超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり
超伝導のメカニズム解明に大きな手がかり
-ルテニウム酸化物の電子の運動状態を
選択的に可視化することに成功!
電子対を形成する「のり」の起源を初めて
解明-
2010年11月17日 発表
独立行政法人 産業技術総合研究所
詳細は、リンクを参照して下さい。
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ポイント
・直線偏光放射光を活用した高分解能角度
分解光電子分光により、電子の運動状態
を選択的に可視化
・ルテニウム酸化物の超伝導電子対を形成
するための「のり」の強さと成分を
初めて解明
・超伝導電子対の「のり」の起源として、
結晶の原子の振動が関与していることを
強く示唆
国立大学法人 広島大学【学長 浅原利正】
放射光科学研究センター【センター長
谷口雅樹】(以下「HiSOR」という)の
岩澤英明特任助教、島田賢也教授、
独立行政法人 産業技術総合研究所
【理事長 野間口有】(以下「産総研」
という)エレクトロニクス研究部門
【研究部門長 金丸正剛】機能性酸化物
グループの相浦義弘主任研究員を中心と
する共同研究グループは、放射光の直線
偏光特性を活用するため、放射光の光軸の
まわりに回転可能な高分解能角度分解光
電子分光装置を開発し、ルテニウム酸化物
超伝導体の超伝導機構解明に重要な
手がかりをつかみました。
超伝導は低温で物質の電気抵抗が完全に
ゼロになる物理現象であり、実用的にも
リニアモーターカーや医療用核磁気共鳴
画像装置(MRI)などで利用されています。
1994年に日本で発見されたルテニウム
酸化物超伝導体はユニークな超伝導状態を
示し、世界の注目を集めてきました。
これまで数多くの研究が行われて
きましたが、いまだにその超伝導の
メカニズムは謎に包まれたままです。
超伝導が生じるためには、電子と電子を
「のり」で結びつけ、「電子対」にする
必要があります。
本来、反発しあう電子と電子を結びつける
「のり」の正体が何かを明らかにすること
は、超伝導がどのようにして生じるのかを
理解するうえで大変重要です。
ところがルテニウム酸化物超伝導体には
超伝導を担っている電子に複数の運動状態
があるため、従来の実験手法では電子対の
形成に必要な「のり」の正体を調べること
が極めて困難でした。
研究グループが開発した新装置を用いる
と、ルテニウム酸化物超伝導体の異なる
運動状態にある電子を選択的に分離
しながら、精密に分析することが初めて
可能となりました。
その結果、この物質の電子対を形成する
ための「のり」として、結晶を作っている
原子の振動が重要な役割を果たしている
こと、さらに、その「のり」がどのくらい
強く働いているのかを初めて明らかに
しました。
本研究成果は、米国物理学会誌
(Physical Review Letters)にて、
11月19日(米国東部時間)出版予定であり、
オンライン電子版に11月16日(米国東部
時間)に公開される予定です。
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難しいですね。
>超伝導が生じるためには、電子と電子を
>「のり」で結びつけ、「電子対」にする
>必要があります。
>本来、反発しあう電子と電子を結び
>つける「のり」の正体が何かを明らかに
>することは、超伝導がどのようにして
>生じるのかを理解するうえで大変重要
>です。
と言うことに対して、
>本研究手法は、
>複雑に絡み合う電子の運動状態を個別に
>精密に分析できる新しい手法であり、
>超伝導の起源となる電子対の「のり」の
>成分や強さを直接見ることができます。
>これにより超伝導になる温度をあげる
>方法や、新規超伝導体の探索の重要な
>ヒントが得られると期待できます。
とのことです。
これで、さらに超伝導の研究が進むと
思われます。
高温超伝導が実用化されると、真っ先に
使用したいのは、電力伝送分野で
しょうか?
リニアモーターカーももっと効率の良い
ものが出来るはず。
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