君が代判決―少数者守る司法はどこへ
君が代判決―少数者守る司法はどこへ
2011年01月29日朝日新聞社説
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数々の演劇賞を受賞した永井愛さん
作・演出の喜劇「歌わせたい男たち」
(2005年初演)は、
卒業式の日を迎えた都立高校が舞台だ。
教育委員会の指示通りに式を進めようと
必死の校長。
君が代斉唱の時、起立しないと決めている
教師。
そんな葛藤があることを知らぬまま、
ピアノ伴奏を命じられた音楽講師……。
根はいい人ばかりなのに、みな消耗し、
傷つき、追いつめられていく。
芝居の素材になった都立高校で働く
教職員ら約400人が、君が代の際に
起立斉唱したり伴奏したりする義務がない
ことの確認や慰謝料を求めた裁判で、
東京高裁は請求をすべて退ける判決を
言い渡した。
「起立や伴奏を強制する都の指導は、
思想・良心の自由を保障した憲法に違反
する」とした一審判決は取り消された。
極めて残念な判断だ。
ピアノ伴奏を命じることの当否が
争われた別の訴訟で、最高裁は07年に
合憲判決を言い渡している。
高裁はこの判例をなぞり、斉唱や伴奏を
命じたからといって個々の教職員の歴史観や
世界観まで否定することにはならない、
だから憲法に違反しないと結論づけた。
判決理由からは、国民一人ひとりが大切に
する価値や譲れぬ一線をいかに守り、
なるべく許容していくかという問題意識を
見いだすことはできない。
「誰もがやっているのだから」
「公務員なのだから」と理屈を並べ、
忍従をただ説いているように読める。
それでいいのだろうか。
私たちは、式典で国旗を掲げ、国歌を
歌うことに反対するものではない。
ただ、処分を科してまでそれを強いる
のは行き過ぎだと主張してきた。
最後は数の力で決まる立法や行政と
異なり、少数者の人権を保護すること
にこそ民主社会における司法の最も重要な
役割がある。
最高裁、高裁とも、その使命を放棄し、
存在意義を自らおとしめていると言う
ほかない。
近年、この問題で都の処分を受ける
教職員は減っている。
違反すると、罰は戒告、減給、停職と
回を追って重くなるうえ、定年後の
再雇用が一切認められなくなるからだ。
そんな脅しと損得勘定の上に粛々と
行われる式典とは何なのか。
いま一度、立ち止まって考える必要が
あるように思う。
国旗・国歌法が制定された99年、
当時の有馬朗人文相は国会で「教員の
職務上の責務について変更を加えるもの
ではない」と言明し、小渕恵三首相も
「国民の生活に何らの影響や変化が生ずる
こととはならない」と述べた。
ところが現在、教職員ばかりか、生徒や
保護者、来賓の態度をチェックする動きが
各地で報告されている。
今回の高裁判決が、こうした息苦しさを
助長することのないよう、社会全体で
目を凝らしていきたい。
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>私たちは、式典で国旗を掲げ、国歌を
>歌うことに反対するものではない。
>ただ、処分を科してまでそれを強いる
>のは行き過ぎだと主張してきた。
>脅しと損得勘定の上に粛々と行われる
>式典とは何なのか。
>いま一度、立ち止まって考える必要が
>あるように思う。
>少数者の人権を保護することにこそ
>民主社会における司法の最も重要な
>役割がある。最高裁、高裁とも、
>その使命を放棄し、存在意義を自ら
>おとしめていると言うほかない。
同感です。
>斉唱や伴奏を命じたからといって個々の
>教職員の歴史観や世界観まで否定する
>ことにはならない、だから憲法に違反
>しない
理解できません。
どんな思いでこういった行動をあえて
したのか?
歴史観、世界観から来ていると、
私は思います。
その行動を否定する。
歴史観や世界観を否定することでは
ないのでしょうか?
これが民主主義でしょうか?
>判決理由からは、国民一人ひとりが
>大切にする価値や譲れぬ一線をいかに
>守り、なるべく許容していくかという
>問題意識を見いだすことはできない。
>「誰もがやっているのだから」
>「公務員なのだから」と理屈を並べ、
>忍従をただ説いているように読める。
>それでいいのだろうか。
恐ろしいのは、誰も自ら考えず、
権力に盲従する。
間違っていると思っても正しいことが
言えず、従わざるを得なくなる。
今回のことは、こうした方向に向かう
ことを助長しているように思えるのです。
何故そういう行動をとったのか?
反省すべき点はないのか?
真摯に向き合うべきです。
議論すべきです。
従来からやってきたことだから
正しいというのでしょうか?
何事も、長い歴史の中で、常に見直し
変えて行く勇気がなければいけないと
思います。
>現在、教職員ばかりか、生徒や保護者、
>来賓の態度をチェックする動きが各地で
>報告されている。
>今回の高裁判決が、こうした息苦しさを
>助長することのないよう、社会全体で
>目を凝らしていきたい。
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