肺がん:新薬「効かない」仕組み解明 自治医大と東大研究チーム
肺がん:新薬「効かない」仕組み解明
自治医大と東大研究チーム
毎日新聞 2010年10月28日 東京夕刊
詳細は、リンクを参照して下さい。
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◇「遺伝子酵素が変形」
従来の治療薬が効かない肺がんに著しい
効果があるとされる開発中の新薬
「クリゾチニブ(一般名)」で、患者の
一部に薬が効かなくなる「薬剤耐性」が
起きる仕組みを自治医科大と東京大の研究
チームが解明した。
他のがん治療薬にも応用でき、耐性化
しにくい薬の開発に道が開けるという。
28日付の米医学誌
「ニューイングランド・ジャーナル・
オブ・メディシン」に掲載された。
チームは07年、肺がんを引き起こす
遺伝子「EML4-ALK」を発見。
08年にはこの遺伝子が作る酵素の
働きを抑える化合物で、マウスの肺がん
消失に成功した。
米製薬企業が製品化し、米豪韓の
臨床試験で9割の患者に腫瘍(しゅよう)
縮小の効果があったという。
肺がん患者の4~5%がこの遺伝子を
持ち、「イレッサ(一般名ゲフィチニブ)」
など既存の薬が効かないという。
チームは投与開始の約5カ月後に再発
(その後死亡)した20代の男性患者の
がん細胞を分析。
肺がん遺伝子の2カ所が突然変異して
酵素が変形し、薬が効かなくなっている
ことが分かった。
薬は、酵素を働かせる物質に代わって
この部位に結合し、酵素の働きを妨げる
仕組みだが、変形で薬が結合できなく
なっていた。
イレッサなど他の治療薬でも同様の変形
で薬剤耐性が起きていることも分かった。
間野博行・自治医大教授(分子腫瘍学)
は「この遺伝子を持つ肺がん患者は50歳
以下では約35%。
酵素が変形しても効く新薬で、耐性化を
克服できる」と説明している。【山田大輔】
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「薬剤耐性」が起きる仕組みが解明できた
ということから、耐性化を克服できる。
とのことです。期待しましょう。
このことは良いことなのですが、
気になったのは、発見が日本なのに、
米製薬企業が製品化し、米豪韓の臨床試験
を経て商品化されたことです。
こんなことでは、ますますドラッグラグは
解消出来ないでしょう。
日本の製薬会社は何故製品化できないので
しょうか?
お金が無いからですか?
技術がないからですか?
製品化のスピードがあまりに遅く、日本の
製薬会社は手を出せないということで
しょうか?
このあたりの改善を強く望みます。
関連記事です。
詳細はこちらをどうぞ、
「肺がんの薬剤耐性原因を解明」
科学技術振興機構(JST)
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