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2011年3月 8日 (火)

発癌性物質や酸化ストレスに応答する 生体防御系センサーの構造基盤

発癌性物質や酸化ストレスに応答する
生体防御系センサーの構造基盤

文科省
ターゲットタンパク研究研究プログラム

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 癌や動脈硬化、糖尿病などの原因の一つ
として、毒性化学物質が細胞を傷つけること
があげられます。
 ここでいう毒性化学物質とは、他の分子
から電子を奪う性質をもった
「親電子性分子」や、酸素からできる
「活性酸素」のことで、細胞中の遺伝子
DNAに直接作用して変異を引き起こします。

 いずれも、食物や大気に含まれている
ので、日々の生活を営む以上、体内への
取り込みは避けられません。
 つまり、私たちは常にその危険に
さらされているのです。

 しかし、ヒトの体は、こうしたストレス
を感知して、無毒化する「しくみ」を
備えています。
 私たちは、このしくみに関係する
タンパク質の解析に、これまで取り組んで
きました。
 中でも、中心的な役割を担っているのが、
親電子性分子や活性酸素ストレスを感知
するセンサータンパク質Keap1です。

 このタンパク質は細胞質にあって、
ストレスのないときはNrf2という転写因子
のはたらきを抑えています。
 しかし、Keap1がストレスを感知すると
その抑制は解かれ、Nrf2は活性化して
細胞質から核へ移動します。
 そして、Nrf2はストレスから身を守る
ために必要な抗酸化酵素群や解毒酵素群の
遺伝子を発現させる(遺伝子DNAの情報を
もとに酵素をつくらせる)のです。

 とはいえ、Keap1が親電子性分子や
活性酸素のような多様なストレス分子を
感知して、ストレス状態にあることを細胞内
に伝える詳しい分子機構はまだ解明されて
いません。

 ストレスのないとき、Keap1はNrf2の分解
を促すことでその活性を抑えています。
 その詳しい機構を知るには、Keap1とNrf2
の複合体の構造を解析することが必要です。

 また、Nrf2が遺伝子を発現させるとき
には、別の転写因子も加わります。
 Nrf2とその転写因子とDNAの複合体の
構造も解析して、特定の遺伝子が発現する
しくみを解明したいと思っています。

 さらに、マウスを使ってこれらの
タンパク質の機能を調べることを計画
しています。

 最近の研究から、このストレスに対する
応答機構が適切にはたらかなくなると
抗癌剤が効きにくくなる場合があることが
わかってきました。
 肺癌患者のKeap1には変異が多く、
Nrf2のはたらきを抑えることができません。
 つまり、ストレス応答系が常に活性化
されているのですが、そのために薬剤耐性
を示す遺伝子も活性化され、抗癌剤が
効きにくくなるのです。
 私たちの研究でNrf2の阻害剤を見つける
ことができれば、抗癌剤と併用すること
により、この問題を解決できる可能性も
あります。
 これに限らず、Keap1-Nrf2制御システム
をタンパク質の構造という視点から精密に
理解できれば、将来の疾患予防につながる
ことでしょう。
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>こうしたストレスを感知して、無毒化
>する「しくみ」を備えています。
オートファジーもそうですが、
人の仕組みは本当に良く出来ています。

2010年版パンフレット(背景と成果)の
該当ページはこちら
です。

成果として
-------
■ がん細胞でみられる Keap1 変異体が、
なぜ Nrf2 への抑制能を失い、
生体防御酵素群が恒常的に活性化される
のかを明らかにした
■ 新しいがん治療薬が開発される可能性が
見いだされた
と言っています。
-------
詳細はリンクを見てください。


文科省の
「ターゲットタンパク研究研究プログラム」
はなかなか興味深いですね。
テーマが沢山あります。

題記の研究をされている山本雅之教授は、
北米トキシコロジー学会 から
"最先端の基礎科学賞"を受賞されたよう
です。
「必ずや、今後の集中的な研究対象となる
トピックだ」と賞賛されたそうです。
今後の研究に注目ですね。
「Keap1-Nrf2シグナル経路の発見
とそれに続く一連の業績」での受賞という
ことです。

細胞内の解毒の仕組みの一端が解明された
ということですね。
新しいがん治療薬の開発にもつながるもの
で期待したい。

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