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2011年2月 1日 (火)

少なくとも9種のPARP1阻害剤の臨床試験が、現在世界で進行中

少なくとも9種のPARP1阻害剤の
臨床試験が、現在世界で進行中

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 今週月曜日のBTJ/HEADLINE/NEWSで
報道した合成致死性(Synthetic Lethality)
の続きです。
 今後の抗がん剤開発やその他の新薬の開発
にも重要な概念であると考えます。

 このメールを受信していない方は是非とも
下記でご一読願います。
 また、可能ならBTJ/HEADLINE/NEWSの
受信登録もお願いいたします。
http://blog.nikkeibp.co.jp
+/bio/miyata/2011/01/206827.html
○受信登録
http://passport.nikkeibp.co.jp/bizmail/btjh/index.html

 現在少なくとも9種のPARP1阻害剤が、
世界で臨床試験が進められています。

 1990年代には化学療法や放射線療法
の効果を増強する併用剤として開発が
進められてきたのですが、近年は急速に
トリプルネガティブの乳がんや肺がんなど
の治療薬としても注目されてきました。

 PARP1は発ガン性物質や放射線などにより
DNAの1本鎖が切断された部位を認識、結合
するたんぱく質です。

 結合後、自身のPARP1たんぱく質と染色体
を構成するたんぱく質ヒストンH1とH2Bも
ポリADP-リボシル化します。

 この化学修飾の結果、たんぱく質の電荷
が変異、染色体構造がほぐれて、DNAが露出
する構造変化を誘導します。
 同時に、DNAの修復酵素も
ポリADP-リボシル化したPARP1を認識し、
DNAの損傷部位に動員され、DNAの修復が
起こることが知られています。

 この修復作用を阻害できれば、DNAを切断
する化学抗がん剤や放射線療法の効果を
増強すると期待されたのです。

 DNA修復酵素には、相同組み換えによって
2重鎖の切断を修復する酵素もあります。

 PARP1阻害剤の適応拡大を図る研究で、
実はBRCA1やBRCA2など2重鎖DNAの修復酵素
に変異がある乳がんにも、PARP1阻害剤が
効くことが明らかとなったのです。

 BRCA1とBRCA2は遺伝性の乳がんの
リスク因子で、米国ではBRCA1と2の
遺伝子検査が、乳がんの手術後の管理を
決める重要なバイオマーカーとなって
います。

 何故、1本鎖のDNAの修復阻害作用
だけでなく、2重鎖のDNA修復能力に欠陥を
持つがんにも効くのか?

 実は、1本鎖のDNAに切断が入ると、
細胞増殖の際のDNAの複製によって、2重鎖の
DNA切断が起こるためでした。

 PARP1阻害剤で、1本鎖のDNA切断箇所を
維持して、細胞を増殖できれば、
2重鎖DNA複製能力に欠陥のあるがん細胞は
アポトーシスで自滅します。

 PARP1阻害と相同組み換え変異(2重鎖の
修復能力欠陥)のあわせ技でがん細胞を
死滅させるのが、合成致死性という考え方
です。

 がん細胞のような遺伝子変異を持つ細胞
の弱みを突く、新薬開発の新しい考えです。

 現在、がんゲノム計画が進行中で、多種の
がんの遺伝的な変異の分布と頻度もある程度
わかる時代がすぐにも到来します。

 こうした情報を活用すれば、合成致死性を
がんに誘導することも可能でしょう。
 がんが組織や細胞種によって治療指針が
立てられる時代から、がんがどんな遺伝的な
欠陥を持っているのかを知って、治療方針を
立てる時代になるのです。
 PARP1阻害剤はこうした新しい時代を開く
医薬品となると確信しています。

 さてトリプルネガティブの乳がんでも、
BRCA1とBRCA2の突然変異を乳がんに
PARP1阻害剤が効くことはかなり証拠が
集まってきました。
 つまりBRCA1と2の変異を測定すれば、
PARP1阻害剤の個の医療が可能となる
という訳です。
 現在、フェーズIII臨床試験を
仏sanofi-aventis社が進行中です。

 では乳がん以外に効果はないのか?
 実は2重鎖のDNAの修復能力に欠陥を持つ
がんは多数存在します。
 肺がんでは30%の症例で、相同組み換え
能力の欠陥が見つかっています。
 yH2AX、Rad51、PTENなどの相同組み換え
関連遺伝子の発現や突然変異は、BRCA1と2
に相当する患者選択のバイオマーカー
となる可能性があるのです。

 がんのメカニズムが分かれば分かるほど、
抗がん剤の個の医療化はどんどん進むの
です。合成致死性、この言葉の意味は深い
と思います。

 現在、何故、我が国の製薬企業が
バイオ医薬開発に出遅れたのか?
 製薬企業のトップインタビューで解明する
長期連載を敢行中です。
 我が国の製薬企業の病は深い、どうぞ下記
よりご一読願います。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/NEWS/sp_show.jsp?spid=93

 今週もどうぞ、皆さん、お元気で。
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難しいけれど、良い情報ですね。
希望が出て来ます。

ダイナミックな進展があって素晴らしい。

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