続々.治せない病気に対し,我々は何ができるか?
続々.治せない病気に対し,我々は
何ができるか?
2011年04月15日 Neurology
詳細は、リンクを参照して下さい。
Neurology 興味を持った「神経内科」論文
というプログの中から、最近私が感動した
項目があったので紹介します。
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先週,医学部の6年生に対して講義を
させていただいた.私は3年生から講義
をする機会をいただいているが,「今は
まだ治せない病気に何ができるか」という
自分自身にとっても大切な問題を,一緒に
考えてみたいと考えている.
3年生に対する講義の内容は以前に
ブログに書いたことがあるが,ALSを
題材として講義を行っている.
治せない病気に対し、我々は何が
できるか?
続.治せない病気に対し,我々は何が
できるか?
当科の初代教授である椿忠雄先生の
おっしゃった「治らない患者に普通の
意味の医学はだめであっても医療の手は
及ばないことはない」という言葉を伝える
のはこの3年生の時である.
最終学年の6年生には,まだ治せない
病気に対して,基礎研究の立場からどう
取り組むことができるのかということを
私なりに伝えている.
以下は講義に対して6年生のみんなが
書いてくれた感想の一部です
(了解もなく引用しますが,名前は伏せて
いますので勘弁して下さい).
自分の進むべき道に対する不安がある
ものの,素直で純粋で,そして前向き
であり,とても感動しました.
どうか読んでみてください.
心から期待したくなりますよ.
1.悩み
治らないということを患者さんに伝える
とき,私にはまだどのように伝えたら
よいのか今は正直わからないです
将来どんな医師になればよいかという
心配が強くなっている自分がいる
「医学」というものには限界があり,
ある意味において非常に頼りないものだと
強く感じ始めています
2.学ぶ
患者さんから多くを学び,それを研究に
生かせるようにする
目をそむけることなく,しっかり向き
合い,何が苦しいのか,どんな痛みを
抱えているのか,どんなことを考えている
のか知ることから始めたい
担当させてもらうことになったら,
その機会を大切にして,感謝しながら,
患者さんから出来る限りのことを学びたい
と思う
ベッドサイドに行くことが辛く感じる
かもしれないが,できるだけベッドサイド
に行き,患者さんの声に耳を傾けたい.
患者さんに向かうことから逃げては
いけない
治すこと以外にも医師だからできること
を患者さん一人一人について考えて
いきたい
3.研究
治せない病気には2つのアプローチ,
ひとつは病態の解明,もうひとつは
(病態を問わず)現状の改善を目指すこと
があると思う
珍しい難病だけが研究のしがいがある
領域なのではなく,どんな病気でも様々な
視点からアプローチできるはず
患者さんに対して真剣に向き合うこと
(それは世間一般に求められる「医師」
というだけでなく,科学的・学問的な意味
でも),そして様々な視点から病気を
眺めることでなにか手がかりがないか
考えること,常に疑問をもつことを忘れず
に行動したい
医師人生の中で,「研究」という形でも
「苦しむ患者さんのために少しでも役に
立ちたい」という想いを体現したいと
思います
研究も行ってみたいです.少しでも前進
することで,医療者自身にも希望が生まれ
れば,患者さんにも希望を与えることが
できると思います
4.目指すべきもの
患者さんの気持ちに寄り添いつつも,
少しでも患者さんが「生きたい」と
思ってくれるようなケアをしていきたい
人が立ち直るためには「3つのT」が
必要と聞きました.Time, Talk, Tear.
私はまず患者さんとじっくり時間を
かけて気持ちの吐露を受け止め,治療に
対し,そして人生に対し前向きでいられる
ようサポートしたい
自分から情熱を持って行動できるような
人になりたい
患者さんに再びあったときに,
その出会いが感謝できるような医師に
なりたい
自分がその患者さんを担当させて
いただいたことに感謝し,後悔のない
ように行動したい
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素晴らしいと思います。
確かに現在の医療はまだまだ頼りないもの
だと思います。
だからこそ、自分の心に問うて貰いたい。
>治せない病気に対し、我々は何が
>できるか?
素晴らしい答えだと思います。
良い医師となれるよう願っています。
心から期待したい。
一人の難病患者として、
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コメント
僕も読みました。
とても感動しました。
患者さんに寄り添う、感謝する。
そんな先生がもっともっと増えたらいいですね。
投稿: H!ro ^ ^ | 2011年5月19日 (木) 16時55分
心からそう思います。
「願わくば、研究者として」で述べられている言葉も素晴らしい。
そういう先生が一人でも増えたら本当にいいですね。
投稿: haredasu | 2011年5月19日 (木) 21時38分