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2011年6月 8日 (水)

iPS細胞に抗原性があるという米UCSDのYang Xu氏らの論文が話題に

iPS細胞に抗原性があるという米UCSDの
Yang Xu氏らの論文が話題に

2011年05月16日
Biotechnology Japan:Webmasterの憂鬱

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 Natureオンラインに2011年3月13日に掲載
された米UCSDのYang Xu氏らの論文が話題と
なっております。
 つまりiPS細胞に抗原性があるという論文
です。

 確かに、今まで自分の細胞から誘導した
iPS細胞は拒絶反応が無いという大雑把な
議論を展開してきたので、今回の論文は
驚きかも知れませんが、このメールでも
報道している通り、iPS細胞の泣き所は同じ
個人の線維芽細胞から由来したiPS細胞にも
極めて幅広い多様性がある点です。

 これが材料とした細胞の多様性と
iPS細胞技術によるエピジェネティックス
の初期化プロセスの不完全性による
遺伝子発現プロファイルの多様性の
2つの理由によって生じることは、
京大グループなど世界中の研究者が指摘
しているところです。

 そのため臨床研究に必要なiPS細胞は
患者さんの皮膚の一部をいただければ
誘導できるのではなく、誘導した後に最も
臨床的に応用可能な安全で、分化誘導能を
持った細胞を選抜するというプロセスが
不可欠なのです。

 今回の論文の成果は、抗原性という観点
からも臨床応用の前には選抜が必要だと
いうことを指摘したという意味に
留まります。

 実際論文を見れば、UCSDのグループが
同系のマウスの胎児皮膚細胞に染色体に
組み込まれないベクターを使って誘導した
iPS細胞の80%が、拒絶反応なしに、移植
された同系マウスの体内でテラトーマを
発生させています。

 米Salk Insituteを含む、San Diego
グループは、iPS細胞とES細胞の遺伝子発現
の差を根拠に、あくまで差があると
言い張っておりますが、これは山中教授が
前から言っている通り、iPS細胞の不完全な
リプログラミングそのものであります。

 しかし、こうした研究から山中4因子以外
に初期化をファインチューニングする因子
が発見され、より完全な初期化のプロセス
を明らかにされることは重要です。

 但し、これはあくまでもES細胞が完全な
初期化であると神格化していることにも
繋がりますので、注意が必要です。

 いずれにせよ、初期化という今まで神秘
のプロセスのベールが次々とあばかれて
いたことは事実ですね。

 先週の金曜日のバイオファイナンス
ギルドで議論しましたが、完全な、
あるいは標準的なiPS細胞はありうるのか?

 実は不完全な初期化と言いましたが、
細胞は工業製品と異なり均一では
ありません。

 常に、多様化するように分化、適応を
繰り返しています。

 ES細胞のように分化がコミットされ、
発生分化というレールを辿るように規制
された細胞とは異なり、iPS細胞は
その多様性を発生させるメカニズムこそ
初期化本質なのかも知れません。

 iPS細胞の多様化を規制し、ES細胞の
ような発生・分化のエスカレータに乗せる
のが、次の挑戦となることは間違いない
でしょう。

 問題は時代主義を取り、この研究を
持ってiPS細胞は不完全であり、臨床応用
を凍結すべきだと言う先滑りの議論を
行わないことです。

 目前の疾患に悩む患者さんをどう
救うか?
 ここに重点を置いて、リスクと
ベネフィットを十分に議論して前に進む
ことが、私は人道的だと考えているから
です。勿論、こうした革新的な治療に
対等な立場で患者さんが開発の当事者
として参加することが、前提条件と
なります。

 iPS細胞に関しては、もはや一喜一憂する
段階は終わったと思います。
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>iPS細胞の泣き所は同じ個人の
>線維芽細胞から由来したiPS細胞にも
>極めて幅広い多様性がある点です。

>今回の論文の成果は、抗原性という観点
>からも臨床応用の前には選抜が必要だと
>いうことを指摘したという意味に
>留まります。
そう思います。

>問題は時代主義を取り、この研究を
>持ってiPS細胞は不完全であり、臨床応用
>を凍結すべきだと言う先滑りの議論を
>行わないことです。

>目前の疾患に悩む患者さんをどう
>救うか?
>ここに重点を置いて、リスクと
>ベネフィットを十分に議論して前に進む
>ことが、私は人道的だと考えているから
>です。
同感です。

極論に走ってはいけないと思います。

目的は目前の疾患に悩む患者さんを
どう救うか? ですよね。

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