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2011年5月10日 (火)

iPS抜きで細胞 続々

iPS抜きで細胞 続々
朝日新聞アスパラクラブ
科学面にようこそ

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 皮膚などの細胞をiPS細胞
(人工多能性幹細胞)にせず、直接、必要な
細胞に作り替える
「ダイレクト・リプログラミング」の研究が
活発化している。

 心筋や神経、軟骨細胞や、さまざまな細胞
のもとになる幹細胞で成功。
 作製が手軽で、がん化のリスクも減らせる
利点が注目される。

 米科学アカデミー紀要に4月末、1本の
論文が載った。
 発表者は、米グラッドストーン研究所の
シェン・ディン主任研究員らのグループ。

 iPS細胞を作るのに使われる四つの
遺伝子を細胞に入れながらも、iPS細胞
にせずに、皮膚の細胞から神経幹細胞を
作ったという成果だった。

 増やしやすい幹細胞を作ったことが
画期的だった。

 ディン主任研究員らは1月には、同じ手法
で皮膚から心筋細胞も作った。
 四つの遺伝子を入れた後、薬剤を加えて
遺伝子の働く時間を短くしてから培養する
ことで、iPS細胞を経由せずに狙った
細胞を作った。

 このように元の細胞から別の種類の細胞
を直接作る手法が
「ダイレクト・リプログラミング」だ。

 人間は約60兆個の細胞からできている。
 たった一つの受精卵から分裂を繰り返し、
皮膚や神経、目、心臓などとそれぞれの
役割を持つ細胞に分化していく。

 この流れは逆戻しできない、という常識
を覆したのが京都大の山中伸弥教授が
2006年に発表したiPS細胞。

 細胞に4種類の遺伝子を入れることで、
分化した細胞をさまざまな細胞になれる
「万能細胞」に作り替えた。

 それならばiPS細胞にせずとも細胞を
作り替えられるのではないか――。
 ダイレクト・リプログラミングの先駆け
は2008年、マウスの膵臓(すい・ぞう)
の細胞に三つの遺伝子を入れて、
インスリンを作るベータ細胞を作った
米ハーバード大のメルトン教授らの
グループ。

 「iPS細胞ができる数年前から、
メルトン教授らはこの研究を始めていた」
と、メルトン研究室に在籍経験がある国立
成育医療研究センターの阿久津英憲室長は
話す。

 以前は否定的な意見が多かったが、
iPS細胞の誕生がそんな空気を変えた
という。

 さまざまな細胞を直接作ったという発表
が、昨年から相次いでいる。
 より安全で効率のよい遺伝子の組み合わせ
についての研究も進みつつある。

 米スタンフォード大のグループは昨年、
マウスの皮膚細胞から神経細胞を直接作製
したと、英科学誌ネイチャーに発表。
 カナダのグループは、ヒトの皮膚細胞に
一つの遺伝子を入れるだけで、血液のもと
になる前駆細胞を作った。
 この細胞から赤血球や白血球を作ること
もできた。

 日本では「日本発」のiPS細胞の研究
に関心が集まっているが、一方で
ダイレクト・リプログラミングの研究も
広がりつつある。

 大阪大の妻木範行准教授らがマウスの
皮膚から軟骨細胞を、
慶応大の家田真樹特任講師らは心筋細胞の
直接作製に成功した。

 九州大の鈴木淳史准教授は、肝臓細胞の
直接作製に取り組む。
 鈴木さんは「この手法は、患者の細胞
から作れるという、iPS細胞と同じ利点
がある。
 さらに移植すればがん化するiPS細胞を
作らないことで、リスクも下がって有利と
思う」と話す。

 ただ、導入する遺伝子を探すのは簡単
ではない。
 神経幹細胞の作成に取り組んでいる
慶応大の岡野栄之(ひで・ゆき)教授は
「どの遺伝子を選べばいいかは体内で細胞
が段階的にどのように作られていくか熟知
することが必要だ」と話す。

 ダイレクト・リプログラミングは実用的
なのか。

 阿久津さんは
「ダイレクト・リプログラミングで幹細胞
を作っても、増殖能力が高い分、iPS細胞
とは異なる形でがん化する可能性も
考えられる」と指摘する。

 作り出した細胞が長期間、変化せずに
そのままの細胞であり続けるのか、
元の細胞に「先祖返り」してしまうのか、
という点もわかっていない。

 阿久津さんは「とにかくこれから研究が
進むであろう分野。
 世界で競争が激しくなっており、日本も
置いていかれないようにしなければ」
と話している。


《筆者の福島慎吾から》

 手に入れやすい皮膚などの細胞から、
ほしい細胞を直接作ってしまおうという
「ダイレクト・リプログラミング」。

 iPS細胞の研究が世界中で盛んに
進められていますが、最近ではこちらの
ほうも研究者の関心を集めています。

 ここ1~2年で発表された成果を見ると、
それぞれの研究グループは、ほしい細胞が
生体内でできる過程から重要な遺伝子を
突き止め、それを皮膚細胞に入れることで、
ほしい細胞を人工的に作り出そうとして
きました。

 適した培養方法も含め、さまざまな
細胞になれる「万能細胞」のES細胞や
iPS細胞から、ほしい細胞を作る技術の
知見や蓄積が、ここでも生かされています。

 一方、記事のなかでも触れた
シェン・ディンさんらのグループの手法
からは、これから違った展開がありそう
です。

 彼らが皮膚の細胞に入れたのは、
山中ファクターと言われる四つの遺伝子。
 ウイルスを使って導入した後、抗生物質
を加えることで4遺伝子の働く時間を短く
操作し、その後、ほしい細胞に適した
培養方法を続けるのです。

 これならば、培養方法を変えるだけで
ほかの細胞も作れるのかもしれません。

 山中ファクターは、さまざまな細胞に
なるためのきっかけを作る遺伝子で、
iPS細胞もそのなかの一つなのかも
しれず、ディンさんらは論文のなかで、
「iPS細胞になる前の状態の細胞がある
のかもしれない」としています。

 ダイレクト・リプログラミングという
技術は、医療への応用という面ではまだ
未知数ですが、サイエンスとして面白い
発見、展開がこれから期待できそうです。
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ダイレクト・リプログラミング
これからに期待したい。

>世界で競争が激しくなっており、
>日本も置いていかれないように
>しなければ
そうですね。
是非、政府も後押しお願いします。

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