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2011年3月23日 (水)

「退避すべきかとどまるべきか」放射線被ばくを深く心配されている方々へ(2011年3月17日午後時点の情報を踏まえて)

「退避すべきかとどまるべきか」
放射線被ばくを深く心配されている方々へ

(2011年3月17日午後時点の情報を踏まえて)
ガジェット通信

詳細は、リンクを参照して下さい。

>福島原発の件について、原子力工学の
>研究者である北村晴彦東北大学名誉教授
>に3月17日午後時点での見解をご寄稿
>いただきました。
>この見解の表明は、作家である
>田口ランディさんと北村正晴名誉教授
>とのメールのやりとりの中でおこなわれ
>ました。ガジェット通信でのご紹介を
>お願いしたところ、快諾いただきました。
>(編集:ガジェット通信 深水英一郎)

>北村正晴 東北大学名誉教授
 プロフィール
>1942年生まれ。東北大学大学院工学研究科
>博士課程(原子核専攻)修了。
>工学博士(東北大学)。
>研究分野はリスク評価・管理学、
>大規模機械システムの安全学。
---------------------------------------
●放射線被ばくを深く心配されている方々へ

 福島の状況は依然として憂慮すべき
状態です。
 原子力工学の教育研究に長年従事して
いた人間として、無力感、焦燥感を感じる
ことはいうまでもありません。
 『こんな事態を防止できなかった原子力
関係者が今さら何を語ることができるのか
……』という想いもあります。
 ただ、今の時点ではその心はあえて封じ、
放射線被ばくを深く心配されている方々へ、
現状と対策に関しての私的見解を記して
おきたいと思います。

 小生は現状(2011年3月17日時点)でも
なお、原子力発電所の近くの方々は別
として、距離が100km以上離れている人は
退避してもしなくても、結果に大きな違いは
ないと思っています。

 微量の被ばくは健康に影響ないなどと
行政機関声明のくりかえしを言っている
のではありません。
 自分や家族の放射線被ばくの危険を懸念
し退避したいと考えることは人間として
全く自然なことだしそれを否定もして
いません。
 ただ以下の事実は、被ばくを心配する
方々のご参考として記しておきたいと
思います。

 原子力史上最悪の原子力事故である
チェルノブイリ事故、大気圏内核実験など
からは、100km、200km、いやそれ以上離れて
いても微量の放射性物質は移動していく
ことは確認されています。

 今回の事故でもすでに都内でも平常時
より大きな放射線量は観測されていること
はご承知の通りです。

 東京の測定値は平常値が
毎時0.028~0.079マイクロシーベルトくらい
なそうですが、16日午後4時~午後5時の
観測値は毎時0.054マイクロシーベルトです
(3月17日の日経新聞記事より)。

 この値は1年間浴び続けると
0.473ミリシーベルトになりますが、これは
1年間分の被ばく量制限値1ミリシーベルト
に達しません。

 そしてこの1ミリシーベルトという
被ばく制限値は、それを超えた値が
観測されたら直ちに危険だというわけでは
ないこともご理解いただきたいと思います。

 多くの地域で観測されている放射線量の
測定値はチェルノブイリ事故の時も、
もっと以前にアメリカとソ連が軍拡競争を
続けていて核実験をくりかえしていたころ
も、すでにわれわれ日本人が経験している
レベルであることも事実なのです。

 決して望ましくはないですが、距離100km
を超える地域、典型的には東京あたりでの
今回の放射性物質放出量が数週間継続する
程度であるならば、その実害は忍耐できる
範囲であると個人的には考えています。
Cs137

http://www.kankyo-hoshano.go.jp/01/0101flash/01010221.html

 添付資料”セシウム(Cs)137の年次変化”
をご覧ください。
 このファイルにも記載の通り、
『現在、セシウム-137の月間降下量は
1970年代の1/20程度のレベルです。』と
されています。

 言い換えればセシウム137に関する限り
我々は現在の平常値と比べて20倍程度の
降下量を70年代には何年間も経験していた
ことになります。

 むろんセシウム-137の降下量とすべての
原子炉からの放出放射性物質とは挙動が
異なりますが、大まかに見て似たような
傾向は示すと思います。
Kankyo

http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food/dekigoto.html

 さらに添付資料“環境放射能の年次推移”
をご覧ください。
 これらのグラフの右端近く(1998年以降)
の放射性物質(ストロンチウム-90)濃度と
1960年代前半を比べると概ね1,000倍も値が
大きいことがお分かりいただけると
思います。

 現在の平常値に比べて20倍ではなく
1,000倍の値の放射性物質降下が何年も
続いていたのです。

 ここでもストロンチウム-90の降下量と
すべての原子炉からの放出放射性物質の
降下量とは挙動が若干異なりますが、
大まかに見て似たような傾向は示すはず
です。そして1,000倍以上の
ストロンチウム-90降下量が続いていた
この期間に誕生した子供たちの中に、特に
悪い影響がみられるという指摘は
(あるのかも知れませんが)
私は知りません。

 以上は国際的にも認識が共有されている
事実データだと思います。
 異論もあるかも知れませんが、大多数の
環境放射能研究者はこのデータは認めて
いると思います。

 現在日本で採用されている、一般人は
1年間で1ミリシーベルト(1mSv)という
被ばく制限値は国際的な評価組織である
ICRP(International Commission on
Radiological Protection)の勧告を踏まえて
定められています。

 個人的にはこの制限値は十分合理的で
あると思います。

 自然放射能による被ばく(2.4mSv)と
同程度かそれ以下の被ばくを追加で受ける
ことが危険だとはどうしても思えない
からです。

 一方で、このICRP判断に対して批判的な
研究者も少なくないことも事実です。
代表的な批判的研究者集団として知られて
いるECRR(European Committee on
Radiation Risk)の判断を紹介した文章
では、(詳細は省略しますが)
以下のように述べられています。

 /たとえば、チェルノブイリ事故後の
小児白血病の発症では、ミニサテライト
DNAivの突然変異などを考慮に入れると、
ECRRが見積もる放射線のリスクはICRPの
100倍から1000倍にも跳ね上がる。
 致死がんのリスク係数としてICRPが採用
するのは0.05/Sv(「集団の線量として
1Svを浴びると100人のうち5人ががんで
死亡する」だが、ECRRは(中略)、致死がん
のリスク係数はICRPの2倍、すなわち0.1/Sv
としている.
(出典:市民科学研究室・低線量被曝
プロジェクト)/

 つまり、現在国際的には主流であるICRP
を強く批判しもっと厳しい規制を要求する
ECRR報告の立場をとるならば、1960年代には
現在とは大いに様相の異なる小児がん発症が
見られたことになると思います。
 実際にECRRによれば、下記のような
事実認識が述べられています。

 /1959年から1963年にかけて世界中で
行われた大気圏内核実験や、原発や再処理
工場など核燃料サイクル施設の稼働により
放出された大量の放射能により、癌や
その他の健康被害など人々の健康被害が
明らかに増加していると結論する。
 具体的には、1945年から1989年までで、
6160万もの人々が被曝による癌で死亡して
いるという。
 ICRPのリスク評価モデルで計算すると、
その数は117万人である。
 ECRRによれば、さらに160万の子ども達と
胎児190万人が放射線被曝のために亡く
なっている。/

 この死亡者数を見るととても大きい値
というインパクトを感じます。
 しかし45年間にわたり放射線に由来する
癌死亡者数が世界中で6160万人、子供たち
の被ばく死が胎児を含めて350万人という
値は、一年あたりでは、それぞれ140万人、
8万人となるのです.
 世界中の人口1950年で25億、1985年で
50億人もあるという実態(従って年間死亡者
は5,000万人~1億人程度)を考えたとき、
これをどの程度深刻に受け取るべきかは、
人によって違う見解があるでしょう。

 なお上記の死亡者数は、世界的には承認
されているICRPが推定している値のおよそ
52倍という大きな推定値であることも再確認
したいと思います。

 このように説明をされてもなお心配される
人も多いでしょう。
 特に幼いお子さんを抱えておられる方は、
一層心配が大きいと思います。
 大きな困難なしで遠距離に避難できる方
は避難するという選択肢も合理性はあると
思います。
 心理的不安が低減することにも健康上の
意味があるとも思います。

 一方でその移動過程や避難先で、別の
心理ストレスが高まって母子に悪影響がある
可能性も無視できないと思います。

 また仮に現時点での放射線量はそれほど
心配しなくてよいだろうという本稿の判断
は了解された方の中にも、事故のさらなる
拡大と放出放射性物質量の一層の増大を
懸念される方も多いと思います。
 その点が心配だから、やはり避難を考え
たいという方々も少なくないはずです。

 この点に関しては、本日現在進行中である
高圧放水車による注水、外部からの電源供給
ラインの接続、いずれかの手段が機能
し出せば危険の度合いはだいぶ少なくなる
というのが私見です。

 冒頭に記したように、『こんな事態を
防止できなかった原子力関係者が今さら
何を語ることができるのか……』
『信用などしてもらえるのか』という想い
をかみしめながら、それでも技術的な予測
としてはあえて記しておきたいと思います。

 以上を総合した上で、『退避するか
しないかの総合判断は、原子力や放射線の
専門家がすることではなく個人個人が
すること』という田口さんの見解を
はっきりと支持したいと思います。

 このような困難への対応は、各人が自分の
判断でしていただくしかないのが現実で
あると思います。
 小生としては、その際のご参考の一助
として、本稿を記しました。
 なお、余計なことながら、色々な事情で
現実に家族としての退避行動が全くとれない
方々も沢山おられると思います。
 そのような方々向けには、『ご心配
でしょうが現実的脅威はこのような内容の
ものです。
 少なくとも現状はまだ忍耐できる範囲
であると考えてよろしいと小生は考えて
います』という気持ちで記しました。
---------------------------------------

避難するか、しないか、ぎりぎりの所にいる
私にはすごく参考になりました。

>言い換えればセシウム137に関する限り
>我々は現在の平常値と比べて20倍程度の
>降下量を70年代には何年間も経験して
>いたことになります。

>(ストロンチウム-90)濃度と
>1960年代前半を比べると
>現在の平常値に比べて20倍ではなく
>1,000倍の値の放射性物質降下が何年も
>続いていたのです。
こういう情報は本当に参考になります。


>現在日本で採用されている、一般人は
>1年間で1ミリシーベルト(1mSv)という
>被ばく制限値は国際的な評価組織である
>ICRP(International Commission on
>Radiological Protection)の勧告を
>踏まえて定められています。

>個人的にはこの制限値は十分合理的で
>あると思います。

>自然放射能による被ばく(2.4mSv)と
>同程度かそれ以下の被ばくを追加で受ける
>ことが危険だとはどうしても思えない
>からです。
私もそう思います。

>この点に関しては、本日現在進行中である
>高圧放水車による注水、外部からの電源供給
>ラインの接続、いずれかの手段が機能
>し出せば危険の度合いはだいぶ少なくなる
>というのが私見です。
同感です。早く良い報告が出ることを望みます。

>『退避するかしないかの総合判断は、
>原子力や放射線の専門家がすること
>ではなく個人個人がすること』
>という田口さんの見解を
>はっきりと支持したいと思います。
同感です。

ではどの位強い放射線を浴びると危険
なのか?
参考記事は、
放射線対策 健康への影響、
100ミリ・シーベルトが目安

2011年3月22日 読売新聞
を参照してください。
>100ミリ・シーベルト以下の低い線量の被曝で
>がんが増えるかは定かでなく、専門家の間でも
>議論が続く。


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