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2011年2月 8日 (火)

洋上風力で発電大国を目指す英国

洋上風力で発電大国を目指す英国
2011/2/7 日本経済新聞

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 英国政府が、とてつもない規模の風力
発電計画を進めている。

 2020年までに7000基以上の洋上風力
タービン(風車)を設置する計画である。

 英国の全消費電力の3分の1を賄い、
世界中の風力発電企業の研究施設や製造拠点
を集積させ、一大産業に発展させることを
狙う。

 事業規模は約13兆円に上り、送電網の整備
だけでも2兆円に達する。
 欧州では、多くの企業が再生可能
エネルギーの中でも太陽エネルギーではなく
風力発電に注力している。
 これは、風力発電が最も採算が取りやすい
ビジネスであるためだが、中でも英国の
動きは突出している。

 英国では、洋上風力発電の設備を設置する
大陸棚の所有権は王室にある。
 このため、利用に当たっては英国国王の
不動産や海域の資産管理を行う政府系
特殊法人のThe Crown Estate社にかけ合う
必要がある。
 つまり、北海の海底油田の鉱区と
同じように、開発者である発電事業者が
区域のリース料を支払って、洋上の
風力発電事業を行う仕組みだ(図1)。

■32GWの「ラウンド3」がスタート
 最初の事業者の応募が行われたのは、
約10年前の2001年4月だった。

 英国政府主導の下で「ラウンド1」
として、主に技術習得を目的とした試験的
な事業が始まった。

 風車の設置規模は18区域で30基までに
限定されていたものの、North Hoyle地区
をはじめ10区域が完成し、合計1.5GW
(ギガワット)の発電を開始した。

 その後、2003年に「ラウンド2」が
入札形式で行われ、さらに15区域の
プロジェクトが加わった。
 このラウンド2の計画は、合計7.1GWもの
発電量を誇り、既に合計14の区域において
発電と送電が始まっている(写真1)。
Photo

 そして2010年1月、一連のプロジェクト
の大半を占める「ラウンド3」の開発事業者
が入札で決まった(表1)。
 9つの区域で合計32GWの発電が予定され、
2020年までの完成を目指す。
 ラウンド1~3までの開発が計画通りに
すべて実行されると、発電能力は40GW強に
達し、スコットランド政府が計画する
6.4GWの「Scottish Territorial Water
計画」も合わせると合計47GWになる。

 47GWといわれても、その大きさをすぐには
想像できないかもしれないので、日本の現状
にたとえてみよう。

 平均的な原子力発電所1基の発電能力は
1GWほどなので、日本で稼働する
原子力発電所をすべて合わせた規模
(55基、2009年)に匹敵するのが47GW
である。
 ただし、風力発電の場合、実際には風が
止まっているケースもあることから、
発電能力(設備容量)のすべてが常に発揮
できるわけではない。
 そこで風力発電の設備利用率を36%と仮定
すると、実際の発電量は17GWとなる[注1]。
 日本の原子力発電所は稼働率が80%ほど
なので、計算すると21基分の原子力発電所に
相当すると考えればよいだろう。

 今回の「ラウンド3」の設置場所は、
風力発電設備にとって条件が厳しい。
 海岸からの距離が遠いからだ。

 海岸からの距離は、「ラウンド1」の
Scroby Sands地区で2.5km、「ラウンド2」
のThanet地区で11kmほどなのに対し、
「ラウンド3」は海岸周辺の景観や住民など
への配慮から100k~300km以上離れている。
 例えば、主要区域のDogger Bank地区は
海岸から100kmに位置し、南北260km、
東西約100kmの広大なエリアで水深40mの
深さの地点もある。
 こうした不利な条件でも発電を可能に
したのは、北海の海底油田で蓄積した技術を
生かせたからである。


■洋上風力発電の強みと弱み
 洋上風力発電のメリットは、設置場所の
自由度が高いことである。
 陸上では設置場所が限られてくる中、
広大で未使用の海域が比較的自由に使える。
 さらに、洋上は障害物がなく、風が安定的
に得やすい。
 例えば欧州沿岸では、風速が陸上の2倍に
達するといった測定結果も多く報告されて
いる。周辺の住民などへの影響を気にする
ことなく、風車を大型化できるので、より
効率的にエネルギーを得られる[注2]。

 一般に陸上では80mの高さのところに
7m/s以上の風が一定の割合で得られる条件
であれば、風力発電の採算がとれると
言われている。

 ただし、洋上の風力発電は、送電網の
設置コストが陸上に比べて2~3倍に
膨れ上がるという弱点がある。
 海岸から距離が遠くなるほど、そして
水深が深いほどコストが高くなってしまう。
 そのコストの増加分を条件の良い風と
大型化した羽根による効率化で、どこまで
吸収できるかが成否の分かれ目となる。

 条件のよい場所を探すというだけ
ではなく、送電網のコスト自体を下げよう
とする取り組みも出てきた。

 スイスの大手重電メーカーであるABB社は、
通常の交流送電ではなくHVDC
(直流高圧送電)を用いることで、
ノルウェーからオランダに700MW
(メガワット)の電力を送ることに成功
した。580kmと遠い距離をものともせず、
送電損失をわずか5%以内に抑えた。

 同社CTO(最高技術責任者)の
Peter Terwiesch氏は「5年前には不可能
とされたこの送電技術により、風力発電市場
は年率平均で17%の成長が見込めるように
なった」と語る。
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すごいですね。
>英国の全消費電力の3分の1を賄い、
>世界中の風力発電企業の研究施設や
>製造拠点を集積させ、一大産業に発展
>させることを狙う。

日本は洋上風力には向いていないので
しょうか?
台風は来るし、海は深い。
でも、不可能ではないはず。

英国は何故こんなことができるのでしょうか?
英国はこれで、1/3以上が再生可能
エネルギーで賄え、石油も、ガスもウランも
必要ない。炭酸ガスも出さない。
新しいことに挑戦する。出来る。
うらやましい国に思える。

>風力発電が最も採算が取りやすい
>ビジネスである
採算がとりやすいはずのビジネスが
拡大出来ない。日本はおかしな国です。

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