[災害時なぜ逃げ遅れる]心理に「あそび」 鈍る危機感
[災害時なぜ逃げ遅れる]心理に
「あそび」 鈍る危機感
2011年6月9日 読売新聞
詳細は、リンクを参照して下さい。
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東日本大震災では、1万5000人以上
が津波の犠牲になった。
津波警報が鳴っても、すぐに逃げなかった
人が少なくない。
人はなぜ逃げ遅れるのか。
心理的側面から対策を考えてみたい。
(佐藤光展)
異常事態を正常内と誤認
「人間は安心して生きるために、心の中
に『あそび』の部分がある。
ある範囲までの異常は異常と感じず、
正常範囲内と受け止めてしまう」。
東京女子大名誉教授(災害心理学)の
広瀬弘忠さんは、そう指摘する。
この「あそび」を専門用語で
正常性バイアス、あるいは正常化の偏見と
呼ぶ。小さな物音などにいつも驚いていては
神経が持たず、心を守るために必要な反応
だが、非常時に危機感を鈍らせてしまう働き
もある。
広瀬さんが、テレビ局の控室で若い男性
約80人に行った実験では、控室にいきなり
白煙を吹き込んでも、吹き込む速度が
ゆっくりだと、7割の人が煙が充満しても
逃げなかった。
煙は無害だが、少し刺激臭があった。
ところが逃げなかった人たちは「いい匂い
でお香かと思った」「体によい煙だと
思った」などと都合のよい解釈をしていた。
また、非常ベルの音、消防車のサイレン、
煙の進入、を順番に発生させて反応を見る
実験では、一緒にいる人が無反応だと、
逃げない人が多かった。
こんな調子では、死者が多数出てしまう。
生き残るために、何を心掛けたらいい
のか。
東日本大震災の見事な避難例をみて
みよう。
「地震が起こったら、君が最初に逃げる
人になれ」。
群馬大学広域首都圏防災研究センター長
の片田敏孝さんは、7年前から防災教育に
携わる岩手県釜石市で、小中学生一人ひとり
に訴え続けた。
そして起こった大地震。
子どもたちは教師の指示を待たずに、
高台に向けて一斉に駆けだした。
途中、小学生と合流した中学生は、低学年
の児童の手を引いたり、おぶったりして一緒
に逃げた。
指定の避難場所も危ないと判断し、さらに
高台に上がって助かった子どももいた。
同市の小中学生の生存率は99・8%。
子どもたちが逃げる姿を見て慌てて
避難し、助かった住民も多かった。
片田さんは「正常性バイアスに加え、自分
だけが飛び出して何もなかったら恥をかく
という思いが、避難を遅らせる。
非常時には自分の生存を第一に考え、
ためらわず行動する自主性が何より大切。
その素早い行動が周囲も救う」と話す。
また、広瀬さんは「行く先々で、
避難ルートの確認を習慣づけてほしい」と
勧める。
例えば、建物内では非常口を必ず確認
する。
海で遊ぶ時は、高台の位置や距離を気に
留めておく。
飛行機に乗った時は、緊急時の対応ビデオ
を必ず見る。
「そうした短時間の確認を事前に行うだけ
で、いざという時の心身の反応が抜群に早く
なる」という。
古今東西、災害で生き残るのは、誰よりも
早く逃げた人と決まっている。
今、あなたの身に災害が降りかかったら、
どんなルートで逃げますか?
防災専門家の判断にも影響
正常性バイアスは防災の専門家の意識も
鈍らせる。
関西学院大教授の室崎益輝さんは、
阪神大震災前、震度5強を想定した神戸市の
防災計画を作成した。
過去の記録を調べると、震度7の地震が
起こる恐れはあったが、「神戸は安全と
多くの人が信じており、私も影響された。
震度7は私が生きている間はないと
思い込んでしまった」と悔やむ。
今後、各地で見直しが進む防災計画や原発
の安全対策。
正常性バイアスに陥っていないか、作成
する専門家自身が、自らに問い続ける必要
があるだろう。
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>この「あそび」を専門用語で
>正常性バイアス、あるいは正常化の偏見
>と呼ぶ。
なるほど。そういう心理状態がある。
特に大人は経験もプラスされて、
かなり正常性バイアスがかかってますね。
気をつけましょう。
皆さん自身のことです。
自分の判断を常に見直すことが必要です。
>正常性バイアスに陥っていないか、
>作成する専門家自身が、
>自らに問い続ける必要があるだろう。
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