ったと
しても、現在は計画がストップしている
のだから、最低限の維持費さえ残して
おけば問題は起こらない。
再処理が本格稼働したときに、
年間5000億円というお金の流れを元に
戻せばいいだけの話である。
賠償金の支払いを5年間と仮定すると、
原発埋蔵金だけで総額5兆円の原資が確保
できる。
東電の資産売却や債権放棄などを
含めれば、ざっと10兆円に届くのでは
ないか。
賠償スキームの議論は、最低限ここまで
やってから俎上に乗せるべきだ。
賠償金捻出のために、電気料金が値上げ
される、という話も浮上している。
「電気料金は税金みたいなものだから」
そんな容認論もあると聞くが、電気料金
に手をつけるのは筋違いである。
現在、形式上とはいえ電力は自由化
されている。
東京電力管内には、東電以外から電力を
購入している人もわずかながら存在する。
その人たちは、今回の「無計画」停電の
巻き添えを食った。
東電から電力を買っていない人が、なぜ
停電だけでなく補償まで引き受けなければ
ならないのか。
地域独占の東電から電力を購入せざるを
得ない私たちユーザーにしても、原発事故
の責任があるわけではない。
私たちは、いわば東電の「捕虜」に
なっているだけだ。
原発は、東電が勝手に作ったものだ。
私たちが作ってくれと頼んだわけでは
ない。東電に無限責任があるという前提
でも、ユーザーの電気料金に補償を転嫁
するのは理屈が通らない。
現在進められている賠償スキームでは、
他の電力会社も原発賠償機構に負担金を
拠出する。これもおかしな話だ。
将来起こる事故ならまだしも、いま
起きている東電の事故の賠償を他の
電力会社に負担させる正当性は見当たら
ない。
賠償金原資の確保と電気料金の値上げが
結びつく道筋は、そもそも存在しない。
電気料金を値上げする、という発想が
出てくる体質こそが問題だ。
他の電力会社を補償スキームに巻き込む
ことも根は同じで、他人の財布を当てに
してもそうはいかない。
本来、今回の事故の補償金は、次の順序
で進めるべきだ。
まず、東電がすべての資産を売却、
リストラを断行したうえで、株主の株価は
ゼロになり、銀行にも債権放棄をのませて、
利害関係者に何も出すものがなくなって
から、はじめて原発埋蔵金を導入する。
それでも足りなければ、最後は国民が
負担する。投入されるのは、電気料金
ではなく税金だ。
その際、東電は解体し、損害賠償を
負担するだけの機関としてのみ残す。
電力の安定供給を担う事業部門(発電、
送配電、変電、通信、料金徴収等)は、
新たに設立した別会社に現状の人と資産を
移行させ、一時的に国有化する。
そして時機をみて、発電・販売部門と
送配電部門に分離・売却することで、補償
スキームに国が投じたカネを回収し、
余剰金が出た場合にはこれも賠償に回す。
利害関係者の痛みを回避し、経済産業省、
財務省やメガバンクの思惑で造り上げ
られた現在の東電“ゾンビ”スキームは、
到底容認できない。
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>これが筋というものだ。
私もそう思います。
「原発埋蔵金」を使うことは必須と思う。
どうなるでしょう?
関連記事として、
「原賠機構法案は東電を守りたい身内で
全てを決められる究極のお手盛り法案」
というのもあります。
ひどい法案としか思えない。
「電気料金の値上げはあくまで賠償では
なく、原発から火力発電へ切り替えること
による燃料費の増加分を「吸収する」ため」
と言ってますが、実質はわからない。
文書上矛盾がなければ、国は認可するしか
ない。ひどい話。
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