脳内アミノ酸による運動記憶と学習の仕組みを解明
脳内アミノ酸による運動記憶と
学習の仕組みを解明
平成23年4月4日
科学技術振興機構(JST)
慶應義塾大学 医学部
詳細は、リンクを参照して下さい。
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JST 課題解決型基礎研究の一環として、
慶應義塾大学 医学部の柚﨑(ゆざき) 通介
教授と掛川 渉 助教らは、マウスの幼若期
に習得される運動記憶と学習の新しい形成
メカニズムを解明しました。
神経細胞は「シナプス注1)」と呼ばれる
結び目を介して互いに結合して神経回路を
形成しています。
記憶と学習はシナプスにおける変化として
蓄えられることから、そのメカニズムの解明
が神経科学の重要課題の1つとなって
います。
記憶にはさまざまな種類があり、人の
スポーツや楽器演奏活動などの運動技能に
関連した記憶は、小脳の神経回路が関与
します。
しかし、小脳シナプスにおいて記憶を
制御する分子機構については不明な点が
多く、例えばどうして年齢とともに
運動学習能力が変化するのかはよく
分かっていません。
本研究グループはこれまでに、マウスを
使った研究で神経細胞が分泌する
たんぱく質Cbln1
(シービーエルエヌ1)注2)がデルタ2型
グルタミン酸受容体(デルタ2受容体)
注3)に結合することにより、小脳における
シナプス形成を制御することを発見して
いました。
さらに今回、幼若期の小脳に豊富に存在
するアミノ酸「D-セリン注4)」が
デルタ2受容体に結合することにより、
シナプスでの運動記憶・学習を促進する
ことを、実験で明らかにしました。
実際にD-セリンがデルタ2受容体に
結合できない遺伝子改変マウスを作製・
解析したところ、幼若期での運動記憶・
学習能が著しく低下していました。
D-セリンとデルタ2受容体との結合
モデルは、人にもあてはめられると
考えられています。
この発見は、人の幼児期での運動記憶・
学習過程を理解する上で有用な知見を
与えるものです。
また、デルタ2受容体は生涯を通じて
発現しており、D-セリンの経路を制御
することによって、将来、大人でも効率的
に運動学習を促進させうる可能性が
あります。
本研究成果は、2011年4月3日
(英国時間)に英国科学雑誌
「Nature Neuroscience」
のオンライン速報版で公開されます。
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D-セリンとデルタ2受容体との結合モデル
ね~
>D-セリンの経路を制御することに
>よって、将来、大人でも効率的に
>運動学習を促進させうる可能性が
>考えられます。
とのことです。
リハビリなんかに関連してくる研究
なのかな?
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