グリア細胞:脳に温度検知機能 慶応大チーム、初めて確認
グリア細胞:脳に温度検知機能
慶応大チーム、初めて確認
毎日新聞 2011年2月22日 東京朝刊
詳細は、リンクを参照して下さい。
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脳細胞の大半を占める「グリア細胞」に、
低温を感じるセンサーがあることを、
阿相皓晃(あそうひろあき)・慶応大特別
研究教授(細胞生物学)のチームが動物実験
で突き止めた。
脳の温度検知機能が確認されたのは
初めて。
心筋梗塞(こうそく)や呼吸障害など、
脳に血液や酸素が十分行き渡らない状態に
陥った患者の体温を下げて脳を保護する
「低体温療法」の効果的な手法の開発に
役立つ可能性がある。
グリア細胞は、神経細胞とともに脳細胞
を構成しているが、その機能には謎が多い。
チームは、グリア細胞が温度の違いで
どう変化するかを、マウスを使って調べた。
さまざまな温度でグリア細胞を培養した
ところ、低体温療法と同じ約32度で最も
活発に増殖し、その数はマウスの平熱である
約37度の時の1・5倍だった。
増殖にかかわっているのは、生命活動に
必要なエネルギーを作り出すたんぱく質
「VDAC1」で、VDAC1を働かない
ように操作したマウスでは、温度を下げても
グリア細胞が増殖しなかった。
VDAC1が体温の低下を感知し、
グリア細胞を増殖させているとみている。
低体温療法は体温を31~33度に下げる
ことによって生命活動を抑制し、生命機能の
多くをつかさどる脳を保護する治療法。
効果は経験的に知られていたが、詳しい
仕組みは分かっていなかった。
体温が下がる現象は冬眠中の哺乳類にも
見られるが、脳の血流量が大幅に落ちても
冬眠後、障害が残らないのはグリア細胞が
増えて脳機能の低下を補っている可能性が
あるという。
阿相教授は「通常、細胞は低温下では
活動度が下がるが、グリア細胞は逆だった。
この成果をもとに、より治療効果の高い
低体温療法を提案したい」と話す。
【田中泰義】
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面白い現象です。
体温が高い方が免疫システムは活発に
働くので、その逆の現象が脳に見られる
と言うのはちょっと不思議ですね。
>さまざまな温度でグリア細胞を培養した
>ところ、低体温療法と同じ約32度で
>最も活発に増殖し、その数はマウスの
>平熱である約37度の時の1・5倍
>だった。
>体温が下がる現象は冬眠中の哺乳類にも
>見られるが、脳の血流量が大幅に
>落ちても冬眠後、障害が残らないのは
>グリア細胞が増えて脳機能の低下を
>補っている可能性があるという。
なるほど。
>この成果をもとに、より治療効果の高い
>低体温療法を提案したい
良いですね。
脳に最適な温度があるということが
理論的に裏付けられたということですね。
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