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2011年6月30日 (木)

原発「安価」神話のウソ、強弁と楽観で作り上げた虚構、今や経済合理性はゼロ(1)

原発「安価」神話のウソ、強弁と楽観で
作り上げた虚構、
今や経済合理性はゼロ(1)

11/06/21 東洋経済online

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 1キロワット時の電力を作るのに、水力は
約12円、石油11円。
 そこへもってくると、原子力なら半分の
約5円で済む――。

 傑出した経済性は、ウラン燃料が比較的
入手しやすい、燃料がリサイクルできる、
CO2を排出しない、と並ぶ、
「原発の4大美点」だった。

過小評価と抜け穴だらけ 「公式試算」の
いいかげん

 原子力の発電コストは、三つの要素で
成り立つ。

 第1が、燃料費や人件費など、電気を作る
うえでかかる「発電費用」。

 第2が、発電に伴って出る使用済み燃料を
再加工したり、廃棄物を処理する費用だ。
 後工程という意味で「バックエンド費用」
と呼ばれる。

 これに、「立地費用」が加わる。
 原発を誘致した地元自治体に対する補助金
や交付金がこれに当たる。

 驚くべきことに、国が言う「原発5円」
は、1と2のコストしか含めていない。
 しかも、不備がある。

20110620009790413

 まず、発電費用から、揚水発電のコスト
が外されている。

 揚水発電とは、夜間電力で水をくみ上げて
上部調整池にためておき、需要の多い昼間に
落水して発電する。
 原発はつねに一定の出力で発電するため、
夜間は電気が余る。
 揚水はその有効活用策だ。
 つまり、揚水発電は原子力のために存在
する存在であり、両者は不可分の関係に
ある。

 立命館大学国際関係学部の大島堅一教授
は、電力各社の有価証券報告書をつぶさに
検証し、本来かかったはずの発電コストを
試算した。

 その結果、原子力と揚水を足したコスト
は2007年度で1キロワット時約9円と、国の
試算の約2倍であり、火力の約11円とほぼ
同じであることが判明した。

 ちなみに、揚水を除いた一般水力発電の
コストが約4円で最も安く、国の言う
「水力12円」説の“ウソ”も、併せて
明らかになった。

 国の試算がさらに問題なのは、
“第2の費用=バックエンド費用”が、
極めて過少評価されている点だ。

 04年の政府審議会に提出された政府資料
によると、バックエンド費用は総額
約18・8兆円となっている。
 これでも十分巨額だが、今回、大島教授
への取材に基づき本誌が試算したころ、
実にその4倍、70兆円規模に膨らむ可能性が
あるとわかった。

 政府と本誌の試算は、大きく二つの費用
で異なる。

 まずは、使用済み燃料の再処理費用だ。

 燃やし終わった燃料からウランや
プルトニウムを取り出し、新たな燃料
(MOX燃料)として使えば、ウラン資源を
有効活用できるという考え方は、
「核燃料サイクル」として、日本の原子力
政策の根幹を成す。

 政府は、青森県六ヶ所村にある
再処理工場の費用を11兆円とはじいて
いる。だが、実は、六ヶ所再処理工場
では、43年までに発生すると見積もられて
いる使用済み燃料約6・4万トンの半分しか
処理する能力を持ち合わせていない。

 だとすれば、コストも11兆円ではなく、
2倍の22兆円と認識するのが自然だろう。
 もちろん、使用済み燃料にかかわる費用
すべても、倍にして考える必要がある。

あまりに楽観的な「歩留まり100%」前提

 それだけではない。
 リサイクル燃料であるMOX燃料も燃やし
終えれば当然、使用済み燃料が出る。
 ところが、試算からはこの部分が
すっぽりと抜け落ちている。

 六ヶ所はもともとウラン使用済み燃料の
半量を再処理するために建設された工場で、
MOX燃料を持ち込むことは本来できない。

 技術的に見ても、組成が異なるウラン燃料
とMOX燃料を一緒に処理できないという見方
もある。
 六ヶ所と同規模の専用工場を建てるなら、
やはり11兆円以上が必要になる。
 再処理しないならしないで、MOX使用済み
燃料分の処分費用がいるだろう。

 しかも、11兆円というのは、工場稼働率
100%を前提にしているのだから楽観的
というほかない。
 実際は、フランス・アレバの
ラ・アーグ工場が稼働率56%、
英国セラフィールド工場は4%にとどまる
(各07年)。

 歩留まりが下がれば、反比例してコスト
はかさむ。
 ひいき目に見て稼働率70%としても、
22兆+11兆=33兆円の処理費用は47兆円に
膨らむと考えてもおかしくはない。

 高レベル放射性廃棄物の処分に関する
費用に至っては、国の見積もりは決定的に
「甘い」。
 高レベル廃棄物というのは、使用済み
燃料を再処理する際に出る液体状の廃棄物
で、安定した物質であるガラスを混ぜて
「固化体」にされる。
 固化体は、30~50年かけて冷まされた後
(中間貯蔵)、地下300メートルより深い
地層に最終処分される。
 政府は、固化体1本のコストを3530万円
として、2兆円余りとはじいている。

 ところが、である。
 高レベル廃棄物は、過去、フランスや
英国に固化を委託してきた。
 固化を終え返還された燃料は、現在は
六ヶ所村で中間貯蔵されている。
 大島教授はこれについても、電気事業
連合会の資料から検証した。
 結果、1本の貯蔵費用は1億2300万円程度
と、政府前提の3・5倍にも達することが
わかった。

 「地下に埋めて半永久的に人類から隔離
する費用が、当座の管理費用より安いとは
考えにくい。
 少なくとも同じと見るべきだろう」
と語る。

 高レベル廃棄物もほかと同様、
全量再処理ベースで計算すると、
(2・55兆円×2)×3・5=約17・8兆円。
 これは、国試算ベースの7倍に相当する。
“真”のバックエンド費用は約74兆円──。

 金額の当否はともかく、国の見積もりは
あまりに楽観的だ。

再生可能エネルギーが将来いちばん安くなる

 最後に、第3のコスト。
 発電所の建設を受け入れた地元自治体
には、見返りとして、多額の交付金や
補助金が流れる。
 これも、発電コストにほかならない。

 再び大島教授の試算によると、
1キロワット時当たりの開発単価と
立地単価の合計は揚水を含む原子力が
2・1円、火力と水力が各0・1円
(1970~2007年度)だった。
 これを足した同期間の「総コスト」は、
揚水を含む原子力が12・23円、
火力9・9円、水力3・98円となった。
 原子力発電は、最も割高な発電だった
ことになる。神話は虚構だった。

 しかも、これまで見てきたように、
バックエンド費用は明らかに過小に見積も
られている。
 さらに言えば、事故に関する費用は、
まったく含めていない。
 福島第一原発の事故処理、賠償、
そして廃炉にかかる費用――

 原発の経済合理性について斟酌
(しんしゃく)する余地はもはや、
どこにもない。

 ちなみに東京電力は、1970年度からの
37年間で得た原子力事業からの利益
約4兆円を一瞬にしてなくした。
 東電にとって原発はまったく割に
合わない電源だった。

 大島教授は言う。「原発の経済
パフォーマンスは想像以上によくない。
 特に、再処理はおろかな政策であり、
すぐにやめるべきだ」。

 使用済み燃料を再処理して得られる
MOX燃料は金額にして9000億円分に相当
する。そのために、再処理に11兆円、
MOX燃料加工に1・9兆円
(ここでは政府試算どおり)もの費用を
投下するのだ。

 「おカネをドブに捨てているような
ものだ。

 それだけの費用があれば、風力発電や
太陽光発電を市場でテイクオフさせ
られる。立地・開発に関する補助金も、
利用目的を転換していくことはできる
だろう」(同)。

 「さらに、原子力との著しい違いは、
原子力コストはこれからも上がり続ける
のに対して、再生可能エネルギーのコスト
は下がる一方だということだ」と言う
大島教授は、原子力に傾斜してきた日本の
エネルギー政策を「再生可能エネルギーの
成長を見過ごした産業政策の失敗」だと
位置づける。

 あぶり出された原子力のウソ――
 それは同時に、原発の真実の姿も白日の
下にさらしている。
 そこから目をそらすことは、
もうできない。
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まったくひどい。
これほど恣意的な試算だったとは?
政府のいうことは全く信用出来ない
ということだ。

原発を停止すると電気料金が上がると
言うのは短期的な話、実体は全く違う。

>原子力コストはこれからも上がり続ける
>のに対して、再生可能エネルギーの
>コストは下がる一方だということだ

政府の施策を見ていると、電気料金に
今回の事故賠償金が上乗せされる可能性
が大きい。これもひどい話だ。

今回出ている再生可能エネルギー促進法は
ないよりましだが、総て電気料金に上乗せ
される。

直ちに、今までの電力政策を変更して、
原発推進の為の余剰金を再生可能
エネルギー促進に使うべきだと思う。

上記の記事では、
「燃やし終わった燃料からウランや
プルトニウムを取り出し、新たな燃料
(MOX燃料)として使えば、ウラン資源を
有効活用できるという考え方は、
「核燃料サイクル」として、日本の原子力
政策の根幹を成す。」

と言っているが、本来は高速増殖炉の稼働
にある。ところができない。
MOX燃料として再利用といってもウラン燃料
に一割しか混ぜることが出来ない。
要するにたったの一割の再利用にすぎない。


>「おカネをドブに捨てているようなもの
>だ。それだけの費用があれば、風力発電
>や太陽光発電を市場でテイクオフさせ
>られる。立地・開発に関する補助金も、
>利用目的を転換していくことはできる
>だろう」

どうして今の政治家はこういう施策を継続
しようとするのだろう?

とんでもない無駄遣い。であり、

将来を見通した時、決して国民の為には
ならない施策なのに、

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