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2011年3月 4日 (金)

日本を産油国にする「藻」

日本を産油国にする「藻」
2011年3月1日 日経ビジネスONLINE

詳細は、リンクを参照して下さい。
以前紹介した下記投稿
生産能力10倍 「石油」つくる藻類、
日本で有望株発見

のその後の状況になります。

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 米国は国家事業として藻類系バイオ燃料の
商品化に取り組んでいる。
 2010年6月にエネルギー省(DOE)が、
藻類系バイオ燃料の開発に携わる3つの研究
コンソーシアムに対し、最大2400万ドルの
助成金を供与すると発表した。
 米国以外でも、オーストラリアや
イスラエル、中国、インド、インドネシア、
韓国など多くの国々がこぞって、微細藻類
の研究開発に軸足を向け始めている。

 このような状況の中、今回の渡邉教授
によるオーランチオキトリウムの発見は、
日本にとってまさに朗報だ。
 なぜなら、現在、藻類系バイオ燃料の
商業化の大きな妨げとなっているのが
生産コストだからだ。

 これまで、最も有望視されてきた
ボトリオコッカス・ブラウニーですら、
1リットル当たりの生産コストは約800円。
 これを、石油と同等の1リットル当たり
50円程度にまで引き下げることが
できないと、石油の代替燃料として商業化
できない。
 そのためには、生産効率を今の10倍以上
にして、収穫量を現在の1ヘクタール当たり
年間100トンから1000トンに引き上げる
必要があったのだ。

 生産効率を10倍にするための方法は2つ
だ。1つ目は、突然変異や遺伝子組み換え
による品種改良によって
ボトリオコッカス・ブラウニーの生産能力
自体を上げること。
 2つ目は、ボトリオコッカス・ブラウニー
以上の生産能力を持つ微細藻類を探すこと
である。
 そして、後者を進める中で発見したのが、
オーランチオキトリウムだったのだ。

 オーランチオキトリウムの最大の強みは
増殖の速さにある。
 ボトリオコッカス・ブラウニーが約6日
で2倍に増殖するのに対し、
オーランチオキトリウムはなんと4時間で
2倍になる。
 そこで、培養装置の容量や藻類の濃度の
上限などを考慮した上で、1年間に採れる
油の量を計算し、比較してみた。
 すると、オーランチオキトリウムの
生産効率が、ボトリオコッカス・ブラウニー
の約12倍になることが分かった。

 そこで今度は、面積1ヘクタール、
水深1メートルの培養装置を使って、
オーランチオキトリウムを4日ごとに収穫
するという生産システムを想定したところ、
1ヘクタール当たり年間1000トンの油が
採れるという計算結果が得られた。

 渡邉教授は説明する。
 「現在の日本の石油と石炭の輸入量は
年間約3億3500万トン。
 一方、日本の耕作放棄地と休耕田は62万
ヘクタールある。
 そこで、その54%にあたる33万5000
ヘクタールを使って
オーランチオキトリウムを培養すれば、
年間輸入量をすべてまかなうことが
できる」。

 さらに、同じ培養装置を使って4時間ごと
に容量の67%分を収穫し、そこに、同量の
新鮮な培養液を補充する連続生産システム
にすれば、1ヘクタール当たり年間1万トン
以上、油の収穫が見込めるという。

 現在の世界の年間石油需要量は約50億
トン。この連続生産システムの場合、
日本の耕作放棄地と休耕田の80%を
使えば、その全量をまかなえる計算に
なる。日本を産油国にするという夢も、
絵空事ではなくなってきた。

 その夢の実現に向けて、現在、渡邉教授
らが取り組み始めているのが、培養装置の
大規模化だ。

 「商用化するには、大量培養技術を確立
しなければならない。
 そのためには、大規模な培養装置を
使った実証実験が不可欠だ。
 しかし、我々だけで人材と費用を捻出する
のは難しい。
 今後、産官学の連携を強め、1日も早い
商用化に努めたい」。
 渡邉教授は熱い思いを語る。

 そのため、現在、藻類の基礎研究で世界
トップレベルを誇る筑波大学が中心
となって、「藻類産業創成コンソーシアム」
を結成。
 国内の大学や研究機関や、つくば市、
50社を超える企業が参画し、
藻類バイオマスエネルギー技術開発等に
取り組んでいる。

 加えて、渡邉教授は、廃水や廃棄物の
水処理プロセスへの適用も検討している。

 実は、ボトリオコッカス・ブラウニーと
オーランチオキトリウムは、どちらも重油
と同質の油を生成する藻類という点では同じ
だが、特性が異なる。
 ボトリオコッカス・ブラウニーが、
光合成をしてCO2から油とその他の有機物を
生成する緑藻類であるのに対し、
オーランチオキトリウムは、水中の有機物
を細胞内に取り込んで、油を生成する
単細胞の従属栄養藻類だ。
 そのため、オーランチオキトリウムを
培養するには、有機物を与える必要がある。

 そこで、渡邉教授が目を付けたのが、
焼酎やビールの製造工場、繊維工場などの
有機廃水を利用する方法だ。
 有機廃水を浄化しながら、油も生産しよう
というわけである。

 廃水や廃棄物の水処理プロセスは、
ボトリオコッカス・ブラウニーにとっても
都合が良い。
 水処理プロセスを通して出てくる処理水
には、ボトリオコッカス・ブラウニーの
増殖を促進してくれる窒素やリンが多く
含まれるからだ。

 この処理水を使って、光とCO2を与え
ながらボトリオコッカス・ブラウニーを
培養すれば、増殖が促進されるだけでなく、
新たに培養装置を設置する必要もなくなる。

 処理水の豊かな栄養分が大きな原因と
なっていた水域のアオコの大量発生も防ぐ
ことができる。
 さらに、ボトリオコッカス・ブラウニー
が生成した有機物を有機廃水に還元すれば、
オーランチオキトリウムのエサにできる。

 油を搾取したあとの藻類の残りカスも
無駄にしない。
 メタン発酵させれば、メタンガスが
取り出せる。

 一方、ボトリオコッカス・ブラウニーと
オーランチオキトリウムが生成する油は、
燃料だけでなく、工業原料として使える
可能性もある。
 石油化学製品や高分子材料などさまざまな
用途への応用が期待できる。

 特に、オーランチオキトリウムの油は、
「スクアレン」と呼ばれる炭化水素で、
善玉コレステロールの基となるものだ。
 現在、サメの肝油などから抽出された
ものが、サプリメントや化粧品として高値
で市販されている。
 オーランチオキトリウムの大量培養が
実現すれば、健康食品市場や化粧品市場への
展開も考えられるのである。

 「このように、藻類は、石油化学産業
ならぬ一大藻類産業を興させる可能性を
持っている。
 まずはバイオ燃料としての商用化を
目指す。2020年には実現させたい」。
 渡邉教授はこう締めくくった。
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なんか素晴らしいですね。

理論的には既に現在の石油並の値段で生産
出来るという事のようです。

国はこういう事業に積極投資した方が良くは
ないですか? インフラ整備だけでなく。

うまくいくとなんとも都合の良い話になる。
大いに期待したい。

2020年と言うとあとたったの9年です。
9年なんてすぐです。

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