内閣府に医療イノベーション推進室を設置、政府の意欲は理解できるが苦言を二つ
内閣府に医療イノベーション推進室を設置、
政府の意欲は理解できるが苦言を二つ
2011年01月11日
Biotechnology Japan:Webmasterの憂鬱
詳細は、リンクを参照して下さい。
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政府も1月7日に内閣府に
医療イノベーション推進室を設置、その室長
に東大医科学研究所教授で国立がん
研究センター研究所所長の中村祐輔氏を任命
いたしました。
その他、東京女子医大の岡野教授や
ノーベル賞受賞者の島津製作所の田中さん
など、バイオや先端医療のキーマンを配置
する布陣を打ちました。
政府の意欲は良く理解でき、しかも
中村教授の能力を高く評価しつつ、
今回は二つ苦言を呈したい。
第一は内閣府の総合科学技術会
(近く模様替えしますが)との二重行政を
どうさばくのかという懸念です。
また、きら星の如く先端医療の専門家を
揃えれば先端医療が我が国で適切に実施
されると考える単純さに落とし穴がある
ということです。
つまり組織としてうまく編成されて
いないのではないか?
このままでは、厚労省、文科省、経産省
などを指揮し、総合的な先端医療の普及施策
を打つ前に、内部の意思疎通に猛烈な時間を
取られ、しかも実際の医療現場の革新に
必要な知識や見識が不足したまま、
医療イノベーションを立案、管理運営
しなくてはならない状況です。
決定的な錯誤は、相変わらず
医療イノベーションを医師や医療の
供給者側からしかとらえていない
パターナルな改革と捉えている可能性が
あることです。
早急に、医療イノベーション推進室に
患者代表と健康保険組合の代表、そして
コメディカルの代表、地方自治体の代表
など、医療の技術革新のステークスホルダー
を加える必要があると思います。
第二は、これは民主党政府の錯誤かも
知れませんが、医療イノベーション推進室
を行政機関として発足させていることです。
参画した先端医療研究者の顔ぶれを見る
と、むしろこれは国会の中に設置し、
新たな医療イノベーションに必要な国の
大きな枠組み変更を法律として規定し、
先端医療の実現に絶対不可避な厚労省と
文科省の融合的連携と日本版FDAの
機能強化、そして先端医療の原資を確保
するための医療費の配分を法律で規定する
大仕事をしていただくべきであると
考えます。
このままでは、総合科学技術会議の
ように、行政の下請け機関として矮小な
働きしかできないでしょう。
気が付いたら消費税を上げる口実に、
医療イノベーション推進室が使われただけ
というピエロのような役割を担わせられぬ
よう、警戒しなくてはなりません。
医療イノベーションには、国の在り方
全体の改革が不可欠、これはそもそも行政
ではなく、立法府の役割です。
我が国も本来の民主国家の在り方である
三権分立というプリンシプルに、
今年こそ立ち戻らなくてはならないと
思います。これが今年の決意です。
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私もうまく機能するとは思えません。
>組織としてうまく編成されて
>いないのではないか?
そうですね。どんなに立派な提言を纏めた
としても権限はあるのでしょうか?
単なる提言では絵に描いた餅にすぎない。
いままで委員会とか、推進室を設置し、
実施してきましたが、改革は思うように
進んでいません。
十分に経験を積んだはずですが?
この件もそうですね。
>医療イノベーションを医師や医療の
>供給者側からしかとらえていない
>パターナルな改革と捉えている可能性が
>あることです。
>参画した先端医療研究者の顔ぶれを見る
>と、むしろこれは国会の中に設置し、
>新たな医療イノベーションに必要な国の
>大きな枠組み変更を法律として規定し、
>先端医療の実現に絶対不可避な厚労省と
>文科省の融合的連携と日本版FDAの
>機能強化、そして先端医療の原資を確保
>するための医療費の配分を法律で規定
>する大仕事をしていただくべきであると
>考えます。
全く同感です。
大きな枠組み変更を法律として規定する
ことが必須と思います。
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