« 日本版スマートグリッドの「死角」 | トップページ | がん探知犬、においで患者ピタリ…精度9割超 »

2010年12月11日 (土)

国民、患者のための厚生科学研究を

国民、患者のための厚生科学研究を
伊藤 たてお 氏(日本難病・
疾病団体協議会 代表、厚生科学審議会
難病 対策委員)
2010年12月6日 Science Portal

詳細は、リンクを参照して下さい。

---------------------------------------
 10月23日、埼玉県の和光市にある国立保
健医療科学院交流対応大会議室で厚生労働省
主催の「厚生科学研究成果発表シンポジウム
http://www.niph.go.jp/symposium2010/」が
開かれた。

 そこに招かれて発言させていただいた内容
を中心に、あらためて「科学研究」と国民、
市民のかかわりについて考えてみたい。

 厚生労働省の研究助成制度である厚生労働
科学研究費による研究成果を分かりやすく
一般に知らせ、研究成果をより広く社会に
還元していくという狙いで開くと聞いて
いた。

 インターネットを活用しシンポジウムの
模様はライブ配信する、という新しい試み
にも大いに期待し会場に赴いた。

 まず戸惑ったのは、公開されているとは
いいながら、参加者はほとんどが関係者で
あったことである。

 せっかく患者団体として初めての機会を
いただきながら、閉鎖的な社会を感じ残念
だった。
 まるで学会の研究発表のようで、会場の
設定と発表のあり方については今後大いに
工夫が必要と思う。

 私がパネルディスカッション「目的
志向型研究としての厚生科学研究と
成果発表のあり方」でパネリストとして
発言したのは、

まず第1に、せっかくの研究なのだから
成果・研究の「社会的アピールが必要」
ということである。
 研究者としては「成果の発表」でなければ
ならないのだろうが、国民・市民としては
研究の途中でもよいのだ。

 今このような研究がされている、という
ことが関心を呼ぶし、難病の患者たちには
励ましとなる。
 「発表や成果はホームページに掲載されて
いるからよい」では不十分だ。

 「アカデミックな発表」でもなく、もっと
分かりやすく、何を目指して、どこで
どのような研究が進められているのか、
ということがとりわけ難病といわれる分野
の患者や関係者には大切なことと思う。

 ポスター発表でも、関心を持って拝見
したものがあったが、内容を盛り込みすぎて
よくわからないものが多かった。
 要点をまとめ、発信力を高めて、見せる、
読ませる工夫が必要と思う。
 研究にあたったものとしては、あれも
これも大切なのだから、と狭いスペースに
たくさん盛り込むのだろう。
 それでは自分のため、あるいはその分野
に関心のある研究者たちのための発表
でしかない。

 そこで提案したのはプロの協力を求めては
どうかということであった。
 いわゆる学会屋とか関係企業の協力の
ことではなく、宣伝・広告やデザインなどの
分野の専門家の参加のことである。
 それには予算が研究費の中にも必要と思う
のだが、3,000万円を超える研究には成果の
広報に関する費用が含まれているとのこと
であった。
 また研究には報告書が義務付けられている
ということだが、その話とは違う。
 発想の転換が必要と思う。

 第2点として「研究を生かすためには、
社会性を持った提言」も必要ではないか、
ということである。

 それを進めるためには、受け止める行政側
の受信力も高めなければ、ただの研究で
終わってしまい、後に国に膨大な損失を
与えることになる。
 と、いくつかの事例も紹介した。

 現在北海道新聞の連載記事「私の中の
歴史 地域の減災を願って―火山学者の
岡田弘さん」で、岡田先生の有珠山噴火での
活躍の話が掲載されている。
 先生は11月4日の6回目で次のように話して
いた。
 「災害軽減のためには科学者の総合的な
判断と、地元行政や住民による警戒が
緊密にかみ合うことが必須です。
 しかし、当時研究者は…『そこから先は
自分たちの出番ではない』と考えて
いました。
 また一方では『科学者は行政の領域に
踏み込むな』とある地元首長のコメント
が…」

 続いて翌5日の7回目では、85年の南米
コロンビアでの火山災害に関して
「『災害マップをつくれば、後は行政や
住民の責任だ』と思いこんでいました。
 しかし、伝えたはずなのに、それでも
人々は死んでしまったのです。
 『伝わっていなければ、その責任は知って
いる側の研究者にまだあるはずだ』と科学者
の社会的責任がはっきりと見通せた事件
でした」と述べている。
 この記事を読んで、大変感動した。

 厚生科学研究にも「研究者」と「行政」
そして「国民=患者団体」の「緊密な」
連携が必要なのだと確信した。

 そして最後に
第3点として「評価」にもっと国民=患者の
声を直接に反映させることも検討すべき
ではないか、と提案した。

 その後の話だが、菅首相が議長を務める
「総合科学技術会議」の科学技術政策担当
大臣・有識者議員による「平成23年度概算
要求における科学・技術関係施策」の
優先度判定において、難病の治療研究が
最低ランクの評価を受け、大幅な研究予算
の削減が示された。

 患者団体として緊急の声明を出す
とともに、与党関系議員とともに首相官邸、
内閣府、財務省、厚労省へ要請行動を行い、
難病の研究費削減は患者の希望を打ち砕く
ことになると訴えた。

 この評価にはもちろんそれなりの根拠は
あるのだろうし、研究の成果がなかなか
上がらない、とか、研究者のアピールが
へただということもあるのだろうと思う。

 しかしその中である高官が「税金なの
だから研究にも効率と効果が求められる」
と発言し、またある担当者は「税金なの
だから成果が必要」と言っていたことに
私たちは敏感に反応した。

 緊急声明の中でわれわれが強く訴えた
ことは、「研究は難病患者にとっては大きな
希望の光であること」と「難病の研究は
研究者にとっても継続の保証が必要」という
ことである。

 難病の研究に効率・効果や成果を求め
られたら、研究は成り立つのだろうか。
 目先の成果だけを追うことになりは
しないだろうか、と心配する。

 またある「研究成果発表会」に参加した
患者がこう感想を言っていた。
 「難しすぎて、早口で何を言っているのか
分からなかった」と。
これでいいはずはないと思う。
---------------------------------------

同感です。

是非改善をして貰いたい。

「伊藤 たてお」代表の発言を真摯に検討
して貰いたい。


私の感じたことを2,3述べておきたい。
上記文章の中でどうしても見過ごせない
のは、以下のことです。

>難病の治療研究が最低ランクの評価を
>受け、大幅な研究予算の削減が示された。
>難病の研究に効率・効果や成果を
>求められたら、研究は成り立つの
>だろうか。
>目先の成果だけを追うことになりは
>しないだろうか、と心配する。
全く同感です。

政治は人の命を守ることを優先すべきだと
考えています。

効率とはなんでしょうか?
裏返して言えば、無駄を極力排除する
ことだと理解しています。

明らかに無駄と思われるものが多く
存在します。

でも、民間企業が手を出しにくい難病に
対する研究が無駄なのでしょうか?
無駄だと切り捨ててしまったら誰も研究
などできません。採算がとれず民間では
できないからです。
民間でできないことをするのが国なのでは
ないのでしょうか?

人の命の優先順位は高くないのですか?
困っている人達を救うことが無駄なので
しょうか?
大いに疑問を感じます。

事業仕分けでも、効率、効率と良く言い
ますが、効率ということがなじまない
分野があるはずです。
それを同一のレベルで仕分けする。
おかしいと思う。


>研究者としては「成果の発表」でなければ
>ならないのだろうが、国民・市民としては
>研究の途中でもよいのだ。
たしかに国民としてはこうありたいと
思いますが、特許などの著作権の問題が
あり、競争相手にアイデアを見せること
にもつながり、難しい面があるのだと
感じました。
ただ、何かしらの情報が欲しい。
何か良い方法を考えて貰いたいものです。

一方、特許等の問題の無い国のお金で実施
している研究成果については、すべての国民
に無償で公開すべきものと考えていますが、
残念ながら、医療関連の研究報告は一般
国民には公開されていないようです。

是非国には、公開する仕組み、組織を
作って貰いたい。

米国のPubMedのようなデータベースを、
想定しています。
又、治験の情報の公開も貧弱です。
改善して貰いたい。


岡田先生の有珠山噴火での活躍の話しも
傾聴に値しますね。

>厚生科学研究にも「研究者」と「行政」
>そして「国民=患者団体」の「緊密な」
>連携が必要なのだと確信した。
同感です。

|

« 日本版スマートグリッドの「死角」 | トップページ | がん探知犬、においで患者ピタリ…精度9割超 »

医療関連ニュース」カテゴリの記事

コメント

怒りをおぼえます。
以前、行政の幾つかの部署にメールをしました。
その中にこう書きました。
『あなたやあなたの大切な家族が難病でも、予算は増やしませんか?』と・・・
どこからも返事はありませんでした。
【命】の予算を減らさないで欲しいと何度も何度もあちこちにメールしました。
しばらくして鳩山前総理が突然こう言いました。
『命を守りたい』
守って下さい。それが政治家の役目。そう思います。
日本難病・疾病団体協議会(伊藤たてお代表)は先月も今月も要望書を提出しています。
頑張って欲しいです。
たまに伊藤代表さんとは連絡をとります。あちこちに行かれて大変だと思います。
身体を大切に活動して欲しいと思います。

投稿: H!ro^ ^ | 2010年12月11日 (土) 12時57分

ホントですね。

政治家には命を守る政治をしてもらいたい。
言うことと、やっていることが矛盾するようでは困る。
政治家の資格がない。

最近の政治家のやり方を見ていると怒りを覚えることが多くて困る。

投稿: haredasu | 2010年12月11日 (土) 22時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/210730/50268856

この記事へのトラックバック一覧です: 国民、患者のための厚生科学研究を:

« 日本版スマートグリッドの「死角」 | トップページ | がん探知犬、においで患者ピタリ…精度9割超 »