« 放射性物質の拡散予測公表せず、批判の声 | トップページ | 飲料の賞味期限が大幅に延長! 高電界殺菌技術 »

2011年3月24日 (木)

放射線は「甘く見過ぎず」「怖がりすぎず」 八代嘉美

放射線は「甘く見過ぎず」
「怖がりすぎず」 八代嘉美

2011年03月20日 SYNODOS JOURNAL

詳細は、リンクを参照して下さい。

---------------------------------------
◇放射線が人体に悪影響を与える理由◇

 まず確認事項として、今回の放射線の
単位の確認をしておこう。
 Sv(シーベルト)は人体が放射線から
生体が受ける影響の単位である。
 これが一時間あたりどのくらいの量かを
示したものがSv/h(シーベルト毎時)で、
テレビのニュースが「xシーベルトが観測
されました」などと報じているものだ。

 ひとたび細胞が放射線にさらされると、
細胞内ではふたつの現象が起こる。
 ひとつは「活性酸素」の量が通常よりも
増えてしまうことだ。
 過剰の活性酸素は細胞のさまざまな部分
を傷つけてしまうことがあり、細胞膜
などが大きく傷つけられれば細胞は
死んでしまう。
 しかし、細胞自体が死んでしまえば、
その傷が癒えたあとには大きな影響は残ら
ない。

 人体にとって深刻なのはもうひとつの
現象で、遺伝子やゲノムが大きく損傷を
受けてしまう事態が起こることである。

 放射線はこの結びつきを切り離してしまう
力をもっていて、遺伝子の配列を壊して
しまうことがある。

 細胞をつくる部品図が欠損してしまえば、
細胞が分裂するときに必要な、正しい部品
をつくることはできない。

 結果的に不完全な部品がつくりだされ、
おかしな細胞が出来上がることになる。
 これがどんどん増えていった結果が、
いわゆる「がん」である。

 事故後よく報道されているように、
自然界の岩石などからは普通に放射線が
出ており、1年間に浴びる量は世界の
平均で2.4mSv程度であるといわれている。

 つまり、今回のような事故が起こら
なくても、細胞はつねに放射線による
影響をうけている。

 また、摂取する食物のなかにもDNAに
損傷を与えるものは少なくなく、前述の
活性酸素もDNAを攻撃することが知られて
おり、その割合はひとつの細胞ごとに
1日100万個ものDNA損傷をつくり出して
いる。

 それならば、どうして街中にがん患者が
溢れていないのかといえば、それは細胞の
なかに二重の安全装置が存在している
ことによる。

◇細胞にある二重の安全装置◇
 まず、遺伝子の欠損がおこると、その
部位を修復するような機構が働く。
 前述のとおり、二重らせんは「AとT」
「CとG」というペアになっているので、
片側が欠けてしまった場合でも、その部位
が何なのかはすぐにわかり、欠損を埋める
ことができる(図2)。
6214f512s


 また、両方の結合が損傷を受けた場合
でも、小規模なものならばそれすらも修復
できるくらいタフなものだ。
 大抵の場合はこれで事はすみ、損傷が
残ってしまうことはない。
 だが、DNA損傷が大きすぎたり、箇所が
多すぎたりすると、修復が失敗して
しまう場合がある。

 こうしたときに、次の安全装置が作動
する。

 DNA損傷の修復に失敗すると、その細胞
の細胞分裂が停止し、次の細胞分裂に
進んでしまう前に、細胞の自爆装置が起動
するのだ。
 これが「細胞の自殺」と呼ばれる
アポトーシスという現象だ。

 DNAの修復とアポトーシスというふたつの
安全装置によって、わたしたちの体はがんの
脅威から守られている。

 だが、あまりにもDNAの損傷箇所が多く
なると、DNAの修復システムや
アポトーシスシステムという安全装置自体
にもダメージが生じてしまい、遺伝子が
変異した細胞がどんどん蓄積していくこと
になる。

◇放射線量の限界は?◇
 それでは、一度に浴びても安全装置が
維持される限界の放射線量はどのくらいか
というと、現在では、およそ200~250mSv
程度というのが定説になっており、この線量
までであれば急性の障害があるというデータ
はない。

 ここで言う「一度」とは、一般的には数分
とか数時間までぐらい、長くとも一日くらい
の長さで考えればよいと思う。
 しかし、放射線量が100mSvをこえると
リスクが上昇するのも事実である。

 今回の事故に際して、厚生労働省と
経済産業省は、東京電力福島第一原発で
緊急作業にあたる作業員の被曝線量の上限
を、それまでの100mSvから250mSvに
引き上げる決定を下した。

 だが、この値も1990年に国際放射線
防護委員会が定めた、重大事故時の緊急作業
での国際基準500mSvよりは低い値に設定
されている。

 それでも、今回の事故処理で被曝量が
250mSvを超えれば、その作業員はもはや
それ以上の作業は許されない規定だ。

 強調しておかなければならないのは、
妊娠初期の胎児は放射線の影響を受けやすい
ので、注意が必要だということだ。
 妊娠14~18日という、妊娠に気づいて
いない可能性が高い時期の胎児にあっては、
安全装置をすっとばすようなレベルで
細胞分裂が起こっていて、250mSvで奇形が
現れるとされている。

 重篤な急性症状が現れる目安になって
いるのはおおよそ1Svで、被曝後、数週間
以内に吐き気や倦怠・疲労感などが現れる
が、それでもほとんど治癒されるという。

 重症のケースでわたしたちがよく知って
いるのは、東海村で起こったJOC核燃料加工
施設内での臨界・被曝事故だろう。
 このとき、3名の作業員が1Sv以上の被曝
をしており、そのうち2名は事故の83日後
と211日後にそれぞれ亡くなった。
 この二名は腸のように新陳代謝が激しい
臓器から異常が出はじめ、次第に入れ
替わりの遅い臓器へと影響が及んだ。
 また心筋や神経細胞のような分裂が
行われない細胞では、ほぼ異常が起こら
なかった。

 あまり一般には知られていないが、
のこり1名の患者は骨髄移植によって
造血幹細胞(骨髄のなかにあり、体中の
血液やリンパ球などを供給している細胞)
を補充することで症状が回復し、退院する
にまで至っている。
 おそらくは、亡くなった2名が
推定16~20Sv、推定6~10Svの
被曝量だったのに対し、
推定1~4.5Svで済んたことが運命を
分けたのかもしれない。

◇被曝の晩発効果と体性幹細胞◇
 また、放射線障害には急性の症状のみ
ではなく、がんや白内障、不妊など、
被曝後しばらくたって現れる症状もある。
 こうしたものを晩発効果と呼び、深刻な
ものとして白血病とがんが知られている。

 晩発効果も200mSv以上の場合に統計的な
影響が現れるため、今後の数値には注意を
払わねばならないが、現在の状態が維持
されるのであれば、避難区域の外側では
晩発効果があるほどの放射線量に到達しては
いないといえよう。

◇内部被曝の問題◇
 ただ単に体のなかを通りすぎていくだけ
ならばよいが、今回よく名前が登場する
ふたつの放射線源(核分裂生成物)で
いえば、ヨウ素は甲状腺に蓄積するし、
セシウムは体内に普通に存在するカリウム
と入れ替わって筋肉に蓄積してしまう。
 つまり体内の組織に蓄積してしまう
ことで、汚染の除去が外部汚染より
はるかに困難となり、長期間被曝しつづける
ことになってしまうのだ。

 ただし、物理的な半減期(放射性物質
から放出される放射線量が半分になる時間)
に加え、排便や排尿などに伴い体外に排出
されることを計算に入れた
「生物学的半減期」というものがあり、
セシウムの物理的な半減期が30年である
のに対し、生物学的には約90日で半減する
と計算されているため、かならずしも
物理的な半減期のあいだ、放射線に
さらされるわけではない。

◇放射線は正しく恐れろ◇
 花粉は体内に入っても影響は短時間で
消えてくれるが、放射性物質は体内に
留まり、わたしたちの健康を削りつづける。
 放射線に対しては正しく怖れ、連日の
報道に対しては恐れすぎない、そして慣れて
しまわないことが大切だ。

 原子炉で安全停止機能が動作しなければ
どうなっていたのかわからない。
 東電が放射線に対して慣れてしまって
いたり、自らの安全技術を過信していた
可能性も否定はできない。

 ある程度の収束をみたあとは、その検証
と、今後のエネルギー政策の再点検が
必要だ。

 かつて原爆被爆者の子どもには遺伝性
疾患が生じるという風説が流れ、長く
結婚差別の対象になったという。
 だが、被爆者の追跡調査からは
遺伝的影響はみられず、チェルノブイリの
原発事故のあとでも同様であったこと
記して本稿の結びとしたい。
---------------------------------------

参考になります。

>Sv(シーベルト)は人体が放射線から
>生体が受ける影響の単位である。

影響を受けるためには、放射線強度だけで
なく、時間も必要です。
強くても、時間が短ければその影響は少ないし、
逆に弱くても、長時間浴び続ければ、危険な
わけで、
だから時間の単位が入っているのです。
きちんと理解しておかないといけません。

単純に言えば100mSv/hの放射線を浴びた
と言ったとき、実際に浴びた時間が30分なら
50mSv/hと考えて良いのです。

だから今、私が心配しているのは
下記の記事です。
福島第1原発:放射線の蓄積、注視必要
累積被ばく問題も

政府になんの動きも見られないのは、
安全基準としての1mSvは知っているが
1mSvはまだまだマージンがあるから良いと?
10mSv位になると問題だとそう判断するので
しょうか?
そうなった時の理由付けはなんと言うので
しょう?
そんな基準はあるのでしょうか?
良く分かりません。

報道は必要な情報を定量的な説明とともに
タイムリーに出して欲しい。

政府の発表もそうです。
ただ、安全だとばかり言って貰っても
なんの役にも立たない。
不安を煽るばかりだと考えます。

出荷規制をしておきながら、安全と言う。
理解できない。
危険だから出荷規制を指示したはず。
明らかな矛盾である。
同様のことはいくつもある。

安全というのなら、安全である定量的な
根拠を示して、こうだから安全なのです。
と言い切って欲しい。

「生物学的半減期」も公表して欲しい。
安全性を判断する良い尺度になると
思います。
今出ている放射物質の種類は少ない
のだから、

日本の基準が国際基準より厳しい基準と
なっていることもわかりました。

正しい知識を持つことが必要です。
こちらの情報も参考にしてください。
「退避すべきかとどまるべきか」
放射線被ばくを深く心配されている方々へ
(2011年3月17日午後時点の情報を
踏まえて)


|

« 放射性物質の拡散予測公表せず、批判の声 | トップページ | 飲料の賞味期限が大幅に延長! 高電界殺菌技術 »

社会関連ニュース」カテゴリの記事

コメント

>正しい知識を持つことが必要です。

本当ですね。私は今回は単位の勉強をしました。懐中電灯を例にした解説があり、非常に分かりやすいHPを見つけたので良かったです。政府や原子力が専門の先生方の言う数値が間違いないなら心配はないと思いました。
でももっと全ての人が分かるように発表をしてもらいたいと思います。
不安をあおるだけの発表は理解し難いです。
既に規制値を下回り、乳児も摂取OKの発表があったようですが、昨日、「東京都葛飾区の金町浄水場の水道水から1キロあたり210ベクレルの放射性ヨウ素を検出」とのニュースがあり、僕はまだ大丈夫だと思いながらも予想どうりペットボトルの水が店頭、自販機から無くなりました。
知識が無いから不安になるんです。ただ大丈夫では不安になる人が大勢いるということです。
もちろん小さい子供さんをもつ親は心配で水を買うでしょう。
必要な人に必要な物が届くようにもっと考えて、分かりやすく話しをしてもらいたい。
でも東京では雨が降った22日、仕事の帰りに傘もささずに雨に濡れながら歩いている人も結構見かけましたよ。。
そんな人たちはペットボトルの水を買い占めるなんて頭に無いでしょうね。
我が家では普通に食べれるから食品や水はもとより、乾電池も常備していたので地震の前と全く同じペースで生活しています。夜の停電の際は電池式の前に手動充電式(ハンドルをグルグル回すやつ)のライトで充分でした^ ^
焦る必要はありません。冷静になれば、東京では普段どおりの生活をしていれば問題ないことに気が付くと思います。
でも愛知や、、なんと博多のスーパーでもカップめんなどの買占めが起こっているとか??凄いですね。。
ただ原発3号機での作業員3人が被爆したそうですね。心配です。
本当に現場で作業する皆さんには頭が下がるばかりです。

投稿: H!ro ^ ^ | 2011年3月24日 (木) 15時55分

政府には風評被害の推進だけはやって貰いたくない。
現在していることは、風評被害の推進です。

本当に安全なのか、そうでないのか?
それだけ言ってくれれば良い。余計な言い訳はいらない。

出荷停止措置をとっておいて、安全はない。
この言い方は理解不可能。

国民にとって安全なのか、そうでないのか?
それしかない。それだけで良い。

投稿: haredasu | 2011年3月24日 (木) 18時54分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 放射線は「甘く見過ぎず」「怖がりすぎず」 八代嘉美:

« 放射性物質の拡散予測公表せず、批判の声 | トップページ | 飲料の賞味期限が大幅に延長! 高電界殺菌技術 »