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2011年4月29日 (金)

全体最適の北欧・部分最適の日本

全体最適の北欧・部分最適の日本
情報基盤統括部 高橋正明
大和総研ホールディングス

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 日本人にとって、北欧諸国は理解しにくい
社会のようである。

 日本人の常識では、税や社会保険料が重く
なれば(国民負担率が高まれば)、社会の
硬直化、経済活力や生活満足度の低下、
政府不信の高まりが進むはずである。

 ところが、北欧諸国は世界最上位の
所得水準や生活満足度を維持するだけ
でなく、スウェーデンの 公的年金改革
(※1)やデンマークの労働市場改革
(※2)、紙パルプからIT先進国へと
急変貌したフィンランドの産業構造改革
など、柔軟性・革新性の点 でも世界を
リードしている。

 さらに、女性や障碍者の社会進出、短め
の労働時間と充実した家庭生活・余暇活動、
先進国としては高い出生率など、「豊かな
社会」を実現していることは世界が認めて
いる。

 なぜ北欧は国民負担率が高いにも
かかわらず、「豊かな社会」を実現できて
いるのだろうか。

 この理由は意外と単純で、働かない人を
少なくする社会システムが整っているから
である。

 おそらく、大半の日本人は、「フル稼働
できる人だけを集めて働かせる」ことを
「効率的」とイメージしているだろう。

 だが、これではフル稼働できない人は
労働市場から脱落するから、社会全体で
見れば、労働力を死蔵させる非効率な方法
である。

 また、無理をして働けば家庭生活が犠牲
にならざるを得ず、少子化の一因になって
しまう。

 北欧はその逆で、無理が利かない人には
仕事量や 勤務時間を減らしたり、一時休職
を認めるなど、個々人の事情に応じた労働
環境を提供することで、誰もが働き続ける
ことを可能にしている。

 みんなが働くから、一人当たりの労働負荷
は減り、長時間労働や過労死とは無縁で、
充実した家庭生活が可能になる。

 “Work-life-balance”が良好だから、
男女とも育児に十分な時間が割け、少子化
も進みにくい。

 日本は各企業が個別に効率化を進める
「部分最適」なので、社会全体では
「合成の誤謬」をおこし、結果的には非効率
になってしまう。

 一方、北欧は社会全体での効率化を優先
した「全体最適」なので、企業単位では
非効率に見えても、社会全体では合成の
誤謬が 避けられているため、非常に効率的
なのである。

 もちろん、出産・育児や病気で一時離職
する人への所得保障、失業者への職業訓練
・再教育など、労働市場からの脱落者を
なくす費用は政府支出で賄われるから、
国民負担率はその分だけ高くなる。
 しかし、その結果として多くの人を労働
市場に投入し、高い生活水準を実現して
いるのだから、これは十分にペイする
支出で、まさに「損して得取れ」である。

 一見すると高い国民負担率は、合成の
誤謬を避けて豊かな生活を実現するための
安い買い物(必要経費)といえる。

 一方、日本は「自己責任」「小さな政府」
など、部分最適を一段と強化する方向に
向かっている。
 合成の誤謬を排して社会全体の効率性を
高めるためには政府の適切な介入が不可欠
なのだが、日本人は「政府の介入を減らせば
減らすほど社会全体の効率性が高まる」
という固定観念から抜け出せないようで
ある。

 少子化対策など、部分的には北欧の制度
をまねようという動きはあるが、その「魂」
である全体最適思想を理解しなければ所詮は
「仏作って魂入れず」で、その効果は
限られてしまうだろう。
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そうかもしれません。

今のやり方では一部の高所得者を生むだけ。
向かっている方向が違うのではないで
しょうか?

ジニ係数の推移を見れば一目です。
格差は拡大しています。

過度な富の集中は修正していかないと
いけない。

部分最適ではなく全体最適を目指す必要が
あるように思います。

立ち止まって考えるべき時では
ないでしょうか?
このまま進んで行って良いのかどうか?

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