1万分の1度ほどのX線の屈折を利用した革新的X線撮影装置を開発
1万分の1度ほどのX線の屈折を利用した
革新的X線撮影装置を開発
平成23年2月16日
科学技術振興機構(JST)
東京大学
埼玉医科大学
国立病院機構 名古屋医療センター
コニカミノルタエムジー株式会社
兵庫県立大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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JST 産学イノベーション加速事業
【先端計測分析技術・機器開発】の一環
として、東京大学 大学院新領域創成科学
研究科の百生(モモセ) 敦 准教授と、
コニカミノルタエムジー株式会社(本社:
東京都日野市、社長:児玉 篤)、
兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所の
服部 正 教授らの開発チームは、病院など
で使用されている通常のX線源を用い、
撮影対象を通過したX線の位相注1)の
違いから画像の濃淡(コントラスト)を
生成する革新的なX線撮影装置を開発
しました。
従来から病院などで一般的に用いられて
いるX線撮影装置では、撮影対象を透過した
X線の強弱をそのまま記録することで
コントラストを得ています。
例えば、人体を撮影する際、骨のように
X線を吸収しやすい組織の画像は容易に得る
ことができますが、がん化した組織や軟骨
などはX線をあまり吸収しないため、撮影が
困難でした。
一方で、X線があまり吸収を受けない組織
を透過する場合であっても、X線の位相には
変化が生じ、透過したX線はわずかながら
屈折されます。
しかし、従来のX線撮影装置ではこの効果
をほとんど検出することができません
でした。百生准教授らは今回、
タルボ・ロー干渉計と呼ばれる原理に
基づき、1万分の1度ほど曲がったX線を
検出することによってコントラストを生成
する装置を開発しました。
この成果により、今までの技術では得られ
なかった軟骨など体内の柔らかい組織
についてもX線画像を撮影することに
成功しました。
名古屋医療センターの遠藤 登喜子
放射線科部長は、この装置を用いて乳がん
切除標本の撮影を行い、従来のX線画像
では確認できなかった乳がん部位の撮影に
成功しました。
この結果は本装置の乳がん早期診断への
有効性を示唆するもので、
2011年2月18日・19日(日本時間)
に東京ステーションコンファレンスで開催
される「第30回 日本画像医学会年会」で
発表されます。
また、埼玉医科大学の田中 淳司 教授も
この装置を用いて、従来法では難しかった
軟骨の撮影に成功しました。
この成果で示唆された早期リウマチ診断
への可能性については、
2011年3月3日から7日
(オーストリア時間)までオーストリアの
ウィーンで開催される「欧州放射線学会
(ECR2011)」で発表されます。
これらの成果は、本装置が医療用画像
診断装置としての高い有用性を持つことを
期待させるものです。
また、日本発の革新的X線撮影装置
として、製品検査やセキュリティのための
X線非破壊検査などにも広く役立てられる
可能性も期待されます。
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>通常のX線源を用い、撮影対象を通過
>したX線の位相注1)の違いから画像の
>濃淡(コントラスト)を生成する
>革新的なX線撮影装置を開発しました。
素晴らしい。
>従来のX線画像では確認
>できなかった乳がん部位の撮影に
>成功しました。
>従来法では難しかった軟骨の撮影に
>成功しました。
>これらの成果は、本装置が医療用画像
>診断装置としての高い有用性を
>持つことを期待させるものです。
>また、日本発の革新的X線撮影装置
>として、製品検査やセキュリティ
>のためのX線非破壊検査などにも
>広く役立てられる可能性も
>期待されます。
良いですね。
医療機器は殆ど外国製ですから、
その意味でも期待したい。
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