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2010年12月12日 (日)

命を削る:海外を知る/3 薬や治療に「経済評価」

命を削る:海外を知る/3
薬や治療に「経済評価」

毎日新聞 2010年12月5日 東京朝刊

詳細は、リンクを参照して下さい。

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 医療技術の進歩や高齢化などによって、
各国で医療費が増大している。

 英国やフランス、ドイツなど欧州では、
有効性だけでなく、費用対効果に基づく
経済性などを考慮する「経済評価」を踏まえ
ながら、公的保険で使える薬や治療を決めて
いる。

 東京大の福田敬准教授(医療経済学)は
「最近ではアジアの国々でも、こうした
薬剤の経済評価に多くの関心が集まって
いる」と解説する。

 韓国もその一つ。
 福田さんによると、韓国は日本にならっ
て国民皆保険制度を導入し、89年に達成
した。
 しかし、保険でカバーする範囲が拡大し、
使った分だけ支払われる出来高払いだった
ため、医療費が増大した。
 経済協力開発機構(OECD)のデータ
などによると、総医療費に占める薬剤費の
割合も06年は約25%。
 保険が適用される薬の数は06年時点で
約2万1000種類もあった。

 薬剤の支払いなどによる保険財政への
影響を抑えようと、韓国は薬の保険適用の
可否を決める際、欧州と同様に有効性だけ
でなく、費用対効果も重視する方針に転換
した。
 レセプト(診療報酬明細書)を審査する
公共団体の健康保険審査評価院(HIRA)
に、費用対効果などを評価する部署を発足
させた。

 一方、HIRAの役割は薬剤の経済評価
だけではない。
 韓国では、レセプトのオンライン化が
全国に普及しており、そのデータを使って
医療の質の評価や向上に役立てている。

 国立保健医療科学院の研究報告によると、
HIRAでは心筋梗塞(こうそく)や脳卒中
の治療成績の評価結果をインターネットで
公表し、医療機関の医療の質を国民が簡単に
分かるような仕組みがあるという。

 財団法人の研究機関・医療経済研究機構
の満武巨裕(みつたけなおひろ)・
研究部副部長(医療情報学)は「日本は
データベースの整備が遅れている。
 韓国のように蓄積したデータを活用し、
病気の予防や最適な医療の選択などに利用
すべきだ」と指摘する。

 英国や韓国のように、保険適用を受ける
ためには薬剤の経済評価のデータを提出
しなければならない国がある一方、日本は
保険適用されるよう申請する際、経済評価
データの提出は義務付けられてはいない。

 国際医療福祉大などが08年までの5年間
に薬剤の保険適用を申請した製薬企業を対象
に調査したところ、保険適用となった薬
168品中、経済評価の資料が提出された
のはわずか8品(4・8%)しかなかった。
 理由は「資料提出のメリットがない」
「社内に(分析をする)担当者がいない」
などだった。

 国際医療福祉大の池田俊也教授(医療
経済学)は「医薬品の経済評価は、診療
ガイドラインや予防接種の導入の決定など
幅広く活用できる。
 経済評価の方法については課題もある
ため、学術団体を中心に各国の行政当局
や製薬企業、医療者などと情報交換を
進めていくことが重要」と話す。
【河内敏康】=つづく
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 ◇医療の経済評価
 薬剤や手術などが費用対効果に優れて
いるかを検証し、効率的な医療の提供を
考える方法。
 公的な医療保険の財源に限りがあるため、
近年注目を集めている。
 例えば、英国立医療技術評価機構
(NICE)では、薬剤を使った場合に
1年間健康を維持して生きられる追加費用
が2万~3万ポンド(約260万~390
万円)以下なら、経済性に優れるとして
英国医療保険制度での使用を推奨している。
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財源が有限である限り、と言うか既に
限界が見えているにも関わらず、具体的な
制限策を、単に医療の質の削減に求める
と言う愚策をしているのが我が国。

どうしてこうも日本は動きが遅い。
韓国にすら後塵を拝している。
「すら」などと言っては失礼ですね。

>韓国では、レセプトのオンライン化が
>全国に普及しており、
>HIRAでは心筋梗塞(こうそく)や
>脳卒中の治療成績の評価結果を
>インターネットで公表し、医療機関の
>医療の質を国民が簡単に分かるような
>仕組みがある。
どうしてこうも違う?

医療の経済評価は必要でしょう。
やむを得ないと思います。

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