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2011年6月17日 (金)

第二段階に入ったiPS細胞研究

第二段階に入ったiPS細胞研究
2011年06月13日
Biotechnology Japan:Webmasterの憂鬱

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 9日にiPS細胞樹立に必要な第五の
山中因子、Glis1の発表がありました。

 Glis1は未受精卵と受精直後の受精卵に
のみ発現している遺伝子であり、今回の
京都大学iPS細胞研究所と産業技術総合
研究所の共同研究の成果は、iPS細胞研究
が第二段階に入ったと判断しました。

 その理由は極めて単純です。
 今までの発想では、この因子は発見
できなかった。
 今回の発見で、iPS細胞の研究は初期化
という未解明なプロセスに切り込んだと
考えたためです。

 今までES細胞(胚性幹細胞)に特異的に
発現している遺伝子から多能性幹細胞を
誘導するに必要な遺伝子を選抜して
おりました。しかも、その最終ゴールは
ES細胞とそっくりな多能性幹細胞を創る
ことでした。

 これを第一世代とするならば、
Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Mycが
ゴールデンスタンダードとして確立した
といっても良いでしょう。

 c-Mycをn-MycやL-Mycで代替したり、
Mycそのものを除いた3因子でもiPS細胞を
樹立することが分かったり、
OCT3/4、SOX2、NANOG、LIN28でも誘導可能
であることも示されましたが、常識的な
推論の範囲に入っていました。

 Glis1はこうした範疇を逸脱した
山中因子です。

 第一、ES細胞では全く発現されていない
遺伝子です。
 従来の山中因子を選別する方法論では、
これを発見することができませんでした。
 しかも、4因子と一緒に線維芽細胞に導入
するとiPS細胞の樹立効率を10倍に上昇
させ、しかも、iPS細胞もどきの混入の
少ない、きちっとしたiPS細胞のみが樹立
されるという特徴がありました。

 事実、ES細胞にGlis1を強制発現すると
死滅します。

 iPS細胞の樹立は促進しますが、iPS細胞
では完全に遺伝子発現を沈黙するのが
Glis1です。

 誠に好都合な転写調節因子です。
 樹立したiPS細胞の品質管理までする、
まさに「魔法の因子」(山中伸弥教授)
なのです。

 この研究の延長線上には、生殖細胞へ
分化する過程と受精直後に起こる
エピジェネティックスの変化(初期化)
の謎を解く鍵が存在する可能性濃厚です。

 初期化の機構解明という二番目の
ノーベル賞を山中教授の弟子達が狙う
チャンスでもあると一人で興奮して
います。
 是非ともやり遂げていただきたい。
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Glis1まさに「魔法の因子」のようです。
がんばってください。
これで、研究の進捗が早まると良いですね。

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