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2011年1月20日 (木)

特定の細胞の生死を自在に制御するRNAスイッチ技術の開発

特定の細胞の生死を自在に制御する
RNAスイッチ技術の開発

平成23年1月19日
京都大学
科学技術振興機構(JST)

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 京都大学 大学院生命科学研究科の井上 丹
教授、次世代研究者育成センター
(白眉プロジェクト)の齊藤 博英
特定准教授らの研究グループは、

特定のたんぱく質を発現したターゲット細胞
の生死を制御することができる
「RNAスイッチシステム」の開発に成功
しました。

 がんや神経病などのさまざまな疾患には、
細胞内での病原たんぱく質の増加や正常な
たんぱく質の合成不良などが原因となって
いるものが多くあることが分かり、
このような特定のたんぱく質を標的とした
薬の開発や治療の研究が世界中で進められて
います。

 一方で、このようにして開発された薬や
近年精力的に進められている研究において
は、体内に投与した際に副作用が起こること
が避けられないのが現状です。
 その理由は、異常細胞のみならず、正常な
細胞にも薬が効いてしまうことで、正常な
機能に悪影響を与えるからと考えられて
います。
 このため、特定の細胞だけに薬を効かせる
技術や、悪性のがん細胞だけに細胞自殺
(アポトーシス注1))を誘導する技術の
開発が求められていました。

 本研究グループは発想を転換して、細胞の
中でその細胞が悪性かどうかを判断し、
薬を効かせることで上記の問題を克服できる
と考え、悪性細胞の印となりうる特定の
たんぱく質を発現している細胞でのみ働く
ようにする「RNAスイッチシステム」を
開発しました。

 これまでに本研究グループは、特定の
たんぱく質の発現に応答して、mRNAから
目的たんぱく質の翻訳注2)を抑制する
「オフスイッチ」注3)の開発に成功して
いました。

 今回、RNA干渉(RNAi)注4)を
制御する技術を基盤として、たんぱく質合成
を活性化する「オンスイッチ」注5)を
新しく開発しました。

 また、2つのRNAスイッチを活用して、
細胞内のアポトーシス調節たんぱく質の発現
を制御することに取り組みました。

 その結果、特定のたんぱく質を発現して
いる細胞のみを死に至らしめられる、高度な
細胞生死のコントロール技術の創出にも
成功しました。

 さらに、この2つのRNAスイッチは
細胞内で独立に作動することが確認され、
同じ特定たんぱく質の発現に応答して、
異なる2つのたんぱく質の抑制・活性化を
同時に制御できることも分かりました。

 この成果は、ヒトの細胞内で、
入力たんぱく質Aの情報(発現)を
出力たんぱく質Bの情報(抑制・活性化)
に直接変換できる「人工情報変換システム」
注6)を構築した世界で初めての例です。

 今後、多種のRNAスイッチを同時に適用
することで幅広い細胞制御が可能となり、
対応できる疾患の幅も大きく広がることが
期待されます。

 このような生命システムを制御する技術の
開発は、シンセティックバイオロジー
(合成生物学)注7)や次世代バイオ
テクノロジーの新技術としても期待
されます。

 本研究で開発された
RNAスイッチシステムは汎用性が高く、
RNA配列を改変するという簡便な操作
だけで、研究や医療で用いられている
人工mRNAやRNAiの手法全般に応用が
可能な技術であり、画期的な技術と言えます。

 従来の薬の概念を変える副作用のない夢の
医薬や、再生医療をはじめとするさまざまな
次世代分野において、新しい研究手法・
治療法として役立つことが期待されます。
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素晴らしい技術のようです。

>特定のたんぱく質の発現に応答して、
>目的たんぱく質の翻訳を抑制する
>「オフスイッチ」

>RNA干渉(RNAi)を制御する
>技術を基盤として、たんぱく質合成を
>活性化する「オンスイッチ」を
新しく開発し、

>特定のたんぱく質を発現している
>細胞のみを死に至らしめられる、
>高度な細胞生死のコントロール技術の
>創出にも成功しました。

>さらに、この2つのRNAスイッチは
>細胞内で独立に作動することが確認され、
>同じ特定たんぱく質の発現に応答して、
>異なる2つのたんぱく質の抑制・
>活性化を同時に制御できることも
>分かりました。
とのことです。

今後の展開として、
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 今回開発した人工RNAスイッチによる
細胞の生死を制御するシステムを用いれば、
今後応答する特定たんぱく質を適切に設定
することで、これまで生物の個体全体に
作用していた薬効をがん細胞や特定の臓器
だけに効かせることが期待されます。

 このような医薬が実現すれば、細胞に
入ってから細胞の状態をモニターして
自ら薬を効かせるべきかを判断できる、
従来の薬の概念を変える副作用のない
夢の医薬を作り出すことができます。

 また、現在の再生医療においても、神経や
臓器などの特定の細胞に分化した細胞だけを
効率よく選択し、培養する技術などに
応用可能であり、生命科学研究の基盤的な
手法へと発展していくことが見込まれます。

 また、本研究で開発された
RNAスイッチシステムは、RNAの配列を
目的に応じて改変するだけで、研究や医療で
用いられているRNAiや人工mRNAの
手法全般に応用が可能な技術モデルであり、
さまざまな分野で新しい研究手法として
役立つ技術になり得ます。
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と言ってます。
大いに期待したい。
夢の医療が早く実現すると良いですね。

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