原子力発電の代替エネルギーは何か
原子力発電の代替エネルギーは何か
「空想エネルギー論」を蔓延させない
ための本質的コスト論
2011年4月15日 日経ビジネスONLINE
詳細は、リンクを参照して下さい。
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エネルギー源構成の変化
まず端的に言って、日本での原子力発電所
の新規建設は無理であろうし、大事故を
起こした福島第一原子力発電所の1~4号機の
再開は不可能であり、また福島原発の残った
原子炉や、2007年の中越地震被害から
完全復旧していない柏崎刈羽原子力発電所
の未稼働分の再稼働も、少なくとも中期的
には困難だろう。
世界的にも現在、建設中、計画中の
約100基、合計出力90~100百万キロワットの
原発のかなりの割合、例えば3割程度は、
大幅遅延、ないし中止になる可能性が十分
あるだろう。
さらに、日本やドイツを中心とする欧州
の老朽化した原発の運転延長や建て替えも
困難となろう。
この合計数千万キロワット分の発電量、
ないしエネルギー量は、別のエネルギー源
で賄わなければならない。
では、どのエネルギー源が代替するのか?
結論を先に言おう。
新規原子力発電所の代替は、省エネと
天然ガスが大宗を占め、風力発電を中心に
再生可能エネルギーも増加するが、補完的
役割にとどまり、救世主にはなり得ない
だろう。現時点で、一部メディアでは、
CO2対策で原子力に期待できなくなった
以上、いよいよ太陽光発電や風力発電など
のグリーンエネルギー体制に変換すべき
との主張も散見される。
しかし、そういう主張は、コストや
使い勝手を軽視した単なる願望を述べた
もの、敢えて言えば素人的な見解に
過ぎないだろう。
家庭でのエネルギー消費量は全体の1割程度
まず、そもそもエネルギー問題は、なぜ
重要なのか?
この基本中の基本を述べた本や論説は
意外に少ない。
「安くて大量で安定した」エネルギー
供給がないと、現代文明は1日として維持
することはできず、人類史上未曾有の
大悲劇に見舞われ、人口が激減することは
100%確実である。
なぜならば、現代人の生活の基盤である、
家・建築物、衣服、食糧、食器、紙、家具、
上下水道、化学・薬品類、道路・鉄道・
船舶などの「最も基本的なモノ」の生産
には、膨大なエネルギー投入が必須だから
である。
世界全体、あるいは日本全体でも、この
モノの生産に全エネルギー消費の約半分が
あてられている。
重量物でもあるこれらの基礎物資の輸送
・配送も考慮すると、全エネルギー消費の
3分の2にもなる。
「安くて大量で安定した」エネルギー源が
不足すると、先進国で夜が暗い、テレビや
電話・冷蔵庫などの家電製品が使えない、
冷暖房が出来ない、車や電車に乗れない、
というような瑣末なレヴェルの問題では
ないのだ。
だから、日本でも、世界でも、家庭での
直接的なエネルギー消費というのは、
全エネルギー消費の1割程度しかない。
日本のエネルギー消費の一部でしかない
電力消費だけ見ても、家庭で直接使用する
分は3割以下だ。
各エネルギー源のコストを決定する最大の
要因は何か?
テルツァキアンは、エネルギー源の価値を
決定する全ての要因の中で、最も本質的で
重要なのは、そのエネルギー源を獲得する
のに必要なエネルギー量と、
そのエネルギー源が持っているエネルギー量
の比率、即ちエネルギーの産出/投入比率、
専門用語ではEnergy Return On Energy
Invested(EROEI)としており、これが
コストを決定する最大の要因である。
このエネルギーの産出/投入比率が高い
ほど、エネルギー源としての本源的価値が
高く、低コストとなり、現代文明を支え
られるエネルギー源となるが、その比率が
低ければ、いくら大量に存在して環境負荷
が低くても、現代文明を支える
主要エネルギーには原理的になり得ない。
この点が決定的に重要だが、世間的に
よく認識されているとは言えない。
各エネルギー源について産出/投入比率
を見てみると、おおよそ以下のようになる。
石油・天然ガス :
100倍(中東湾岸等)~20倍(米国)
石炭 :30倍前後
原子力 :20倍前後
風力発電 :10倍~20倍
太陽光発電 :5倍~10倍
この産出/投入比率の推定値は、
大まかな推定しかできず、また推定する人
によってかなり偏りが見られるが、確実に
言えることは、化石燃料、特に石油・
天然ガスの数値が圧倒的に高く、
次に石炭、原子力と続き、
再生可能エネルギーは石油・天然ガスの
5分の1~10分の1程度しかないということ
である。
再生可能エネルギーの中では、太陽光発電
よりも風力発電の方が約2倍の倍率がある。
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省略しました。
詳細はリンクを見てください。
さらに次回に続くようです。
確かに何もかも、エネルギーに依存して
いるので安定で安価なエネルギーが
なければ、現在の生活水準の維持は
不可能と思います。。
省エネといっても限界があると考えます。
何かで不足を補わなければならないはず
です。
結論は、当面はこの筆者と同じで、
>新規原子力発電所の代替は、省エネと
>天然ガスが大宗を占め、風力発電を中心に
>再生可能エネルギーも増加するが、補完的
>役割にとどまり、救世主にはなり得ない
>だろう
と考えます。
但し、天然ガスとて有限なエネルギー
天然ガスで持ちこたえているうちに、
再生可能エネルギーの比率を高め、
安定的に供給できるようなシステムを構築
していくというシナリオになるのではない
かと思います。
安定的な供給という面で、スマートグリッド
の実現は必須でしょう。
スマートグリッドを通しての消費電力制御
も必要になってくるかもしれません。
天然ガスには、「メタンハイドレート」も
加えるべきだし、「バイオマス燃料」も
有効だと思う。
太陽光発電ももっと安価になってくるはず
だし、
「宇宙太陽光発電、実証実験へ…
電力を電波に変換」
と言う話もある。
これだと安定供給が可能と思われます。
この際まじめにこれからの電源について
考えてみるのもよいと思います。
戦略が必須です。
エネルギー戦略です。
どう立て直していくか、どういう方向に
持って行くのか?
政治の出番です。
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コメント
代替エネルギーといっても、とても複雑な問題が絡み合っているんですね。たとえば、飛行機や船、あるいは大型トラックの燃料にガスや電気、また石炭は使えませんね。石油由来の燃料しか使えません。物流も含めた総合的なエネルギーとなるとまだまだ石油は必要です。しかし、資源としての石油は明らかに枯渇が懸念されています。そうなってくると、これは、石油をつくるしかない。「日本を石油の輸出国にする」プロジェクトを立ち上げましょう。haredasuさんが紹介してくださった渡邊教授がみつけた高効率に石油をつくる藻類を利用したいとオリバーは、考えます。津波によって破壊された場所には、おそらく家は建てられないでしょうし、塩害のために農作物の作付けも困難でしょう。福島原発周辺の農地も今後風評被害も相まって早期の復興は、難しいでしょう。ですから、これらの広大な土地を活用してバイオ燃料を生産できないでしょうか。石油をつくりながら、CO2も削減できます。東日本大震災の悲劇は、通常の都市計画でなく、画期的な計画をつくるチャンスでもあります。バイオでつくられた石油は、まさに、全てのエネルギーの代替になりうるものです。渡邊教授は、休耕された農地を利用すれば、日本が石油の輸出国になるのも可能だともおっしゃっていますが、いま、まさにそのチャンスが訪れています。悲劇をチャンスに生かさなければ、震災亡くなった方々がうかばれません。
投稿: オリバー | 2011年4月17日 (日) 17時18分
そうです。
今がチャンスです。今しかありません。
電力の発送電分離も、スマートグリッド構築への一歩も、
あらゆる可能性、将来性を考慮したエネルギー戦略が必須です。
速く走り出さないと駄目だと思います。
走り出すと必ず問題も起きてきます。それを一つ一つ解決しながら進めて行く。
時間がかかります。
以前津波を受けた被災地では結局殆どがもとの平地に戻ったとか、
いろいろ事情もあるでしょう。
でも、将来の子供の世代に安心のできるものを残すのが大人の責任。
自分のしがらみをできる限り捨てて、未来のための戦略とその実行が必要です。
早く始めて欲しいと切に願っています。
投稿: haredasu | 2011年4月18日 (月) 10時13分