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2010年12月 7日 (火)

東京大学工学部の多比良元教授の懲戒解雇の取り消しを求めた裁判は控訴棄却、研究者にも冬がやって来る

東京大学工学部の多比良元教授の
懲戒解雇の取り消しを求めた裁判は
控訴棄却、研究者にも冬がやって来る

2010年11月29日
Biotechnology Japan:Webmasterの憂鬱

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 東京大学により懲戒解雇の取り消しを
求めて争っていた東京大学工学部の
多比良元教授に対する判決が2010年11月24日
に下されました。

 判決は控訴棄却。

 RNAiに関する論文捏造事件は東京地裁
に続いて、東京大学の勝訴に終わりました。

 この判決によって、研究者にも冬が
やって来ると深刻に思いました。
 皆さんも実験ノートや、実験試料などの
保全に努め、自身と自分の科学研究を防衛
しなくてはなりません。

 何故ならば、所属する機関に論文捏造を
訴えられた場合の対処が大学ごとにまったく
異なり、まったく正当性を欠く調査による
断定も起こりうるからです。

 今回の判決で東京高等裁判所が、判断の
根拠とした東京大学工学部の論文捏造の
調査委員会報告書ですが、調査委員会の
委員として告発したRNA学会の主要幹部が
参画しており、中立性を欠いていることは
歴然としています。

 さらに今回の判決でも明白ですが、
日本の裁判所は、科学研究の実態や科学
における真偽に関して判断する能力がなく、
ひたすら判断を放棄して、大学の権威に
すがるだけであることが明らかになった
ためです。

 多比良元教授の懲戒免職を発表した
記者会見で、当時の副総長(法学部)が
「裁判所が東大に異を唱えるはずは無い」
と断言した通りになりました。

 我が国の裁判所には正義が無いと、
米UCSBの中村修二教授が青色発光
ダイオードの特許裁判の経験から語って
いることを思い出しました。

 12月1日にも筑波大は長元教授の捏造事件
の判決がありますが、多比良元教授の件も
盛んにこの裁判で引用されており、
このままでは裁判所は大学を支持する
可能性濃厚です。
 
 私は裁判所には科学的な捏造事件を裁く、
能力も人材も無いと考えます。

 また、所属機関の調査と裁判所の判決
だけでは、研究者の自由と独立、そして
研究者の創造性も殺ぐと懸念しています。

 かつて、我が国の学術会議も提唱して
いましたが、米国の研究公正局や英国の
研究公正局のような中立機関を我が国でも
早急に整備し、捏造事件の予防と捏造を
有無劣悪な研究環境や教育の不備を正す
必要がどうしてもあると確信しています。

 今回の事件は完全な勧善懲悪の単純な
事件ではなく、我が国の科学研究
インフラの欠陥を示すものなのです。
 明日にも皆さんにもこのインフラの欠陥
の災いが及ぶかも知れません。

 東大工学部が要求した追試による黒白も
必ずしも、追試できないからといって捏造
の証明とはなり得ません。
 容易に追試できない論文は、実は山の
ようにあるからです。
 科学論文の結果は、第三者が追試して
初めて科学的な真実になるという原則を
忘れてはなりません。
 論文に掲載されたからといって、
すべての要素を記述し切れていない場合も
あり、簡単に追試できるわけでもないから
です。
 また善意の過誤が新発見につながる例も
非常に多いのです。
 こうした再現性のないケースと捏造を
区別することはとても難しいというのが
実情です。

 結局、捏造事件はやった本人の告白以外
は確証が得られないものなのです。
 多比良元教授の研究室で捏造の実行犯と
名指しされている川崎元助手は、捏造に
関して黙して語らず、その真相は闇の中
です。

 川崎元助手の論文捏造の噂はかなり前
から流れていました。
 多比良元教授もその真偽を糾す責任は
あったと思います。
 しかし、それが即ち多比良元教授の
懲戒解雇に相当するとは私にはとても
思えません。

 むしろ短絡的に科学はあくまでも真理を
追究すると言うドグマに燃えて、捏造を
行った研究者の管理者は懲戒解雇とする
方が、今までの通説を破壊する、創造的な、
そして異端な研究の芽を摘むことを懸念
します。

 東大は外国の研究の追試、わが邦初の成果
でよいというなら、東大は捏造した部下を
持った教官全員解雇を推し進めるべきです。

 投入した研究費当りの論文の数(論文の
生産性)で低迷し、国際的な大学ランキング
も低下しつつある傾向に拍車がかかる
でしょう。

 奇しくも、東大工学部は今年3月2日に、
アニリール・セルカン大学院工学系研究科
建築学専攻助教に対し、03年3月に東大が
授与した博士号の取り消しを決めました。

 学位審査で盗用(ウェブサイトなどの
公開情報がほとんど)を見抜けず、
約7年間も放置していたのです。

 この管理責任はいったい誰がどうとった
のか?

 少なくとも、学位審査の委員長や
セルカンさんの主任教授が懲戒解雇となった
という話は聞いておりません。

 このまったく一貫していない恣意的東大
工学部の姿勢も、研究公正局を我が国に
創らなくてはならないという根拠です。

 大学の判断が誤った場合、それを裁判所が
ただす能力がないなら、研究者が駆け込む
場所が必要です。

 ある意味では、今回の判決が、国際的に
見ればあうんの呼吸、つまり性善説で
展開されていた我が国の科学研究に性悪説
を導入し、管理するシステムへの変更を
加速すると考えます。

 そして今回の事件の有無に関わらず、
こうした管理体制の整備は不可欠であると
考えます。

 ただし、研究室のマネージメントなど
研究室を主宰する教官がしっかりしないと、
雰囲気の悪化やパワハラなどが発生し、
創造性は低下するだけでしょう。

 一種の徒弟制度で育てられてきた現在の
教官たちに、研究者のモチベーションを
上げつつ管理することは至難の業、
大学は責任をもって再教育しなくては
なりません。

 コンプライアンスと唱えるだけで、
捏造が無くなるほど、この問題は甘くは
ありません。
 懲戒解雇で例外を除くだけで問題は
解決しないのです。
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いつもながら、勉強になります。

>日本の裁判所は、科学研究の実態や
>科学における真偽に関して判断する能力が
>なく、ひたすら判断を放棄して、大学の
>権威にすがるだけであることが明らかに
>なった。

>私は裁判所には科学的な捏造事件を裁く、
>能力も人材も無いと考えます。
同感です。

謙虚さも無い。

>米国の研究公正局や英国の研究公正局
>のような中立機関を我が国でも早急に
>整備し、捏造事件の予防と捏造を
>有無劣悪な研究環境や教育の不備を正す
>必要がどうしてもあると確信して
>います。
同感です。


上記記事の中に出てくる長元教授に
関する件は以前投稿しました。
長 照二 博士 不当解雇事件
この話もひどい。

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