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2011年1月25日 (火)

がんを生じている分子ネットワークを標的として、がん撲滅を図るコンセプトの新しい抗がん剤

がんを生じている分子ネットワークを標的
として、がん撲滅を図るコンセプトの
新しい抗がん剤

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 バイオでも、がんとの死闘に僅かながら
人間が競り勝つ可能性が出てきました。

 現在でもハーセプチンやキナーゼ阻害剤
などの標的医薬ががんの延命や治癒の可能性
を固形がんにも拡大しましたが、ひょっと
したらがんを薬物療法によって駆逐できる
かもしれないと先週、1月17-18日、と今日で
開催された最先端研究開発支援プログラム
(FIRST)で認識いたしました。

 私が興奮したのは英University College
London Partners,Anticancer Drug
Disicoveryand Development
のHilary Calvert教授の招待講演でした。

 同氏は英Newcastle大学に在籍中の1990年
からPARP阻害剤の開発を手がけたパイオニア
です。同氏は、新しい抗がん剤のターゲット
に、合成致死性(Synthetic Lethality)
という概念を提唱しています。

 その核心は、単なる単一分子を標的
とするのではなく、がんを生じている
分子ネットワークを標的として、がんの
撲滅を図るというコンセプトです。

 現在の配合剤の開発は、独立した標的に
対してそれぞれ作用する薬剤の配合剤に
止まっています。付加価値は、
2錠飲まなくてよいという利便性と
飲み忘れの防止など、あまり大した
付加価値は患者にはありません。
 製薬企業にとっては、特許切れ医薬を
特許医薬と配合して独占権を延長できる
という無視できない旨みがあります。

 患者にも大いなる付加価値を提供する
配合剤や併用療法の開発に合成致死性は
重要なヒントを与えます。
 今後は、がんをがんたらしめている
分子のネットワークの異常を狙い撃ち
にするのです。

 その最先端を行くのがPARP1阻害剤です。
 現在、9種のPARP1阻害剤に
米Pfizer社、英AstraZeneca社、
米Abbott社、仏sanoffi-aventis社/
米BiPar社などビッグファーマと
米Inotek社、米Cephalon社、
ドイツMelkel社、米Biomarin社などの
バイオベンチャーが殺到、臨床試験を
展開しています。
 我が国のエーザイも
米MGI Pharmaceuticals社の買収によって、
PARP1阻害剤の臨床開発に参戦いたし
ました。

 PARP1はDNAの1重鎖切断を修復する酵素
ですが、もしこの酵素を阻害すると、
がん細胞が分裂する時のDNA複製で、実は
DNAの2重鎖の切断が生じてしまいます。
 もし、NA2重鎖の切断を修復する酵素が
正常に働いていれば、がんはアポトーシスを
免れて、増殖を続けます。
 しかし、2重鎖の修復酵素に機能不全が
生じていれば、がんはアポトーシスによって
死滅します。
 これが合成致死性という概念です。

 一つの標的を阻害すると、他の変異や
機能不全とのあわせ技によってがん細胞死
を誘導するのです。
 実は、変異が蓄積して暴走している
がん細胞には、こうした合成致死性が
ぴたりと当てはまる変異が存在しています。

 バイオによって、疾患のメカニズムが
解明されればされるほど、疾患の弱みを
逆手にとって合成致死性を誘導する治療戦略
が編み出される可能性があるのです。

 「抗体医薬の標的が少なく、早、飽和
している」などと、ぶつぶつ弱音を吐く
前に、もっと疾患の中身を知る研究に精進
しなくてはなりません。
 化学の時代から、創薬は生物の時代に
移行しています。
---------------------------------------

>合成致死性(Synthetic Lethality)
>という概念を提唱しています。

>その核心は、単なる単一分子を標的
>とするのではなく、がんを生じている
>分子ネットワークを標的として、がんの
>撲滅を図るというコンセプトです。

>PARP1はDNAの1重鎖切断を修復する酵素
>ですが、もしこの酵素を阻害すると、
>がん細胞が分裂する時のDNA複製で、実は
>DNAの2重鎖の切断が生じてしまいます。
>もし、NA2重鎖の切断を修復する酵素が
>正常に働いていれば、がんはアポトーシス
>を免れて、増殖を続けます。
>しかし、2重鎖の修復酵素に機能不全が
>生じていれば、がんはアポトーシス
>によって死滅します。
>これが合成致死性という概念です。
画期的。面白い概念ですね。

>バイオによって、疾患のメカニズムが
>解明されればされるほど、疾患の弱み
>を逆手にとって合成致死性を誘導する
>治療戦略が編み出される可能性が
>あるのです。
ふ~ん。

まだこれからの話ですね。ですが、
可能性は十分に感じられます。
確かに興奮しますね。

希望が持てそうです。期待したい。

難病と言われている
いろいろな疾患についても、
このようなダイナミックな動きがあると
良いのですが、見られないのが残念です。

製薬会社は利益が出ないものには手を
出せない。ということですね。

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コメント

ネット検索中、上記記事を目にいたしました。
医師の者です。
以前より、生体統合機構に関心があり、分子-細胞-臓器-個体と階層を跨ぐ情報ネットワークの観点から
固形がんの転移を治療することに個人的に関心を持っております。
上記記事を拝読し、私も少し興奮いたしました。
systems biology的観点からの癌治療薬の開発は、system tergetの流れになるのでしょうか?
具体的なことをもう少し知りたいのですが。。。

投稿: YO | 2013年11月 7日 (木) 16時38分

すみません。私素人なので、コメントできません。

元ねたは日経バイオテクonlineの「WMの憂鬱」http://nbt.nikkeibp.co.jp/bio/wm/
(日経BP社特命編集委員日経バイオテクONLINE WEBMASTER 宮田 満)です。

なかなか興味深い記事があります。
現在有料記事になっています。
医師のみが会員になれるコンセンサスエンジンもあるようです。

投稿: haredasu | 2013年11月 7日 (木) 22時21分

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